[PF13] 高校生の探究的学習スキルが教科学力に及ぼす影響
スーパーサイエンスハイスクールにおける検討
Keywords:探究的学習, 学力, 批判的思考
目 的
本研究の目的は,スーパーサイエンスハイスクール(SSH)における探究型学習の指導が,教科学力に及ぼす効果を検討することである。これまで,探究型学習の指導が汎用的スキル育成に及ぼす効果を検討してきた(楠見,2016,2017,教心大会)。しかし,教科学力への波及効果は明らかになっていない。そこで,本研究では,探究型学習活動を,高校1年次から実践している高校において調査する。とくに,教科学力に及ぼす効果を,異なる実践を行っている2学科(サイエンスリサーチ科と国際探究学科)において,その3学年の変化を,比較することによって検討する。
方 法
調査回答者 SSH指定10年目の県立高校1,2,3年生226(サイエンスリサーチ(SR)科111,国際探求科115)名。
質問項目 1. 探究スキル尺度(楠見,2017)は,探究,表現の2つの下位スキル尺度(各4項目)で構成した。これらのスキルを今どのくらい身につけているかを5件法で評定を求めた。
2.学習スキル・批判的思考態度尺度(楠見,2017)は,関連づけ,探究心,論理・証拠重視の3つの下位尺度(2,4,4項目)で構成され,どのくらい当てはまるかを5件法で評定を求めた。
3.学力データとして,国語・数学・英語・理科・探究の成績(4段階),3教科模試成績(13段階),英語4技能検定スコア(GTEC)(6段階)を用いた。
結果と考察
探究・学習スキルや思考態度の変化 SR科では,1年と3年の間の有意な上昇が全下位尺度にみられた。ただし,1-2年の間は変化なしと低下が半々であった。一方,国際探求科では,探究スキルにおいて学年進行による上昇があった(Figure 1)。
探究スキルと学力の関係 SR科において,探究スキルは教科の探究や数学と,表現スキルは教科の探究・数学及び2年模試成績と,関連づけは理科・数学・英語及び2年模試成績と,批判的思考態度は数学との正相関があった(表1下)。一方,国際探求科においては,表現スキルは教科探究と正相関したが,他の相関はなかった(表1上)。
探究スキルとGTECの相関 関連づけは,GTECのスコアと正相関があった。SR科,国際探求科それぞれで,1年(.28,.11),2年 (.30,.24),3年(.38,.39)であった。
まとめ
2学科間に探究スキル等の学年変化および学力との相関に差異が見られた。
今後の課題は,追跡調査によって,両学科の実践内容に基づいて,教科への波及効果を検討することである。
本研究の目的は,スーパーサイエンスハイスクール(SSH)における探究型学習の指導が,教科学力に及ぼす効果を検討することである。これまで,探究型学習の指導が汎用的スキル育成に及ぼす効果を検討してきた(楠見,2016,2017,教心大会)。しかし,教科学力への波及効果は明らかになっていない。そこで,本研究では,探究型学習活動を,高校1年次から実践している高校において調査する。とくに,教科学力に及ぼす効果を,異なる実践を行っている2学科(サイエンスリサーチ科と国際探究学科)において,その3学年の変化を,比較することによって検討する。
方 法
調査回答者 SSH指定10年目の県立高校1,2,3年生226(サイエンスリサーチ(SR)科111,国際探求科115)名。
質問項目 1. 探究スキル尺度(楠見,2017)は,探究,表現の2つの下位スキル尺度(各4項目)で構成した。これらのスキルを今どのくらい身につけているかを5件法で評定を求めた。
2.学習スキル・批判的思考態度尺度(楠見,2017)は,関連づけ,探究心,論理・証拠重視の3つの下位尺度(2,4,4項目)で構成され,どのくらい当てはまるかを5件法で評定を求めた。
3.学力データとして,国語・数学・英語・理科・探究の成績(4段階),3教科模試成績(13段階),英語4技能検定スコア(GTEC)(6段階)を用いた。
結果と考察
探究・学習スキルや思考態度の変化 SR科では,1年と3年の間の有意な上昇が全下位尺度にみられた。ただし,1-2年の間は変化なしと低下が半々であった。一方,国際探求科では,探究スキルにおいて学年進行による上昇があった(Figure 1)。
探究スキルと学力の関係 SR科において,探究スキルは教科の探究や数学と,表現スキルは教科の探究・数学及び2年模試成績と,関連づけは理科・数学・英語及び2年模試成績と,批判的思考態度は数学との正相関があった(表1下)。一方,国際探求科においては,表現スキルは教科探究と正相関したが,他の相関はなかった(表1上)。
探究スキルとGTECの相関 関連づけは,GTECのスコアと正相関があった。SR科,国際探求科それぞれで,1年(.28,.11),2年 (.30,.24),3年(.38,.39)であった。
まとめ
2学科間に探究スキル等の学年変化および学力との相関に差異が見られた。
今後の課題は,追跡調査によって,両学科の実践内容に基づいて,教科への波及効果を検討することである。