The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表

[PG] ポスター発表 PG(01-76)

Mon. Sep 17, 2018 10:00 AM - 12:00 PM D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号10:00~11:00 偶数番号11:00~12:00

[PG68] 一斉授業を対象とした解決焦点化アプローチ(SFA)の研究      

教科意識を測定する尺度の開発について

市川哲1, 渡邊毅#2, 工藤弘3 (1.大阪産業大学, 2.皇學館大学, 3.安曇野市立豊科東小学校)

Keywords:一斉授業, 解決焦点化アプローチ, 教科意識

問題と目的
 本研究は,学級を対象とした一斉授業に解決焦点化アプローチ(SFA)を取り入れた場合の,苦手教科(不得意教科)意識の改善を捉えるための尺度の開発を行う。従来解決焦点化アプローチの効果を捉える質問紙・尺度については,Anthony,M.
Grant et al(2012),J.J Murphy(2018)の試みがある。しかしいずれも臨床の場で適用するものであった。
 他方村田(2003)は,一斉授業における小学5・6年生を対象に解決焦点化アプローチ(SFA)を取り入れた。そして,苦手教科意識を20項目により捉え,「意欲的な取り組み」「既にある教科に対する有能感」「教科に対する肯定的感情」「学力向上に対する自己効力感」の4因子からなる質問紙を作成した。
 本研究では,村田(2003)の20項目を用いて再度因子分析を実施して,因子を確認し,尺度の妥当性の検討をも試みることを目的とする。

方   法
対象者 小学校5・6年生計76名
質問項目・尺度 ①村田(2003)の20項目5件法, ②妥当性を検討する外的基準として,桜井・桜井(1991)児童用領域別効力感尺度,(1)学業達成,(2)友人関係,(3)運動,(4)自己の計4因子,各8項目計32項目4件法を使用した。

結果と考察
1.教科意識調査結果の因子分析の結果
 固有値の減衰状況から3因子を想定して因子分析(主因子法・バリマックス回転)を行った。そ
の結果,第1因子「既にある教科の有能感8項目」, 第2因子「教科への意欲的な取り組み6項目」,第3因子「教科へ科の肯定的感情5項目」の3因子(計19項目)を抽出した(Table 1)。また,各因子のクロンバックによる信頼性係数を算出したところ,十分な内的整合性が確認された(α=.82~.86)。
2.相関分析結果
 教科意識調査結果の3因子の妥当性を検討するため,児童用自己効力感尺度4因子とのPearsonの相関係数および有意確率(両側検定)を調べた。その結果教科意識の3因子間では.727~.807の高い有意な相関が見いだされた(Table2)。3因子と自己効力感4因子との相関を見ると,友人関係で.149~.198とほとんど相関が見られず,一方,運動,自己では低い相関が見いだされ,一部で有意な相関が見られた。学業達成ではいずれも,有意な低い相関および,かなり相関があるとする結果が見いだされた。
 教科意識調査結果と自己効力感尺度領域別の相関の高低で見れば,まず学業達成領域と次に体育がかかわる運動領域で低いおよびかなりの相関が見られ,自己,友人関係領域の順番で低い相関およびほとんど相関がみられない関係が示されており,教科意識を測定する用具としてのまずまずの妥当性を示しているものと解釈できよう。