The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表

[PE] ポスター発表 PE(01-71)

Sun. Sep 16, 2018 1:30 PM - 3:30 PM D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号13:30~14:30 偶数番号14:30~15:30

[PE65] 北海道の初任者教員の抱える困難や支援ニーズの検討

谷口祥広 (北海道教育大学札幌校)

Keywords:初任者のニーズ, 支援

目  的
 近年,初任者教員が抱える困難は,多様であり,いつどこで組織社会化する際に壁を感じるかは,文脈に大きく依存するといえる。また,北海道は広域分散性により,都市部と地方の教職員の年齢層に大きな開きがあり,地方の学校においては教職員の年齢層が年々,低下している。また,地域によって,教育環境に大きな格差があることが課題となっている。 
 筆者は,現場で初任者を支援していくためにも,初任者が抱える困難やニーズを捉える必要があるという問題意識がある。
 そこで本研究では,初任者が抱える困難を明らかにすることを目的とする。また,困難であるが成長につながる経験とその際の周囲の支援についても同時に調査していく。

方  法
 予備調査と脇本(2015)らの先行研究をもとに,初任者が抱える困難を8領域〔子どもに関すること,授業について,組織に関すること,部活やクラブ,業務に関すること,保護者に関すること,生活と仕事,地域に関すること〕19項目に分け,調査した。その結果を5件法にて点数化し(点数が高いほど困難である),表にまとめた。また,成長につながった困難に関するエピソードとその際にどのような立場の人からどのような支援を受けたかを自由記述式で回答を求めた。

結果と考察
 アンケートの回答者は120名(有効回答数109名)であった。各項目の平均値と標準偏差を求めたところ,困難を抱えたのは,子どもに関することと授業についての2項目が高い数値を示していた。また,それぞれの項目について平均値を比較するため一要因の分散分析を実施したところ,平均値に関してF(7,756)=31.57,p<.01となり項目間の主効果が認められた。多重比較を実施したところ,子どもに関することの困難が,授業に関することと保護者に関すること以外の5項目について,困難度の得点の差が有意に高かった。
 成長につながった困難の記述では,「人に質問する事に恐怖心があったが,この先生のおかげで,他の先生たちに自分から関わりにいき,質問に行くことができるようになった」や「同僚との他愛のない話の中で,児童に対する新たな考え方を発見し成長できた」と述べるものなど多様であった。また,その際に受けた支援は,フォーマルなものからインフォーマルなものまで様々であった。
 今回の研究では,初任者の困難について量的な調査を行った。当日は,筆者が関わる初任者教員の抱える困難やそれに対しての有効と思われる支援の具体的なエピソードを交え,実践内容を検討したい。