10:00 AM - 12:00 PM
[PG54] 現代青年の友人関係における気遣う理由が自尊感情に与える影響
Keywords:自尊感情, 友人関係, 気遣い
問題と目的
自尊感情とは,「これでよい」と自らを肯定的に認めるものである(近藤,2010)。これまで,自尊感情は友人と内面を開示し合うことによって高くなるとされてきた。しかし,岡田(2011)によると,現代の青年の友人関係は,互いに気遣い合うことで被拒絶感を低下,被受容感を向上させて,自尊感情を維持・高める傾向があるという。
また,満野・今城(2013)によると,現代の青年が気遣いをする理由には,友人を思いやる気持ちから行動する利他的理由と,トラブルを回避し,円滑な関係を築くため行動する防衛的理由の2側面があるという。
本研究では青年が気遣いをする理由に着目し,現代の青年が気遣い行動をして自尊感情を維持・高める際に,気遣う理由がどのように影響しているのか検討する。
方 法
調査対象者 大学生206名(男性129名,女性77名)であった。
質問紙冊子 年齢と性別を尋ねるフェイスシートと,次の4種の尺度で構成されていた。
(1)友人への気遣い行動尺度(満野・今城,2013):普段,気遣いをどの程度行っているのかを測るために用いた。7件法で実施した。(2)友人を気遣う理由尺度(満野・今城,2013):利他的理由と防衛的理由の2因子から気遣う理由を測定するために用いた。7件法で実施した。(3)被受容感・被拒絶感尺度(杉山・坂本,2006)の被受容感因子:他者や集団からどの程度受け容れられていると感じているかを測るために用いた。5件法で実施した。(4)自尊感情尺度(山本・松井・山成,1982):個人の全体的な自尊感情を測定するために用いた。5件法で実施した。
手続き 本研究の目的や無記名調査であること,任意参加であることを質問紙冊子の紙面,及び,口頭で説明した。その後,調査に協力できる場合にのみ回答してもらった。
結果と考察
友人への気遣い行動尺度(満野・今城,2013)より各調査対象者の平均得点を算出した。これに基づき,普段から気遣い行動をしていると判断できるもの(平均得点が4を超えるもの)を抽出した。以降,分析対象者は167名(男性97名,女性70名)となった。
利他的理由,及び,防衛的理由から自尊感情に至るまでの関係を検討するために,共分散構造分析を実施した。Figure 1に,その結果を示す。モデルの適合指標は,GFI=0.976,CFI=0.926,RMSEA=0.139であった。利他的理由は,被受容感に有意な正の影響を与えていた(パス係数は.302)。防衛的理由は,被受容感に有意な影響を与えていなかった(-.071)。また,被受容感は,自尊感情に有意な正の影響を与えていた(.538)。
利他的理由の方が防衛的理由より被受容感に大きく影響していた。また,被受容感は自尊感情に大きく影響していた。以上のことより,現代青年が被受容感を介して,自尊感情を維持・高める際には,利他的理由が防衛的理由より大きく影響していると考えられる。
自尊感情とは,「これでよい」と自らを肯定的に認めるものである(近藤,2010)。これまで,自尊感情は友人と内面を開示し合うことによって高くなるとされてきた。しかし,岡田(2011)によると,現代の青年の友人関係は,互いに気遣い合うことで被拒絶感を低下,被受容感を向上させて,自尊感情を維持・高める傾向があるという。
また,満野・今城(2013)によると,現代の青年が気遣いをする理由には,友人を思いやる気持ちから行動する利他的理由と,トラブルを回避し,円滑な関係を築くため行動する防衛的理由の2側面があるという。
本研究では青年が気遣いをする理由に着目し,現代の青年が気遣い行動をして自尊感情を維持・高める際に,気遣う理由がどのように影響しているのか検討する。
方 法
調査対象者 大学生206名(男性129名,女性77名)であった。
質問紙冊子 年齢と性別を尋ねるフェイスシートと,次の4種の尺度で構成されていた。
(1)友人への気遣い行動尺度(満野・今城,2013):普段,気遣いをどの程度行っているのかを測るために用いた。7件法で実施した。(2)友人を気遣う理由尺度(満野・今城,2013):利他的理由と防衛的理由の2因子から気遣う理由を測定するために用いた。7件法で実施した。(3)被受容感・被拒絶感尺度(杉山・坂本,2006)の被受容感因子:他者や集団からどの程度受け容れられていると感じているかを測るために用いた。5件法で実施した。(4)自尊感情尺度(山本・松井・山成,1982):個人の全体的な自尊感情を測定するために用いた。5件法で実施した。
手続き 本研究の目的や無記名調査であること,任意参加であることを質問紙冊子の紙面,及び,口頭で説明した。その後,調査に協力できる場合にのみ回答してもらった。
結果と考察
友人への気遣い行動尺度(満野・今城,2013)より各調査対象者の平均得点を算出した。これに基づき,普段から気遣い行動をしていると判断できるもの(平均得点が4を超えるもの)を抽出した。以降,分析対象者は167名(男性97名,女性70名)となった。
利他的理由,及び,防衛的理由から自尊感情に至るまでの関係を検討するために,共分散構造分析を実施した。Figure 1に,その結果を示す。モデルの適合指標は,GFI=0.976,CFI=0.926,RMSEA=0.139であった。利他的理由は,被受容感に有意な正の影響を与えていた(パス係数は.302)。防衛的理由は,被受容感に有意な影響を与えていなかった(-.071)。また,被受容感は,自尊感情に有意な正の影響を与えていた(.538)。
利他的理由の方が防衛的理由より被受容感に大きく影響していた。また,被受容感は自尊感情に大きく影響していた。以上のことより,現代青年が被受容感を介して,自尊感情を維持・高める際には,利他的理由が防衛的理由より大きく影響していると考えられる。