10:00 AM - 12:00 PM
[PG61] 青年期のSNS依存におけるソーシャルメディア使用ストレッサーと見捨てられ不安の関連
Keywords:SNS依存, ソーシャルメディア使用ストレッサー, 見捨てられ不安
ネット利用者の増加や技術の進歩に伴い,ネットに関連する様々な問題が指摘されるようになってきた。そのうちの1つとしてSNS依存が挙げられる。また,ネット上の新たなコミュニケーション手段の出現は利点ばかりではなく,ストレッサー(ストレス要因)になると考えられる(小坂,2007)。ストレスとSNS依存の関係を捉える上で示唆に富んだモデルとして,Davis(2001)の脆弱性ストレスモデルがある。友納(2013)は,このモデルから,インターネット利用者を環境におけるストレスによってインターネットに引き込み,その経験が強化され,加えて利用者の不適応の認知が結びつくことによって,インターネット依存症になるのではないか,と指摘している。今回の研究では,不適応の認知として,見捨てられ不安の傾向に着目し,SNS依存がソーシャルメディア使用ストレッサー,見捨てられ不安の高低により異なるかを検討することを目的とする。仮説は以下のとおりである。
(1)見捨てられ不安が高い場合,SNS上での対人関係を維持しようとするためSNS依存が高い。
(2)見捨てられ不安が高い場合,ストレッサーが高い群はストレッサーが低い群よりSNS依存が高い。
(3)ストレッサーが高い場合,見捨てられ不安が高い群は見捨てられ不安が低い群よりもSNS依存が高い。
方 法
調査対象者:東北地方にある4年制大学に在籍する大学生160名(男性65名,女性95名,平均年齢19.14歳,SD=0.92)である。
調査項目:①佐藤他(2015)のソーシャルメディア使用ストレッサー尺度:SNS利用による不快と思われる出来事を取り上げ,その頻度を位置づけすることによってストレッサーを測定する。
②インターネット中毒度テスト(小田嶋,1998):SNS使用の文脈に合うように文言を修正した。
③見捨てられ不安尺度(斎藤他,2012):社会構造の変化を重視した青年期における見捨てられ不安について測定する。
結果・考察
仮説を基に二要因分散分析を行った(表)。その結果,(1)の仮説について,どのストレッサー(高・低)×見捨てられ不安(高・低)においても,見捨てられ不安の主効果は有意であったため,(1)の仮説は支持された。そのため,見捨てられ不安は,SNS依存を増悪させる上でリスクファクターとなりうることが示唆された。
次に,(2)の仮説と,(3)の仮説について,「不快な情報の閲覧」に関しては部分的に仮説が支持,「やりとりのわずらわしさ」に関しては支持された。しかし,「対人トラブル」に関しては,いずれにおいても交互作用が認められず,仮説は支持されなかった。他の因子と比べて「対人トラブル」は,現実世界での特定の人物とのコミュニケーションがもとになって生じるストレッサーだと考えられる。そのため,「対人トラブル」は,ネット上だけにとどまらず,現実世界の人間関係にも影響を与えやすく,より日常的なストレッサーに近いのではないかと推測される。また,「不快な情報の閲覧」や「やりとりのわずらわしさ」と比べると,「対人トラブル」は経験している程度も低く,SNS依存との相関も比較的小さい。従って,他2因子とは質的に異なるものとも予想されるため,今後の詳細な検討が必要であろう。
(1)見捨てられ不安が高い場合,SNS上での対人関係を維持しようとするためSNS依存が高い。
(2)見捨てられ不安が高い場合,ストレッサーが高い群はストレッサーが低い群よりSNS依存が高い。
(3)ストレッサーが高い場合,見捨てられ不安が高い群は見捨てられ不安が低い群よりもSNS依存が高い。
方 法
調査対象者:東北地方にある4年制大学に在籍する大学生160名(男性65名,女性95名,平均年齢19.14歳,SD=0.92)である。
調査項目:①佐藤他(2015)のソーシャルメディア使用ストレッサー尺度:SNS利用による不快と思われる出来事を取り上げ,その頻度を位置づけすることによってストレッサーを測定する。
②インターネット中毒度テスト(小田嶋,1998):SNS使用の文脈に合うように文言を修正した。
③見捨てられ不安尺度(斎藤他,2012):社会構造の変化を重視した青年期における見捨てられ不安について測定する。
結果・考察
仮説を基に二要因分散分析を行った(表)。その結果,(1)の仮説について,どのストレッサー(高・低)×見捨てられ不安(高・低)においても,見捨てられ不安の主効果は有意であったため,(1)の仮説は支持された。そのため,見捨てられ不安は,SNS依存を増悪させる上でリスクファクターとなりうることが示唆された。
次に,(2)の仮説と,(3)の仮説について,「不快な情報の閲覧」に関しては部分的に仮説が支持,「やりとりのわずらわしさ」に関しては支持された。しかし,「対人トラブル」に関しては,いずれにおいても交互作用が認められず,仮説は支持されなかった。他の因子と比べて「対人トラブル」は,現実世界での特定の人物とのコミュニケーションがもとになって生じるストレッサーだと考えられる。そのため,「対人トラブル」は,ネット上だけにとどまらず,現実世界の人間関係にも影響を与えやすく,より日常的なストレッサーに近いのではないかと推測される。また,「不快な情報の閲覧」や「やりとりのわずらわしさ」と比べると,「対人トラブル」は経験している程度も低く,SNS依存との相関も比較的小さい。従って,他2因子とは質的に異なるものとも予想されるため,今後の詳細な検討が必要であろう。