The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PH(01-78)

ポスター発表 PH(01-78)

Mon. Oct 9, 2017 1:00 PM - 3:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

1:00 PM - 3:00 PM

[PH55] 児童養護施設心理職を対象とする補完的教育プログラムの実践(2)

施設心理職としての自己効力感と職務ストレスの変化

若本純子1, 福永真理奈#2 (1.佐賀大学, 2.児童養護施設大村報徳学園)

Keywords:児童養護施設心理職, 専門教育

目   的
 児童養護施設では1999年から心理職が導入されたものの困難な職務状況が報告され続けている。特にSVの資源が十分ではない地方では,児童養護施設の心理支援に不可欠の専門知識とスキルを保障する補完的な教育の徹底が喫緊の課題である。著者らは2016年に全国の児童養護施設心理職に実施した質問紙調査結果(若本・福永, 2017)に基づき,教育プログラムの開発と評価を行ってきた。本研究では,プログラム評価(笹尾, 2007)のうち,プロセス評価に関する検討を行う。

方   法
 研究協力者はA県の児童養護施設心理職7名(全員女性,施設心理職経験0~6年,臨床心理士3名,認定心理士4名)である。2016年7月~2017年2月,児童養護施設心理臨床に関する教育プログラムを計5回実施した。会場は,研究協力者が所属する計5施設の研修室・会議室等で行った。
 プログラムの概要 プログラムは各回7時間(9:30~16:30)実施された。テーマ等をTable1に示す。

 各回の学習は,講義,個人演習,グループワーク(シミュレーション,ロールプレイ,意見交換)の手法を織り交ぜて行われた。さらに,個々の心理職が施設で担当しているケースに関するミニスーパービジョンを,ホームワークと称し,郵送による紙面のやりとりで実施した。
 プロセス評価指標 1)若本(2013)を施設心理職用に改定した「施設心理職としての自己効力感」(13項目6段階評定),2)厚生労働省(2015)ストレスチェック実施プログラムを基に作成した「施設心理職としての職務ストレス」(16項目4段階評定)

結果と考察
 職務自己効力感ならびに職務ストレスの5回にわたる変化をFigure1に示す。職務自己効力感では全体として微増傾向が見出されたが,サンプル数が少ないため,統計的な結論は下せなかった。
別の観点から,全回の平均値が4(どちらかと言えばあてはまる)を超えておらず,施設心理職が職務自己効力感を感じにくい現状が懸念される。
 一方,職務ストレスは回によってばらつきが見られた。これはその時々の職場の状況(多忙さやネガティブな出来事等)と関連した結果と推測される。しかし,職務ストレスと職務自己効力感との間には負の強相関(r=-.74)が見られたことから,職場でのストレスフルな状況は,職務自己効力感の推移にも影響していると考えられる。