[PB58] 特別支援学校におけるキャリア発達支援の研究(4)
就労継続力育成の指導・支援の観点から
Keywords:キャリア発達支援, 特別支援学校, 指導・支援の観点
目 的
今林・榊(2018)は,特別支援学校(知的障害者)において就労継続力の育成に資する指導・支援の観点を明らかにすることを目的とし, 3人の特別支援学校の教師を対象に,そのイメージ構造の分析を行い,教職歴が長くなるにつれて指導・支援の観点は,考慮する対象や範囲の視点が拡がり,深まりを示すことを明らかにしている。
そこで,就労継続力の育成に資する指導・支援の観点変容の一般化の可能性に焦点を当てる。本研究ではその可能性を探る端緒として,毎日の教育活動における,生徒が一般就労するために必要となる力を育成する指導・支援の内容について,自分自身の取り組みに対する自己評価と他者の視点を意識したときの自分自身の取組評価に違いがあるか検討することを目的とする。
方 法
調査協力者:特別支援学校高等部教員101人 調査時期:2017年10月 調査内容:毎日の学校・学部における教育活動において,生徒が一般就労するために必要となる力を育成する指導・支援内容の観点について,「これまでのあなた自身の取組について,どの程度重視して取り組んでいるか(以下,自分自身の取組の重視度)」と「あなたの取組を保護者の視点からはどう捉えられていると思うか(以下,保護者視点での取組評価)」について,「十分でない=1」から「十分である=5」の5件法で回答を求めた。質問項目:今林・榊(2018)のPAC分析で得られた,特別支援学校における就労継続力の指導・支援の育成についての観点を基に,国立特別支援教育総合研究所(2012)の「軽度知的障害のある生徒に必要性の高い指導内容」及び文部科学省(2012)の「キャリア教育アンケートの一例」を参考にし,[①生活基盤力][②社会性発達][③働くイメージ][④学校による支援][⑤家庭による支援][⑥職場による支援][⑦関係機関による支援]の7観点25項目の調査用紙を構成した。
結 果
自分自身の取組の重視度と保護者視点での取組評価について,差があるかを検討するために全ての項目で対応のあるt検定を行った(Table)。その結果,自分自身の取組の重視度と保護者視点での取組評価では,全25項目のうち22項目で5%水準の有意差,1項目で10%水準の有意傾向が認められた。また,有意差の認められた全ての項目の平均値は,自分自身の取組の重視度と比べ他者視点での取組評価の方が低かった。
考 察
教育実践について自分自身の取組についての重視度の評価と保護者視点での取組評価は多くの観点で差が認められている。このことから,教師は自分の指導・支援の取組を検討するときに,他者視点を意識することが,自分自身の取組を客観的に捉えたり,取組のモチベーションを高めたりする変容の手段となり得ることが示唆された。
今林・榊(2018)は,特別支援学校(知的障害者)において就労継続力の育成に資する指導・支援の観点を明らかにすることを目的とし, 3人の特別支援学校の教師を対象に,そのイメージ構造の分析を行い,教職歴が長くなるにつれて指導・支援の観点は,考慮する対象や範囲の視点が拡がり,深まりを示すことを明らかにしている。
そこで,就労継続力の育成に資する指導・支援の観点変容の一般化の可能性に焦点を当てる。本研究ではその可能性を探る端緒として,毎日の教育活動における,生徒が一般就労するために必要となる力を育成する指導・支援の内容について,自分自身の取り組みに対する自己評価と他者の視点を意識したときの自分自身の取組評価に違いがあるか検討することを目的とする。
方 法
調査協力者:特別支援学校高等部教員101人 調査時期:2017年10月 調査内容:毎日の学校・学部における教育活動において,生徒が一般就労するために必要となる力を育成する指導・支援内容の観点について,「これまでのあなた自身の取組について,どの程度重視して取り組んでいるか(以下,自分自身の取組の重視度)」と「あなたの取組を保護者の視点からはどう捉えられていると思うか(以下,保護者視点での取組評価)」について,「十分でない=1」から「十分である=5」の5件法で回答を求めた。質問項目:今林・榊(2018)のPAC分析で得られた,特別支援学校における就労継続力の指導・支援の育成についての観点を基に,国立特別支援教育総合研究所(2012)の「軽度知的障害のある生徒に必要性の高い指導内容」及び文部科学省(2012)の「キャリア教育アンケートの一例」を参考にし,[①生活基盤力][②社会性発達][③働くイメージ][④学校による支援][⑤家庭による支援][⑥職場による支援][⑦関係機関による支援]の7観点25項目の調査用紙を構成した。
結 果
自分自身の取組の重視度と保護者視点での取組評価について,差があるかを検討するために全ての項目で対応のあるt検定を行った(Table)。その結果,自分自身の取組の重視度と保護者視点での取組評価では,全25項目のうち22項目で5%水準の有意差,1項目で10%水準の有意傾向が認められた。また,有意差の認められた全ての項目の平均値は,自分自身の取組の重視度と比べ他者視点での取組評価の方が低かった。
考 察
教育実践について自分自身の取組についての重視度の評価と保護者視点での取組評価は多くの観点で差が認められている。このことから,教師は自分の指導・支援の取組を検討するときに,他者視点を意識することが,自分自身の取組を客観的に捉えたり,取組のモチベーションを高めたりする変容の手段となり得ることが示唆された。