[PG72] 中学生の友人関係とSNS利用行動との関連
LINEに着目して
Keywords:中学生, 友人関係, LINE
問題と目的
近年,青少年をとりまく環境は大きく変わり,総務省(2016)の実態調査では中学生の約71%がスマートフォンを所持していると報告された。子ども達は,LINEなどのSocial Net-working Service(以下SNS)を気軽に利用しており,様々なトラブルが起きている。
SNSが利用されるようになったのは近年のため,中学生のSNS利用に関する先行研究は多くない。堀川他(2012)は,友人関係の満足度がSNS利用へ影響することを報告している。SNS利用には,友人関係と関連があることが明らかになりつつある。
そこで本研究では,中学生の友人関係とSNS利用行動のとの関連について,LINEの利用行動に焦点を当てて分析する。
方 法
調査対象者・調査時期 A県内の公立中学校2校の1~3年生1203名。2017年7月~11月。
調査手続き 一斉配布による質問紙調査を実施。
調査内容 ①フェースシート。②友人関係尺度(15項目4件法): 永井(2016)の友人関係尺度を参考に独自作成。③LINE利用行動尺度(17項目4件法): 高橋・伊藤(2016)のSNS利用時の行動の尺度を参考に独自作成。④親子関係尺度と⑤Twitter利用行動尺度も同時に実施されたが,今回の分析には使用しなかった。
倫理的配慮 聖徳大学倫理審査委員会の承認を得て調査を実施した。
結果と考察
(1)因子構造の検討
友人関係尺度,LINE利用行動尺度について,最尤法,プロマックス回転による探索的因子分析を行った。友人関係は4因子が抽出され,第1因子「配慮・対立回避」,第2因子「自己開示」,第3因子「繋がり欲求」,第4因子「友人からの評価懸念」と命名した。LINE利用行動は3因子が抽出され,第1因子「身近な人やグループにおける安心感の獲得」,第2因子「自己アピール」,第3因子「不快な気持ちの共有と解消」と命名した。
(2)友人関係とLINE利用行動の関連の検討
中学生の友人関係のLINE利用行動への影響を検討するため,各変数の相関係数を考慮し,測定された全ての変数において共分散構造分析を行った。第1水準には友人関係の4つの変数を用い,第2水準にはLINE利用行動の3変数を用いた。初期モデルでは全ての可能な変数の組み合わせで,第1水準→第2水準方の方向にパスを設定した。有意ではなかったパスと相関を削除して修正モデルを構築した結果をFigure1に示す。適合度指数はχ²(7)=13.692,n.s,GFI=0.990,AGFI=0.959,
CFI=0.989,RMSEA=0.050で,十分モデルの採択が可能な値であった。
中学生の友人関係において,落ち込んだ時話を聞いてもらうというような「自己開示」の行動において,LINE利用行動への関連が示された。また,友人からどう見られているかを気にするというような「友人からの評価懸念」の心情からLINE利用行動への関連が示された。以上の結果から,中学生の友人関係を理解することが,LINE利用の啓発へ繋がるということが示唆された。
近年,青少年をとりまく環境は大きく変わり,総務省(2016)の実態調査では中学生の約71%がスマートフォンを所持していると報告された。子ども達は,LINEなどのSocial Net-working Service(以下SNS)を気軽に利用しており,様々なトラブルが起きている。
SNSが利用されるようになったのは近年のため,中学生のSNS利用に関する先行研究は多くない。堀川他(2012)は,友人関係の満足度がSNS利用へ影響することを報告している。SNS利用には,友人関係と関連があることが明らかになりつつある。
そこで本研究では,中学生の友人関係とSNS利用行動のとの関連について,LINEの利用行動に焦点を当てて分析する。
方 法
調査対象者・調査時期 A県内の公立中学校2校の1~3年生1203名。2017年7月~11月。
調査手続き 一斉配布による質問紙調査を実施。
調査内容 ①フェースシート。②友人関係尺度(15項目4件法): 永井(2016)の友人関係尺度を参考に独自作成。③LINE利用行動尺度(17項目4件法): 高橋・伊藤(2016)のSNS利用時の行動の尺度を参考に独自作成。④親子関係尺度と⑤Twitter利用行動尺度も同時に実施されたが,今回の分析には使用しなかった。
倫理的配慮 聖徳大学倫理審査委員会の承認を得て調査を実施した。
結果と考察
(1)因子構造の検討
友人関係尺度,LINE利用行動尺度について,最尤法,プロマックス回転による探索的因子分析を行った。友人関係は4因子が抽出され,第1因子「配慮・対立回避」,第2因子「自己開示」,第3因子「繋がり欲求」,第4因子「友人からの評価懸念」と命名した。LINE利用行動は3因子が抽出され,第1因子「身近な人やグループにおける安心感の獲得」,第2因子「自己アピール」,第3因子「不快な気持ちの共有と解消」と命名した。
(2)友人関係とLINE利用行動の関連の検討
中学生の友人関係のLINE利用行動への影響を検討するため,各変数の相関係数を考慮し,測定された全ての変数において共分散構造分析を行った。第1水準には友人関係の4つの変数を用い,第2水準にはLINE利用行動の3変数を用いた。初期モデルでは全ての可能な変数の組み合わせで,第1水準→第2水準方の方向にパスを設定した。有意ではなかったパスと相関を削除して修正モデルを構築した結果をFigure1に示す。適合度指数はχ²(7)=13.692,n.s,GFI=0.990,AGFI=0.959,
CFI=0.989,RMSEA=0.050で,十分モデルの採択が可能な値であった。
中学生の友人関係において,落ち込んだ時話を聞いてもらうというような「自己開示」の行動において,LINE利用行動への関連が示された。また,友人からどう見られているかを気にするというような「友人からの評価懸念」の心情からLINE利用行動への関連が示された。以上の結果から,中学生の友人関係を理解することが,LINE利用の啓発へ繋がるということが示唆された。