日本教育心理学会第61回総会

講演情報

ポスター発表

[PA] ポスター発表 PA(01-63)

2019年9月14日(土) 10:00 〜 12:00 3号館 1階 (カフェテリア)

在席責任時間
奇数番号10:00~11:00
偶数番号11:00~12:00

[PA02] 4~6歳児における状況絵の語りの発達

ナラティブ発達評価指標作成に向けての基礎研究

秦野悦子1, 瀬戸淳子2 (1.白百合女子大学, 2.帝京平成大学)

キーワード:状況絵の語り、幼児、ナラティブ発達

問題と目的
 幼児期から児童期の言語発達支援に向けて,ナラティブ発達の指標作成は,言語発達教育において直面している課題のひとつである。幼児期のナラティブ発達は,児童期の学業成績や読み書きとの関連が示唆されている。
 本研究の目的は,定型発達幼児を対象としてナラティブ発達過程を明らかにすることを目的とし,これまで課題ごとに分析を進めてきた(瀬戸・秦野2014,2015,2016,2017,2018,2019;秦野・瀬戸2014,2015,2016)。本報告では,絵に描かれた状況を読み取り言語化する「状況絵の語り」課題で,絵に描かれている情景をこれまでの経験的知識を基に推測,解釈し,その内容を言語的に説明する能力の分析を行う。具体邸には,1)状況絵の語りにおける発話量(平均文節数),2)状況絵の語りにおけるフィクショナル・ナラティブ(FN)数とその内容構成,3)業況絵の語りにおけるFNの組織化について明らかにすることを目的とした。
方  法
調査参加児 保護者の承諾を得た幼稚園在園の4歳0ゕ月から6歳10ゕ月の定型発達児153名のうち,無応答を除外した148名(М75,F73)であった。
状況絵課題 複数の人物が問題に直面し,社会的葛藤が描かれた状況絵で全4図版実施した。
期間 2013年,2015年,2016年。
手続き 机に向かい合って座り,実施者は子どもの正面の机上に図版を提示し,「これは何を描いた絵ですか。どんな絵ですか。この絵のお話をしてください。」と問かけをした。子どもの応答後,「ほかにないですか」と促した。
分析資料 ICレコーダ―で録音した音声記録は,文字データに転記し発話プロトコル作成した。本報告では「花屋」課題を分析の対象とした。
結果と考察
1)状況絵の語りにおける発話量(平均文節数)
2)フィクショナル・ナラティブ(FN)構成
 参加児の全FNを6分類した。/事象事実と人物言動/心的・情動的状態/言動と言動との因関係/2言及間の果関係/心的・情動的状態と別の心的・情動的状態の因果関係/参照的工夫/
3)状況絵におけるFNの組織化
「花屋」の基準命題となるFNを抽出し,組織化の要素数を得点した。命題得点基準としては,犬がにげた/人が追いかけた/花が倒れた/花屋が子どもを叱った/子どもが弁明した/に各1点付与し,0点~5点に分布した。
付  記
 平成27~30年度基盤研究C(課題番号15K04572)の助成を受けた。