[PH69] 児童の社会性発達を視点とした学校適応アセスメント(2)
学年差・学級差の特性と担任間の共同性による影響
Keywords:アセスメント, 学年差・学級差, 共同性
従来,学校において児童の学級不適応,学級内秩序の崩壊,授業実践(学力)における学年差・学級差が報告(例えば松沼・五十嵐,2016)されている。この状況を改善するために,予防教育プログラムの導入や学校経営システムの改善が期待されているが,適切なアセスメントとエビデンスに基づいた介入・支援が求められる。本研究では,児童の学校適応の実態を社会性発達の面からアセスメントし,学年差・学級差に応じた,決め細やかな改善方針の立案に資することとした。
方 法
調査協力者 岐阜県内の小学校において,2017年11月に質問紙調査を実施し,有効データが得られた516名(3年男子66名・女子56名,4年生男子64名・女子74名,5年生男子69名・女子68名,6年生男子68名・女子51名,全学年4学級)を分析対象とした。
測定内容 (1)小学生用P-R攻撃性尺度(坂井・山崎,2004;不表出攻撃性・表出攻撃性・関係攻撃性各7項目4件法),(2)社会的スキル尺度(藤枝・相川,2001;向社会性7項目・引込思案4項目5件法),(3)多次元共感性尺度(長谷川他,2009;役割取得9項目・共感的関心7項目5件法),(4)小学生用規範行動自己評定尺度(山田他,2013;対人間の好ましい行動・対人間で遵守すべき行動・個人として遵守すべき行動各5項目4件法),(5)社会的自己制御尺度(原田他,2008;自己主張のみ
8項目5件法)
結果と考察
各学年内の4学級間,4~6年生間の分散分析多重比較を行った。また,先行論文の平均値に対する割合をレーダーチャートにして表示した(一部学年:Figure 1)。
主な分析結果として,6年生では,向社会性,自己主張,引っ込み思案において,学級間の平均点に有意差が見られた。これらの得点が低い傾向を示す学級は,管理職から学級適応度が低いと判断されている学級であった(Table 1)。児童間の仲間関係が醸成されておらず,コミュニケーションがうまく成り立たっていないことが推測でき,当該学級には,仲間関係形成のためのプログラムを意図的に実施することが必要であることがうかがわれた。
3年生では,共感的関心,役割取得において,学級間の平均点に有意差が見られた(Table 2)。これらの項目が高い傾向を示す学級は,管理職から学級適応度が高いと判断されている学級であった。仲間の気持ちを考えることや思いやりの気持ちをもつための介入・指導が,学級適応を高めるために有効であることがうかがわれた。
一方,指導内容・方法について学年の担任間の統一感が高い学年(5年生など)は,全4学級ともすべての項目の平均点に差が無く,他学年よりも学級での適応感が高かった(Figure 1)。担任間の共同性を高め,学年内での統一感をもった指導を行うことが,学級差を生み出さないために有効であることが明らかになった。
方 法
調査協力者 岐阜県内の小学校において,2017年11月に質問紙調査を実施し,有効データが得られた516名(3年男子66名・女子56名,4年生男子64名・女子74名,5年生男子69名・女子68名,6年生男子68名・女子51名,全学年4学級)を分析対象とした。
測定内容 (1)小学生用P-R攻撃性尺度(坂井・山崎,2004;不表出攻撃性・表出攻撃性・関係攻撃性各7項目4件法),(2)社会的スキル尺度(藤枝・相川,2001;向社会性7項目・引込思案4項目5件法),(3)多次元共感性尺度(長谷川他,2009;役割取得9項目・共感的関心7項目5件法),(4)小学生用規範行動自己評定尺度(山田他,2013;対人間の好ましい行動・対人間で遵守すべき行動・個人として遵守すべき行動各5項目4件法),(5)社会的自己制御尺度(原田他,2008;自己主張のみ
8項目5件法)
結果と考察
各学年内の4学級間,4~6年生間の分散分析多重比較を行った。また,先行論文の平均値に対する割合をレーダーチャートにして表示した(一部学年:Figure 1)。
主な分析結果として,6年生では,向社会性,自己主張,引っ込み思案において,学級間の平均点に有意差が見られた。これらの得点が低い傾向を示す学級は,管理職から学級適応度が低いと判断されている学級であった(Table 1)。児童間の仲間関係が醸成されておらず,コミュニケーションがうまく成り立たっていないことが推測でき,当該学級には,仲間関係形成のためのプログラムを意図的に実施することが必要であることがうかがわれた。
3年生では,共感的関心,役割取得において,学級間の平均点に有意差が見られた(Table 2)。これらの項目が高い傾向を示す学級は,管理職から学級適応度が高いと判断されている学級であった。仲間の気持ちを考えることや思いやりの気持ちをもつための介入・指導が,学級適応を高めるために有効であることがうかがわれた。
一方,指導内容・方法について学年の担任間の統一感が高い学年(5年生など)は,全4学級ともすべての項目の平均点に差が無く,他学年よりも学級での適応感が高かった(Figure 1)。担任間の共同性を高め,学年内での統一感をもった指導を行うことが,学級差を生み出さないために有効であることが明らかになった。