[PB44] 青年期の友人関係尺度の教示による相違についての試論
Keywords:現代青年、友人関係、親友関係
青年期の友人関係に関する研究については,友人の定義が不明確であり,仲間関係と友人関係の概念の区別が不明確であることが,かねてより問題点として指摘されている(平石,2010など)。岡田(2010)は,現代の青年に特有な友人との関わり方について1) 群れて表面的に楽しい関係を維持する青年群2) 対人関係を回避する青年群3) 伝統的青年観に近似した青年群を見いだしたが,ここでも特定の親友との関係が想定されたものと,仲間関係や一般的な友人関係は明確には区別されていない。本研究では,現代の青年の友人関係の尺度について,「親友」を想定した場合と,一般的な「同性の友人」を想定した場合についてパネル調査を行い,その反応の相違について探索的に検討したものである。
方 法
第1回調査 日本人18歳から39歳までを対象にインターネットによるモニター調査を実施した。調査時期は2018年2月15日~19日であった。有効回答数は520名であった。年代区分ごとの人数は18-24歳:146名,25-29歳:115名,30-39歳:259名であった。
第2回調査 第1回調査の回答者に対して同様の調査を実施した。調査時期は2018年4月12日~18日であった。有効回答数は,年代区分ごとに18-24歳:28名,25-29歳:73名,30-39歳:181名(合計312名)であった。
両調査にともに回答が得られた回答者のみを分析の対象とした。
調査項目
第1回調査,第2回調査とも現代青年の友人関係に関する尺度項目(岡田,2005)の一部の表現を改変したものを用いた。下位尺度は「自己閉鎖」「軽躁的関係」「侵入回避」「傷つけられることの回避」から成り,「たいへんそう思う(1)」~「まったくそう思わない (5)」の5件法で実施された。
第1回調査では「もっとも親しい同性のお友だちを思い浮かべてください。あなたはふだんその方とどのような付き合いかたをしていたり,またその際にどのような感じ方をしていますか。」,第2回調査では「あなたの同性のお友だちを思い浮かべてください。あなたはふだんその方とどのような付き合いかたをしていたり,またその際にどのような感じ方をしていますか。」と想定する友人について異なる表現で回答を求めた。
結果と考察
分析にあたっては,英語版尺度(Okada,2018)との整合性を取るため,自己閉鎖の逆転項目4項目および侵入回避の「友だちとの約束をやぶらない」「相手の気持ちに気をつかう」を除外した。
各下位尺度および地点ごとでのCronbachのアルファ係数を求めたところ,Table 1の通り概ねいずれも良好な内的一貫性が見られた。
各下位尺度の平均とSDをTable 2に示す。
また平均構造の導入された1母集団2地点での共分散構造分析を行った。因子の平均構造及び切片を0,分散(ないし残差の分散)を1とし,地点間での対応する項目同士の切片と誤差分散のみを等置とした配置不変モデルと,これに加えて因子から項目へのパス係数も地点間で等置とした測定不変の制約を課したモデルを検討した結果,AIC,BCCにおいて配置不変モデルの方が適合度は良好であった。このことから,下位尺度に対応した各項目の配置そのものは「親友」「友人」で共通するものの,項目に対する因子の影響力は異なっており,一致した構造とは言えないことが見出された。
付 記
第1回調査のデータの一部は岡田努(2018).大学生青年と非学生青年における友人関係の比較―現代青年の友人関係尺度による比較―日本パーソナリティ心理学会第27回大会 において発表されたものを用いた。また本研究は科学研究費基盤研究(B)「計量社会学的方法による若年層の価値と規範に関する国際比較研究(一般 課題番号 16H03689)」(研究代表者:轟亮)の一部である。
方 法
第1回調査 日本人18歳から39歳までを対象にインターネットによるモニター調査を実施した。調査時期は2018年2月15日~19日であった。有効回答数は520名であった。年代区分ごとの人数は18-24歳:146名,25-29歳:115名,30-39歳:259名であった。
第2回調査 第1回調査の回答者に対して同様の調査を実施した。調査時期は2018年4月12日~18日であった。有効回答数は,年代区分ごとに18-24歳:28名,25-29歳:73名,30-39歳:181名(合計312名)であった。
両調査にともに回答が得られた回答者のみを分析の対象とした。
調査項目
第1回調査,第2回調査とも現代青年の友人関係に関する尺度項目(岡田,2005)の一部の表現を改変したものを用いた。下位尺度は「自己閉鎖」「軽躁的関係」「侵入回避」「傷つけられることの回避」から成り,「たいへんそう思う(1)」~「まったくそう思わない (5)」の5件法で実施された。
第1回調査では「もっとも親しい同性のお友だちを思い浮かべてください。あなたはふだんその方とどのような付き合いかたをしていたり,またその際にどのような感じ方をしていますか。」,第2回調査では「あなたの同性のお友だちを思い浮かべてください。あなたはふだんその方とどのような付き合いかたをしていたり,またその際にどのような感じ方をしていますか。」と想定する友人について異なる表現で回答を求めた。
結果と考察
分析にあたっては,英語版尺度(Okada,2018)との整合性を取るため,自己閉鎖の逆転項目4項目および侵入回避の「友だちとの約束をやぶらない」「相手の気持ちに気をつかう」を除外した。
各下位尺度および地点ごとでのCronbachのアルファ係数を求めたところ,Table 1の通り概ねいずれも良好な内的一貫性が見られた。
各下位尺度の平均とSDをTable 2に示す。
また平均構造の導入された1母集団2地点での共分散構造分析を行った。因子の平均構造及び切片を0,分散(ないし残差の分散)を1とし,地点間での対応する項目同士の切片と誤差分散のみを等置とした配置不変モデルと,これに加えて因子から項目へのパス係数も地点間で等置とした測定不変の制約を課したモデルを検討した結果,AIC,BCCにおいて配置不変モデルの方が適合度は良好であった。このことから,下位尺度に対応した各項目の配置そのものは「親友」「友人」で共通するものの,項目に対する因子の影響力は異なっており,一致した構造とは言えないことが見出された。
付 記
第1回調査のデータの一部は岡田努(2018).大学生青年と非学生青年における友人関係の比較―現代青年の友人関係尺度による比較―日本パーソナリティ心理学会第27回大会 において発表されたものを用いた。また本研究は科学研究費基盤研究(B)「計量社会学的方法による若年層の価値と規範に関する国際比較研究(一般 課題番号 16H03689)」(研究代表者:轟亮)の一部である。