[PE63] 子どもの不登校に伴う母親の変化のプロセスおよびその支援方法の検討
Keywords:不登校, 母親支援, プロセス研究
目 的
わが子が不登校状態になったときに,その母親はその状況についてどのように認知し,どのような態度,行動をとるのか,そして,それはどのように変化していくのか,その一連のプロセスを明らかにし,その結果を踏まえて母親支援について検討することを目的とした。
方 法
不登校経験のある子どもの母親9名を対象に,半構造化面接を実施した。調査時期は,平成27年8月~9月であった。
なお,本調査は,東京学芸大学の研究倫理委員会で実施についての承認(受付番号148)を得たうえで行われた。
結果・考察
M-GTA(木下,2007)を援用し,分析を行った。その結果,母親の変化のプロセスに関する28の概念と8のカテゴリが生成された(Table1)。生成されたカテゴリから,子どもの不登校経験に伴う母親の変化のプロセスが示された。
子どもの不登校経験に伴う母親の変化は,次のようなプロセスを辿る。子どもが不登校状態になった母親は,まず,【苦悩・混乱】する。その後,子どもとの間で【衝突】が生じる。この【衝突】は,初期の段階から見られ,【苦悩・混乱】の時期との間を行き来する。【苦悩・混乱】と【衝突】を繰り返し,子どもの“受容”へと進む。この“受容”は,子どもが学校に行かないことを受け入れる【受容(前期)】と,子どもの気持ちが何よりも大切に思うようになる【受容(後期)】の2段階に分かれる。“受容”が可能になったことで,母親の中に“変化”が生じる。この“変化”も【変化(前期)】と【変化(後期)】の2段階に分かれ,それぞれ内面・行動面での変化が見られる。これらの流れを経て,母親自身の【自己内省】が行われる。子どもが不登校状態から脱した後も,母親は,【不登校経験後の不安】を感じている。
今回示されたプロセスの中で,【苦悩・混乱】や【衝突】を経て,【受容(前期)】に移行する段階が,母親の気持ちの変化における最も大きな転換点である。
本調査では,先行研究(小野,1993;板橋,2000)で明らかになっている段階に加え,子どもが不登校状態から脱した後も母親の不安は継続するということが示された。子どもが不登校状態から脱した後も,母親は,“また不登校になってしまうのではないか”という不安を抱き続けるのではと考えられる。
また,語りから,母親は,自分の気持ちを聞いてもらえる場所や,同様に子どもが不登校になった経験を持つ母親と話したいと考えていることが示された。支援者が,同じ境遇にある母親同士を結びつける橋渡し的な役割を担うことの重要性が,当事者の語りからも再確認された。同じ境遇にある母親と想いを共有することで,変化が促され,次の段階へと移行しやすくなることが推測される。
わが子が不登校状態になったときに,その母親はその状況についてどのように認知し,どのような態度,行動をとるのか,そして,それはどのように変化していくのか,その一連のプロセスを明らかにし,その結果を踏まえて母親支援について検討することを目的とした。
方 法
不登校経験のある子どもの母親9名を対象に,半構造化面接を実施した。調査時期は,平成27年8月~9月であった。
なお,本調査は,東京学芸大学の研究倫理委員会で実施についての承認(受付番号148)を得たうえで行われた。
結果・考察
M-GTA(木下,2007)を援用し,分析を行った。その結果,母親の変化のプロセスに関する28の概念と8のカテゴリが生成された(Table1)。生成されたカテゴリから,子どもの不登校経験に伴う母親の変化のプロセスが示された。
子どもの不登校経験に伴う母親の変化は,次のようなプロセスを辿る。子どもが不登校状態になった母親は,まず,【苦悩・混乱】する。その後,子どもとの間で【衝突】が生じる。この【衝突】は,初期の段階から見られ,【苦悩・混乱】の時期との間を行き来する。【苦悩・混乱】と【衝突】を繰り返し,子どもの“受容”へと進む。この“受容”は,子どもが学校に行かないことを受け入れる【受容(前期)】と,子どもの気持ちが何よりも大切に思うようになる【受容(後期)】の2段階に分かれる。“受容”が可能になったことで,母親の中に“変化”が生じる。この“変化”も【変化(前期)】と【変化(後期)】の2段階に分かれ,それぞれ内面・行動面での変化が見られる。これらの流れを経て,母親自身の【自己内省】が行われる。子どもが不登校状態から脱した後も,母親は,【不登校経験後の不安】を感じている。
今回示されたプロセスの中で,【苦悩・混乱】や【衝突】を経て,【受容(前期)】に移行する段階が,母親の気持ちの変化における最も大きな転換点である。
本調査では,先行研究(小野,1993;板橋,2000)で明らかになっている段階に加え,子どもが不登校状態から脱した後も母親の不安は継続するということが示された。子どもが不登校状態から脱した後も,母親は,“また不登校になってしまうのではないか”という不安を抱き続けるのではと考えられる。
また,語りから,母親は,自分の気持ちを聞いてもらえる場所や,同様に子どもが不登校になった経験を持つ母親と話したいと考えていることが示された。支援者が,同じ境遇にある母親同士を結びつける橋渡し的な役割を担うことの重要性が,当事者の語りからも再確認された。同じ境遇にある母親と想いを共有することで,変化が促され,次の段階へと移行しやすくなることが推測される。