[PA14] 高校生の探究的学習スキルと批判的思考態度の育成(3)
スーパーグローバル/スーパーサイエンスハイスクールにおける生徒の3年間の成長
キーワード:批判的思考、探究的学習、汎用的スキル
高校生の探究的学習スキルと批判的思考態度の育成(3)
スーパーグローバル/スーパーサイエンスハイスクールにおける生徒の3年間の成長
楠見 孝(京都大学)
キーワード:批判的思考,探究的学習,汎用的スキル
目 的
本研究の目的は,スーパーグローバル/サイエンスハイスクール(SGH/SSH)における探究型学習による生徒の3年間の成長を検討することである。対象校では,3つのコースにおいて探究型学習活動を通して,批判的思考力や探究的学習スキル等を育成している。楠見(2016,2017,教心大会)は,測定尺度を開発し2,4時点の調査を行った。本研究では,5,6時点の結果を加え,自由記述によるパフォーマンス課題の結果もあわせて分析して,生徒の態度とスキルの3年間の変化を検討する。
方 法
参加者 関西のSGHが4年目,SSHが6年目の府立進学校1年次311(男145,女166)名。コースは普通科,学問研究につながる専門学科(文理共修と理系専修)の3つ(ns=117,122,72)に分かれる。1,2,3年次の7月と2月(3年次だけ3月)に,全員を対象とした質問紙調査を実施した。
質問項目 批判的思考態度尺度(10項目;論理的思考,探究心,関連づけの3下位尺度,楠見他,2016)と探究的学習スキル尺度(11項目;探究法,読解法,表現法の3下位尺度,楠見,2011)について5件法評定を求めた。あわせて,探究活動において,問いを持つ力(例:探究した問い),学んだことを関連づける力(例:学習と生活場面)について自由記述(各3問)への回答を求めた。
結果と考察
批判的思考態度(Figure 1a)と探究的学習スキル(Figure 1b)の各下位尺度において,2年次の7月から2月の間に,全コースの生徒の平均評定値の大きな向上がみられた。
自由記述課題における記述量は,問いについては,1年7月から2年2月までの間に増加し,関連づけについては,3年7月までの間に増加した。
3年間の生徒の変化の規定因を明らかにするために,6時点で全て回答した197名のデータを用いて交差遅れモデルによる分析をした (CFI=.873,RMSEA=.076) (Figure 2)。 その結果,1年7月と2月の[論理的思考態度]と[探究法],2年7月の[読解法]は,次時点の批判的思考態度や探究的学習スキルを向上させた。
これらの結果は,1年1学期で探究法の基礎を学び,1年2学期から2年3学期までそれを活用したグループ研活動究をおこなったことの効果と考えられる。
スーパーグローバル/スーパーサイエンスハイスクールにおける生徒の3年間の成長
楠見 孝(京都大学)
キーワード:批判的思考,探究的学習,汎用的スキル
目 的
本研究の目的は,スーパーグローバル/サイエンスハイスクール(SGH/SSH)における探究型学習による生徒の3年間の成長を検討することである。対象校では,3つのコースにおいて探究型学習活動を通して,批判的思考力や探究的学習スキル等を育成している。楠見(2016,2017,教心大会)は,測定尺度を開発し2,4時点の調査を行った。本研究では,5,6時点の結果を加え,自由記述によるパフォーマンス課題の結果もあわせて分析して,生徒の態度とスキルの3年間の変化を検討する。
方 法
参加者 関西のSGHが4年目,SSHが6年目の府立進学校1年次311(男145,女166)名。コースは普通科,学問研究につながる専門学科(文理共修と理系専修)の3つ(ns=117,122,72)に分かれる。1,2,3年次の7月と2月(3年次だけ3月)に,全員を対象とした質問紙調査を実施した。
質問項目 批判的思考態度尺度(10項目;論理的思考,探究心,関連づけの3下位尺度,楠見他,2016)と探究的学習スキル尺度(11項目;探究法,読解法,表現法の3下位尺度,楠見,2011)について5件法評定を求めた。あわせて,探究活動において,問いを持つ力(例:探究した問い),学んだことを関連づける力(例:学習と生活場面)について自由記述(各3問)への回答を求めた。
結果と考察
批判的思考態度(Figure 1a)と探究的学習スキル(Figure 1b)の各下位尺度において,2年次の7月から2月の間に,全コースの生徒の平均評定値の大きな向上がみられた。
自由記述課題における記述量は,問いについては,1年7月から2年2月までの間に増加し,関連づけについては,3年7月までの間に増加した。
3年間の生徒の変化の規定因を明らかにするために,6時点で全て回答した197名のデータを用いて交差遅れモデルによる分析をした (CFI=.873,RMSEA=.076) (Figure 2)。 その結果,1年7月と2月の[論理的思考態度]と[探究法],2年7月の[読解法]は,次時点の批判的思考態度や探究的学習スキルを向上させた。
これらの結果は,1年1学期で探究法の基礎を学び,1年2学期から2年3学期までそれを活用したグループ研活動究をおこなったことの効果と考えられる。