10:00 AM - 12:00 PM
[PG76] 高校生のインターネット上の友人が自己肯定感に及ぼす効果
インターネットを通して友人をつくることへの評価と被受容感に着目して
Keywords:インターネット, 友人関係, 高校生
問題と目的
内閣府「平成27年度青少年のインターネット利用環境実態調査」によると,97.7%の高校生がインターネットを利用しており,高校生のインターネットの利用内容で最も上位に挙げられるのは「コミュニケーション」(89.9%)である。
近年,インターネット上で新たな対人関係を築く人の存在が報告されている。兎本ら(2011)は,約3割の高校生にネット上で知り合った友人(以下,ネット友人)がいることを示した。
本研究の目的は,ネット友人をつくることについての高校生自身の評価と,ネット友人から得ている被受容感が,自己肯定感にどのような影響を与えているのか検討することである。
方 法
調査対象 北海道の大学生370名のうち,ネット友人がいた73名(男性40名,女性33名),平均年齢18.758歳(SD=.757)が対象となった。なお,すべての質問に対して高校生だったころを思い出して回答するよう教示した。
質問紙の構成
1)フェイスシート,年齢,学年,性別
2)過去に対する自己肯定感尺度(田中ら,2010) 8項目(4段階評定)
3)学校等の友人(以下,リアル友人)に対して,被受容感尺度(杉山ら,2006)8項目(5段階評定)
4)ネット友人に対して,被受容感尺度(同上)
5)インターネットを通して友人をつくることを好ましいことだと考えているか(5段階評定)
調査の実施 2016年10月と2017年5月の,北海道の大学の講義中とサークル活動中に実施した。質問紙には個人情報の保護についてと,調査の参加不参加は自由意志によることを示し,口頭でも説明した。
結果と考察
分析1 リアル友人・ネット友人それぞれの被受容が自己肯定感に与える影響を検討するために,「自己肯定感」を従属変数とし,Step1で「ネット友人への被受容感」と「リアル友人への被受容感」,Step2でその交互作用を投入する階層的重回帰分析を行った。その結果,「自己肯定感」に対しては,「リアル友人からの被受容感」の影響力のみ有意であった(β=.507,p<.001)。
分析2 ネット友人をつくることへの評価とネット友人からの被受容感が自己肯定感に与える影響を検討するために,「自己肯定感」を従属変数とし,Step1で「ネット友人をつくることへの評価」と「ネット友人からの被受容感」,Step2でその交互作用を投入する階層的重回帰分析を行った。その結果,「自己肯定感」に対しては,「ネット友人からの被受容感」の影響力が有意であった(β=.207,p<.10)。また,Step1からStep2へのR2の変化量が有意であり(R2変化量=.062,p<.05),「ネット友人をつくることへの評価」と「ネット友人からの被受容感」の交互作用の有意な影響性が示された(β=.255,p<.05)(Table1)。下位検定の結果,「ネット友人をつくることへの評価」と「ネット友人からの被受容感」の両方が高い場合に,最も「自己肯定感」が高まることが示された(Figure1)。
以上の結果より,自己肯定感はリアル友人からの被受容感に影響を受けているが,ネット友人をつくることについて肯定的な評価をしている個人(+1SD)の場合はネット友人からの被受容感が自己肯定感に有意な正の影響を与えている(β=.413,p>.01)ことが示唆された。
内閣府「平成27年度青少年のインターネット利用環境実態調査」によると,97.7%の高校生がインターネットを利用しており,高校生のインターネットの利用内容で最も上位に挙げられるのは「コミュニケーション」(89.9%)である。
近年,インターネット上で新たな対人関係を築く人の存在が報告されている。兎本ら(2011)は,約3割の高校生にネット上で知り合った友人(以下,ネット友人)がいることを示した。
本研究の目的は,ネット友人をつくることについての高校生自身の評価と,ネット友人から得ている被受容感が,自己肯定感にどのような影響を与えているのか検討することである。
方 法
調査対象 北海道の大学生370名のうち,ネット友人がいた73名(男性40名,女性33名),平均年齢18.758歳(SD=.757)が対象となった。なお,すべての質問に対して高校生だったころを思い出して回答するよう教示した。
質問紙の構成
1)フェイスシート,年齢,学年,性別
2)過去に対する自己肯定感尺度(田中ら,2010) 8項目(4段階評定)
3)学校等の友人(以下,リアル友人)に対して,被受容感尺度(杉山ら,2006)8項目(5段階評定)
4)ネット友人に対して,被受容感尺度(同上)
5)インターネットを通して友人をつくることを好ましいことだと考えているか(5段階評定)
調査の実施 2016年10月と2017年5月の,北海道の大学の講義中とサークル活動中に実施した。質問紙には個人情報の保護についてと,調査の参加不参加は自由意志によることを示し,口頭でも説明した。
結果と考察
分析1 リアル友人・ネット友人それぞれの被受容が自己肯定感に与える影響を検討するために,「自己肯定感」を従属変数とし,Step1で「ネット友人への被受容感」と「リアル友人への被受容感」,Step2でその交互作用を投入する階層的重回帰分析を行った。その結果,「自己肯定感」に対しては,「リアル友人からの被受容感」の影響力のみ有意であった(β=.507,p<.001)。
分析2 ネット友人をつくることへの評価とネット友人からの被受容感が自己肯定感に与える影響を検討するために,「自己肯定感」を従属変数とし,Step1で「ネット友人をつくることへの評価」と「ネット友人からの被受容感」,Step2でその交互作用を投入する階層的重回帰分析を行った。その結果,「自己肯定感」に対しては,「ネット友人からの被受容感」の影響力が有意であった(β=.207,p<.10)。また,Step1からStep2へのR2の変化量が有意であり(R2変化量=.062,p<.05),「ネット友人をつくることへの評価」と「ネット友人からの被受容感」の交互作用の有意な影響性が示された(β=.255,p<.05)(Table1)。下位検定の結果,「ネット友人をつくることへの評価」と「ネット友人からの被受容感」の両方が高い場合に,最も「自己肯定感」が高まることが示された(Figure1)。
以上の結果より,自己肯定感はリアル友人からの被受容感に影響を受けているが,ネット友人をつくることについて肯定的な評価をしている個人(+1SD)の場合はネット友人からの被受容感が自己肯定感に有意な正の影響を与えている(β=.413,p>.01)ことが示唆された。