[PF12] 幼児は相互作用場面においてどのような位置関係を好むのか? (2)
自由遊び場面での遊びのタイプとの関連
Keywords:幼児, 位置関係, 遊びのタイプ
目 的
幼児期における仲間関係は,3歳後半から4歳までに特定の他者を意識した上での友達関係が形成される(Hartup,1992)。特定の他者を意識する幼稚園での活動として,着席位置があげられる。幼児は仲間と着席位置を決めるときにタテの位置関係(対面やななめ)よりもヨコの位置関係(隣や直角)を好むことが外山(1998)で示されている。また,クラスの活動場面においては3歳児・4歳児は物理的に距離が近い位置関係(ヨコの位置関係)を好む傾向が見られ,年齢とともに物理的な距離よりも心理的な距離(タテの位置関係)を好むことが考えられる(神田・島,2017)。
このような行動は何に影響されているのだろうか。まだ解明されていないが,その人の特性によるものという考え(パーソナリティ特性論), 状況によるものと考え(状況主義),また特性と状況の相互作用によるという考え(相互作用論)がある(若林,1993)。
本研究では状況主義の考え方から,幼児は状況によって好む位置関係が変わってくると仮定して,幼稚園の自由遊び場面において相互作用が発生する際の幼児同士の位置関係について検討していく。
方 法
観察対象 A県内の幼稚園に通う3歳児クラス,4歳児クラス,5歳児クラス。
観察手続き 幼児が登園してから降園するまでの9:00~14:30まで観察した。観察方法はアドリブサンプリングを用いた。また,幼児同士の相互作用が発生している場面を撮影した。総観察時間は約7時間30分で,各クラスでの撮影時間は,3歳児2時間10分,4歳児2時間20分,5歳児2時間40分であった。
エピソードの抽出方法 各撮影データのなかで場所を決めてから3分以上のやり取りがあった場合を1個のエピソードとする。いったんその場から離れてから1分以内に戻ってきた場合はエピソードが継続するとして,エピソードを抽出した。
位置関係 分析可能な84個のエピソードをもとに,各学年をヨコの位置関係,タテの位置関係,円の位置関係に分類した。
遊びのタイプの分類 各エピソードをParten(1932)の6つ遊びのタイプから,並行遊び,連合遊び,協同遊びの3つに分類した。本研究では相互作用が発生する場面を見ているため,専念する遊び,傍観者遊び,ひとり遊びは除外して分類した。
結 果
各年齢と位置関係のエピソード数をTable 1に示す。カイ二乗検定の結果,各クラスと位置関係に差があることがわかった(χ2 (4)= 13.289,p<.01)。よって,ヨコの位置関係については,どの年齢においても差がないこと,タテの位置関係が回数的に多く見ることができるのは4歳児であることがいえる。円の位置関係においては,今回の観察では3歳児では見ることがなかったものの年齢を重ねることで増えていると考えられる。
また,位置関係と遊びのタイプのエピソード数をTable 2に示す。カイ二乗検定を行った結果,位置関係と遊びのタイプのエピソード数に差があることがいえた(χ2(4)=22.267,p<.01)。並行遊び・連合遊びともにタテの位置関係での関わり方が多く,また,協同遊びになると円の位置関係の観察回数が多くなっていることがわかる。
考 察
自由遊び場面での年齢と位置関係について,年齢が上がっていくと,タテや円の位置関係で関わることがあることが考えられる。これは,円の位置関係で多く見られた協同遊びが,それぞれが役割をもった遊びをする遊びであるために,互いに話をしやすい位置関係になったのではないかと考えられる。加えて,1対1の遊びではなく,3人以上での遊びになっていくため,お互いの表情や行動をよく見ることができる円の位置関係が好まれると考えられる。遊びのタイプが変化していくことにともない,遊びにおける幼児の位置関係も変化することが示唆された。
幼児期における仲間関係は,3歳後半から4歳までに特定の他者を意識した上での友達関係が形成される(Hartup,1992)。特定の他者を意識する幼稚園での活動として,着席位置があげられる。幼児は仲間と着席位置を決めるときにタテの位置関係(対面やななめ)よりもヨコの位置関係(隣や直角)を好むことが外山(1998)で示されている。また,クラスの活動場面においては3歳児・4歳児は物理的に距離が近い位置関係(ヨコの位置関係)を好む傾向が見られ,年齢とともに物理的な距離よりも心理的な距離(タテの位置関係)を好むことが考えられる(神田・島,2017)。
このような行動は何に影響されているのだろうか。まだ解明されていないが,その人の特性によるものという考え(パーソナリティ特性論), 状況によるものと考え(状況主義),また特性と状況の相互作用によるという考え(相互作用論)がある(若林,1993)。
本研究では状況主義の考え方から,幼児は状況によって好む位置関係が変わってくると仮定して,幼稚園の自由遊び場面において相互作用が発生する際の幼児同士の位置関係について検討していく。
方 法
観察対象 A県内の幼稚園に通う3歳児クラス,4歳児クラス,5歳児クラス。
観察手続き 幼児が登園してから降園するまでの9:00~14:30まで観察した。観察方法はアドリブサンプリングを用いた。また,幼児同士の相互作用が発生している場面を撮影した。総観察時間は約7時間30分で,各クラスでの撮影時間は,3歳児2時間10分,4歳児2時間20分,5歳児2時間40分であった。
エピソードの抽出方法 各撮影データのなかで場所を決めてから3分以上のやり取りがあった場合を1個のエピソードとする。いったんその場から離れてから1分以内に戻ってきた場合はエピソードが継続するとして,エピソードを抽出した。
位置関係 分析可能な84個のエピソードをもとに,各学年をヨコの位置関係,タテの位置関係,円の位置関係に分類した。
遊びのタイプの分類 各エピソードをParten(1932)の6つ遊びのタイプから,並行遊び,連合遊び,協同遊びの3つに分類した。本研究では相互作用が発生する場面を見ているため,専念する遊び,傍観者遊び,ひとり遊びは除外して分類した。
結 果
各年齢と位置関係のエピソード数をTable 1に示す。カイ二乗検定の結果,各クラスと位置関係に差があることがわかった(χ2 (4)= 13.289,p<.01)。よって,ヨコの位置関係については,どの年齢においても差がないこと,タテの位置関係が回数的に多く見ることができるのは4歳児であることがいえる。円の位置関係においては,今回の観察では3歳児では見ることがなかったものの年齢を重ねることで増えていると考えられる。
また,位置関係と遊びのタイプのエピソード数をTable 2に示す。カイ二乗検定を行った結果,位置関係と遊びのタイプのエピソード数に差があることがいえた(χ2(4)=22.267,p<.01)。並行遊び・連合遊びともにタテの位置関係での関わり方が多く,また,協同遊びになると円の位置関係の観察回数が多くなっていることがわかる。
考 察
自由遊び場面での年齢と位置関係について,年齢が上がっていくと,タテや円の位置関係で関わることがあることが考えられる。これは,円の位置関係で多く見られた協同遊びが,それぞれが役割をもった遊びをする遊びであるために,互いに話をしやすい位置関係になったのではないかと考えられる。加えて,1対1の遊びではなく,3人以上での遊びになっていくため,お互いの表情や行動をよく見ることができる円の位置関係が好まれると考えられる。遊びのタイプが変化していくことにともない,遊びにおける幼児の位置関係も変化することが示唆された。