The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

Presentation information

ポスター発表

[PE] ポスター発表 PE(01-71)

Sun. Sep 16, 2018 1:30 PM - 3:30 PM D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号13:30~14:30 偶数番号14:30~15:30

[PE03] 3~5歳児を持つ親の育児におけるソーシャルサポート(2)

父親の視点から

齋藤慈子1, 野嵜茉莉2 (1.上智大学, 2.弘前大学)

Keywords:父親, 育児, ソーシャルサポート

問題と目的
 核家族化が進んだ現代において,父親の育児参加が重要であることは疑いようがない。父親の育児参加促進のための制度は整えられてきているが,「ワンオペ育児」の流行などから,父親の育児不在状態は改善されていないようにみえる。本発表では,父親の育児参加状況および父親の育児におけるソーシャルサポートと母親のそれらとの関連を調査し,父母が受けるソーシャルサポートの中で父親の育児参加に影響を与える要因を検討する。

方  法
参加者 3‐5歳の子どもを1人以上持ち,フルタイムで働く父親とその妻517 組を対象とした。
データ収集方法 調査は調査会社の登録者及びその配偶者を対象に実施し,インターネットを通じて回答を得た。参加者には回答前に回答から個人が特定される可能性はないこと,参加については任意であることが調査画面上で説明され,同意が得られた場合のみ回答を求めた。
質問紙 (a) 母親の就労形態 フルタイム,パートタイム,無職(専業主婦) の3つから選択してもらった。
(b) 父親の育児参加 父親が育児に参加している頻度を,先行研究を参考に9項目設定し,それぞれについて,4件法で回答を求めた。
(c) 父親・母親が認識している祖父母の支援 父母それぞれに,祖父母それぞれについて,子どもが祖父母に会う頻度,祖父母の居住地距離,祖父母が子育てで頼りになる程度,祖父母の子育てや家事への日常的関わりを尋ねた。
(d) 父親・母親が受けている育児支援の状況 父母それぞれが誰からどのような支援を受けているのか調べるため,親族や保育士,公的窓口などの対象ごとの相談頻度,子育て支援をする場・イベント等の活用状況,子どもを通じたつきあいのある地域の人の数について尋ねた。

結果と考察
(1) 母親の就労形態別に見た父親の育児参加の内容・頻度 父親の育児参加の頻度得点について,父親の育児参加の内容と母親の就労形態を要因として分散分析を行った結果,父親育児参加内容による頻度の違いは見られたが,母親の就労形態によって頻度の違いがみられた参加内容は,9項目中「父親が幼稚園/保育園の送迎をする」だけであった(F(2, 514) = 15.71, P < .001,母フルタイム,母パートタイム>母無職)。父親の育児参加は必ずしも母親の就労形態の違いによって促進されているわけではないことが示唆された。
(2) 父親・母親が認識している祖父母による育児支援の関係 祖父母による育児支援に関する父親の認識と母親の認識の相関を調べたところ,会う頻度,居住地距離,頼りになる程度については,同じ祖父母に対する父親と母親の回答に有意な正の相関が見られ,相関係数も .71 ~ .96 と高かった。一方,関わりについては,同じ祖父母に対する父親と母親の回答に有意な相関が見られなかった。父親が祖父母の育児参加の詳細を把握していないことが示唆された。
(3) 父親・母親が受けている育児支援の関係 受けている育児支援の程度に関する父親の認識と母親の認識の相関を調べたところ,いずれの項目においても,父母間で有意な相関は見られなかった。父母それぞれ独立に支援を活用していることが示唆された。
(4) 父親の育児参加の頻度を決める要因 父親の育児参加の頻度には,父母それぞれが認識している祖父母の育児支援,父母それぞれが受けている育児支援の中で何が重要な影響を及ぼすのか検討するため,父母それぞれが回答した育児支援の全変数を独立変数,父親の育児参加内容全9項目の頻度得点の合計を従属変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を行った。その結果,母親が認識している父方祖父の頼りになる程度,及び母親の一時預かりの利用頻度は正の(それぞれ,β = 0.24, P < .01, β = 0.19, P < .05,),父親が認識している父方祖母の関わりの合計は負の(β = -0.17, P < .05) 有意な影響を父親の育児参加合計得点に対して与えるというモデルが最適モデル(調整済みR2 = .10)となった。母親のニーズに合わせて,また,父親の父親が孫育てに積極的であるほど,父親も子育てに参加している可能性が示された。一方で,父方祖母が十分な育児支援をしていると父親が認識している場合には,父親の育児参加が抑制されるのかもしれない。

付  記
 本研究は,日本学術振興会科学研究費補助金(課題番号 25118003: 第一著者)の助成を受けて行われた。