[PE12] 部活動の経験が大学生のソーシャルスキルに与える影響
中学校から大学までの部活動の場面による検討
Keywords:ソーシャルスキル, 部活動経験, 部活動場面
問題と目的
文部科学省(2008)は,変化の激しい社会を担う子どもたちに必要な力を「生きる力」とし,この「生きる力」は,自己の人格を磨き,豊かな人生を送る上でも不可欠であると指摘している。青年期はアイデンティティの確立する段階として,心身ともに大人に向かい,社会に出る準備をする重要な段階である。そして社会へ進出する準備の中で,様々なスキルを身につけることが大切であると考える。そのため,学びの場である学校から社会への進出を目指す大学生が,様々なスキルを身に付けることが非常に重要だと考える。
学校場面において部活動は,先生との関わり,先輩との関わり,仲間との関わり,そして外部との関わりがあり,縦・横関係を持った人間関係の中でスキルを学ぶ貴重な場だと考えられる。そのため,部活動のどの場面でどのようなスキルが身につくかは検討することは重要な意義を持っていると考える。
以上より,中学校から高校まで運動部活動のどのような場面でソーシャルスキルが身に付くか,を明らかにするのが本研究の目的である。
方 法
調査対象:首都圏の6つの大学で部活動に参加している大学生1年生から4年生,計321名に協力を依頼し,質問紙調査を行った。
調査時期:2017年10月~12月
調査内容:(1) フェイスシート:学年,年齢,性別,所属部活動について記入を求めた。(2) スキルについて。スキルが身に付く場面について,中学から大学までの場面別状況について回答を求めた。主に,ミーティングの場面,挨拶の場面,練習の場面,指導の場面,試合の場面,落ち込みの場面について,中学校から現在までの状況について回想法で詳しく回答を求めた。(3) Kiss-18社会的スキル尺度(菊池, 2007)。18項目,4件法。
結果と考察
(1) まず,団体種目と個人種目におけるソーシャルスキルの差を検討するため,ソーシャルスキルの各下位尺度得点についてt検定を行った。その結果,問題解決,トラブル処理,コミュニケーションの3側面とも,個人種目より団体種目の方が有意に高い得点を示した(Figure 1)。
(2) 次に,中学校の部活動のどの場面においてソーシャルスキルが身に付くかを検討するため,部活動の場面を独立変数,ソーシャルスキルの各下位尺度を従属変数とした重回帰分析を行った。その結果,中学校の部活動の場面の中で主に,「ミーティング」と「落ち込み」の場面でソーシャルスキルが身に付くことが明らかになった。
(3) 高校の部活動のどの場面においてソーシャルスキルが身に付くかを検討するため,部活動の場面を独立変数,ソーシャルスキルの各下位尺度を従属変数とした重回帰分析を行った。その結果,高校の部活動の場面の中で主に,「ミーティング」,「挨拶」,「指導」の場面でソーシャルスキルが身に付くことが明らかになった
(4) 大学の部活動のどの場面においてソーシャルスキルが身に付くかを検討するため,部活動の場面を独立変数,ソーシャルスキルの各下位尺度を従属変数とした重回帰分析を行った。その結果,大学生において,部活動のミーティング,挨拶,練習,落ち込みの場面でソーシャルスキルが身に付くことが明らかになった。
以上より,大学生において,ソーシャルスキルは個人種目より団体種目の方が高いことが明らかになった。さらに,中学校から大学まで,ミーティングを行うことや,落ち込んだ場合の励まし合いなどは,ソーシャルスキルが身につくため,積極的に取り組む重要性が示唆された。
文部科学省(2008)は,変化の激しい社会を担う子どもたちに必要な力を「生きる力」とし,この「生きる力」は,自己の人格を磨き,豊かな人生を送る上でも不可欠であると指摘している。青年期はアイデンティティの確立する段階として,心身ともに大人に向かい,社会に出る準備をする重要な段階である。そして社会へ進出する準備の中で,様々なスキルを身につけることが大切であると考える。そのため,学びの場である学校から社会への進出を目指す大学生が,様々なスキルを身に付けることが非常に重要だと考える。
学校場面において部活動は,先生との関わり,先輩との関わり,仲間との関わり,そして外部との関わりがあり,縦・横関係を持った人間関係の中でスキルを学ぶ貴重な場だと考えられる。そのため,部活動のどの場面でどのようなスキルが身につくかは検討することは重要な意義を持っていると考える。
以上より,中学校から高校まで運動部活動のどのような場面でソーシャルスキルが身に付くか,を明らかにするのが本研究の目的である。
方 法
調査対象:首都圏の6つの大学で部活動に参加している大学生1年生から4年生,計321名に協力を依頼し,質問紙調査を行った。
調査時期:2017年10月~12月
調査内容:(1) フェイスシート:学年,年齢,性別,所属部活動について記入を求めた。(2) スキルについて。スキルが身に付く場面について,中学から大学までの場面別状況について回答を求めた。主に,ミーティングの場面,挨拶の場面,練習の場面,指導の場面,試合の場面,落ち込みの場面について,中学校から現在までの状況について回想法で詳しく回答を求めた。(3) Kiss-18社会的スキル尺度(菊池, 2007)。18項目,4件法。
結果と考察
(1) まず,団体種目と個人種目におけるソーシャルスキルの差を検討するため,ソーシャルスキルの各下位尺度得点についてt検定を行った。その結果,問題解決,トラブル処理,コミュニケーションの3側面とも,個人種目より団体種目の方が有意に高い得点を示した(Figure 1)。
(2) 次に,中学校の部活動のどの場面においてソーシャルスキルが身に付くかを検討するため,部活動の場面を独立変数,ソーシャルスキルの各下位尺度を従属変数とした重回帰分析を行った。その結果,中学校の部活動の場面の中で主に,「ミーティング」と「落ち込み」の場面でソーシャルスキルが身に付くことが明らかになった。
(3) 高校の部活動のどの場面においてソーシャルスキルが身に付くかを検討するため,部活動の場面を独立変数,ソーシャルスキルの各下位尺度を従属変数とした重回帰分析を行った。その結果,高校の部活動の場面の中で主に,「ミーティング」,「挨拶」,「指導」の場面でソーシャルスキルが身に付くことが明らかになった
(4) 大学の部活動のどの場面においてソーシャルスキルが身に付くかを検討するため,部活動の場面を独立変数,ソーシャルスキルの各下位尺度を従属変数とした重回帰分析を行った。その結果,大学生において,部活動のミーティング,挨拶,練習,落ち込みの場面でソーシャルスキルが身に付くことが明らかになった。
以上より,大学生において,ソーシャルスキルは個人種目より団体種目の方が高いことが明らかになった。さらに,中学校から大学まで,ミーティングを行うことや,落ち込んだ場合の励まし合いなどは,ソーシャルスキルが身につくため,積極的に取り組む重要性が示唆された。