[PE23] 児童の積極的授業参加に関する研究(31)
注視・傾聴傾向と授業内行動の関連
Keywords:積極的授業参加行動, 注視・傾聴, 観察
布施・小平・安藤(2006)は,積極的授業参加行動(注視・傾聴,挙手・発言,準備・宿題)に関する児童の自己評価は,教師の評定とある程度対応していることを示している。しかし,積極的授業参加行動尺度の得点が,児童達の実際の授業内行動とどのように対応しているのかについては検討されていない。本研究では,余計なことをせずに授業に集中して話を聞く注視・傾聴の側面に注目し,その傾向が高い児童と低い児童の行動の差異を,授業場面の観察を通して検討する。
方 法
観察対象児 関東地方の公立小学校5年生1学級35名(男児19名,女児16名)。
観察手続き 児童には,事前に安藤・小平・布施(2018)の積極的授業参加行動尺度(19項目,4件法)を実施した。後日,著者2名が小学校を訪問し,授業観察とビデオカメラ(教室前方2台,後方1台)による記録を行った。観察対象となったのは国語科の授業(論説文の読解の単元)であった。観察は2018年2月に実施された。
結果・考察
各児童の注視・傾聴得点(平均3.36,SD0.42)を算出し,得点の低い児童3名(A~C,注視・傾聴得点2.5~2.7),得点の高い児童4名(D~G,注視・傾聴得点3.9~4.0,同点の児童を含む)を選出した。計7名について,映像を基に授業中の行動の抽出を試みたところ,授業展開に対応した行動として「ノートテイク」「資料を見る・読む」「教師への反応」「注視」「発話者への反応」が,その他の授業に関する行動として「文具の出し入れ」「落としたものを拾う」「その他」が見られた。教師の指示以外の行動や注意がそれている様子として「他の子への働きかけ」「他の子からの働きかけ」「何かをいじる・見る」「不必要な動作」「よそ見をする」「ぼんやりする」といった行動も確認された。これらの行動を基にカテゴリを作成後,再度7名について映像を確認し,1分間を観察単位とするタイムサンプリング法によってコーディングを行った。55観察単位中,各児童で観察された単位数(平均10以上のもの)をFigure 1,2に示す。
観察された単位数の範囲について2群の重なりがなかったカテゴリに着目すると,注視・傾聴得点の低い児童では,「資料を見る・読む」が見られにくいこと,「他の子への働きかけ」及び「他の子からの働きかけ」が多いことが特徴的であった。参考までに注視・傾聴得点と観察された単位数の相関係数を算出したところ「他の子への働きかけ」(r=-.93),「他の子からの働きかけ」(r=-.87),「資料を見る・読む」(r=.82)で相対的に高い係数が得られた。また,得点の低い群に属するB児は,教師の呼びかけへの反応も良く,発言する児童に関心を向けることが多かった一方,折った紙で遊ぶ(何かをいじる・見る),体を動かす(不必要な動作),よそ見なども多く見られた。
注意がそれている行動については,何かをいじったり,体を動かしたり,よそ見をしたりと,児童によって行動は異なっていたが,教師の指示に従って資料に目をやること,周囲の児童と授業とは関係のないやり取りをすることについては,注視・傾聴の得点との関係が明確なようであった。
方 法
観察対象児 関東地方の公立小学校5年生1学級35名(男児19名,女児16名)。
観察手続き 児童には,事前に安藤・小平・布施(2018)の積極的授業参加行動尺度(19項目,4件法)を実施した。後日,著者2名が小学校を訪問し,授業観察とビデオカメラ(教室前方2台,後方1台)による記録を行った。観察対象となったのは国語科の授業(論説文の読解の単元)であった。観察は2018年2月に実施された。
結果・考察
各児童の注視・傾聴得点(平均3.36,SD0.42)を算出し,得点の低い児童3名(A~C,注視・傾聴得点2.5~2.7),得点の高い児童4名(D~G,注視・傾聴得点3.9~4.0,同点の児童を含む)を選出した。計7名について,映像を基に授業中の行動の抽出を試みたところ,授業展開に対応した行動として「ノートテイク」「資料を見る・読む」「教師への反応」「注視」「発話者への反応」が,その他の授業に関する行動として「文具の出し入れ」「落としたものを拾う」「その他」が見られた。教師の指示以外の行動や注意がそれている様子として「他の子への働きかけ」「他の子からの働きかけ」「何かをいじる・見る」「不必要な動作」「よそ見をする」「ぼんやりする」といった行動も確認された。これらの行動を基にカテゴリを作成後,再度7名について映像を確認し,1分間を観察単位とするタイムサンプリング法によってコーディングを行った。55観察単位中,各児童で観察された単位数(平均10以上のもの)をFigure 1,2に示す。
観察された単位数の範囲について2群の重なりがなかったカテゴリに着目すると,注視・傾聴得点の低い児童では,「資料を見る・読む」が見られにくいこと,「他の子への働きかけ」及び「他の子からの働きかけ」が多いことが特徴的であった。参考までに注視・傾聴得点と観察された単位数の相関係数を算出したところ「他の子への働きかけ」(r=-.93),「他の子からの働きかけ」(r=-.87),「資料を見る・読む」(r=.82)で相対的に高い係数が得られた。また,得点の低い群に属するB児は,教師の呼びかけへの反応も良く,発言する児童に関心を向けることが多かった一方,折った紙で遊ぶ(何かをいじる・見る),体を動かす(不必要な動作),よそ見なども多く見られた。
注意がそれている行動については,何かをいじったり,体を動かしたり,よそ見をしたりと,児童によって行動は異なっていたが,教師の指示に従って資料に目をやること,周囲の児童と授業とは関係のないやり取りをすることについては,注視・傾聴の得点との関係が明確なようであった。