[PG67] 小学校の委員会活動におけるピア・サポートプログラムがピア・サポーターに与える効果
Keywords:ピア・サポート, ピア・サポーター, 自己効力感
問題と目的
「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(文部科学省,2016)によると,依然多くの学校でいじめや不登校などの問題が存在し,その一部は解決されていない。これらの諸問題に対して,ピア・ サポート活動が有効であるという報告が増えてきている。小学校においては,クラスワイド・ピア・サポートに関する実践が幾つか見られる。また,保健委員会等の活動の一部として,あるいは児童会活動の一部としての有志によるピア・サポート活動に関しては実践的な研究が散見される。しかし、全校生を対象としたピア・サポートプログラムを主な活動として行う委員会活動の導入と,ピア・サポーターへの効果に関する研究は希少である。そこで、本研究では,委員会活動の中にピア・サポートプログラムを主な活動として行う委員会として安心委員会を設立した。そして,子どもたち自身が人間関係づくりを育むピア・サポートプログラムを実践し,ピア・サポーターへの効果について検討する。
方 法
調査対象:関西都市圏の公立小学校に在籍する5年生と6年生を分析の対象とした。
調査内容:①ローゼンバーグ自尊感情尺度(櫻井,2000)②対人的自己効力感尺度(松尾・新井,1998)③認知・感情共感性尺度(村上・西村・櫻井,2014)全ての質問紙を4件法で実施した。
調査時期:事前調査を11月に,事後調査を12月に実施した。
実践プログラム内容:①つながりタイム(休み時間における学級・学年を超えた遊びのサポート),②安心教室(休み時間・放課後を利用した安心委員会児童による希望児童への学習サポート)③ちょこっと相談(休み時間において相談希望児童に安心委員会児童が行う問題解決サポート)の3つの活動に加えて,がんばり・ありがとうカード(各学級における友だち同士の認め合い活動のサポート)を児童が中心になって計画し,2 学期後半の11 月~12月 に実施した。
結 果
それぞれの尺度得点に対して,時期(事前・事後)×群(安心委員会児童・その他の児童)の2要因混合計画の分散分析を実施した。その結果,自尊感情に有意な変化は認められなかった。対人的自己効力感に交互作用が認められたため,単純主効果の検定を行ったところ,安心委員会児童群の得点が有意に上昇(F(1,191)=7.42,p <.01)していた。認知・感情共感性に時期の主効果が認められた(F(1,191)=4.54, p <.05)。
考 察
対人的自己効力感は,安心委員会の児童の得点が有意に上昇していた。これは,安心委員会の児童が,普段関わりが少ない異学年との交流を積極的に計画・運営し,多くの人の役に立つことができたという思いをもつことで、対人的自己効力感の高まりにつながったということが考えられる。また,安心委員会児童に限らず,5, 6年生の児童全体の認知・感情共感性が高まっていた。これは,学年を超えた交流や感謝の気持ちを伝える取り組みで,他者を思いやる気持ちである共感性が高まったということが考えられる。
「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(文部科学省,2016)によると,依然多くの学校でいじめや不登校などの問題が存在し,その一部は解決されていない。これらの諸問題に対して,ピア・ サポート活動が有効であるという報告が増えてきている。小学校においては,クラスワイド・ピア・サポートに関する実践が幾つか見られる。また,保健委員会等の活動の一部として,あるいは児童会活動の一部としての有志によるピア・サポート活動に関しては実践的な研究が散見される。しかし、全校生を対象としたピア・サポートプログラムを主な活動として行う委員会活動の導入と,ピア・サポーターへの効果に関する研究は希少である。そこで、本研究では,委員会活動の中にピア・サポートプログラムを主な活動として行う委員会として安心委員会を設立した。そして,子どもたち自身が人間関係づくりを育むピア・サポートプログラムを実践し,ピア・サポーターへの効果について検討する。
方 法
調査対象:関西都市圏の公立小学校に在籍する5年生と6年生を分析の対象とした。
調査内容:①ローゼンバーグ自尊感情尺度(櫻井,2000)②対人的自己効力感尺度(松尾・新井,1998)③認知・感情共感性尺度(村上・西村・櫻井,2014)全ての質問紙を4件法で実施した。
調査時期:事前調査を11月に,事後調査を12月に実施した。
実践プログラム内容:①つながりタイム(休み時間における学級・学年を超えた遊びのサポート),②安心教室(休み時間・放課後を利用した安心委員会児童による希望児童への学習サポート)③ちょこっと相談(休み時間において相談希望児童に安心委員会児童が行う問題解決サポート)の3つの活動に加えて,がんばり・ありがとうカード(各学級における友だち同士の認め合い活動のサポート)を児童が中心になって計画し,2 学期後半の11 月~12月 に実施した。
結 果
それぞれの尺度得点に対して,時期(事前・事後)×群(安心委員会児童・その他の児童)の2要因混合計画の分散分析を実施した。その結果,自尊感情に有意な変化は認められなかった。対人的自己効力感に交互作用が認められたため,単純主効果の検定を行ったところ,安心委員会児童群の得点が有意に上昇(F(1,191)=7.42,p <.01)していた。認知・感情共感性に時期の主効果が認められた(F(1,191)=4.54, p <.05)。
考 察
対人的自己効力感は,安心委員会の児童の得点が有意に上昇していた。これは,安心委員会の児童が,普段関わりが少ない異学年との交流を積極的に計画・運営し,多くの人の役に立つことができたという思いをもつことで、対人的自己効力感の高まりにつながったということが考えられる。また,安心委員会児童に限らず,5, 6年生の児童全体の認知・感情共感性が高まっていた。これは,学年を超えた交流や感謝の気持ちを伝える取り組みで,他者を思いやる気持ちである共感性が高まったということが考えられる。