[PB66] 友人同士の対立場面における介入行動尺度の作成
キーワード:介入行動、修復的対話、メディエーション
問題と目的
対立する人と人の仲を取り持つことは,人として大切な行動である。しかし,誰もが他者の対立に介入し,問題を解決できるわけではない。最近,対立問題における第三者の介入行動を,ピア・メディエーション(Johnson & Johnson, 1996)や修復的アプローチ(Morrison, 2002)などの教育的支援によってよりよい解決手続きを実現するアプローチやプログラムが検討されつつある。
しかし,教育的支援の実践が広がる中で,実際の対立場面における介入行動や解決手続きについては,解明されていない。そこで本研究では小学生を対象とした友人同士の対立場面における介入行動を測定する心理尺度を作成する。なお,尺度の併存的妥当性を検討するために,向社会的目標(中谷, 1996),被影響性・自己志向的反応(鈴木・木野, 2008),向社会的行動(横塚, 1989)との関連を検討する。
方 法
項目の作成 小学生6年生60名(男子児童31名,女子児童29名)を対象として予備調査を実施した。クラスメイトが対立しているという設定の3つの場面をイラストで提示し,「あなたはこのような場面を見たらどうしますか」について尋ねた。得られた結果を第1筆者と心理学を専攻する大学院生1名がそれぞれKJ法によって分類した。その結果,計27項目を予備的な尺度とした。
調査対象と調査時期 大阪府下の公立小学校の小学生202名の5,6年生の児童(男子児童93名,女子児童109名)を対象に2018年5月から6月に実施した。
調査内容 友人同士の対立場面における介入行動尺度と妥当性を検討するための4つの尺度をすべて4件法で実施した。
結果と考察
因子分析 複数の因子に高い付加を示す項目や,因子負荷量が.35以下の項目を削除し,探索的因子分析(最尤法・プロマックス回転)を実施した。その結果,最終的に4因子22項目が抽出された。第1因子を「援助思考」,第2因子を「傍観思考」,第3因子を「非介入思考」,第4因子を「介入思考」と命名した(Table1)。
信頼性の検討 Cronbachのα係数を算出した。その結果,援助思考が.86,傍観思考が.61,非介入思考が.70,介入思考が.63であった。傍観思考と介入思考のα係数がわずかに低いものの,使用に耐えられる範囲内の信頼性に収まっていた。
併存的妥当性の検討 援助思考は向社会的目標と有意な正の相関(r=.26, p<.001),自己志向的反応と有意な負の相関(r=-.42, p<.001),向社会的行動と有意な正の相関を示した(r=.28, p<.001)。傍観思考は被影響性と有意な正の相関(r=.35, p<.001),自己志向的反応と正の相関(r=.23, p<.01)を示した。非介入思考は向社会的目標と有意な負の相関(r=-.39, p<.001),被影響性と弱い正の相関(r=.06, p<.05),自己志向的反応と有意な正の相関(r=.58, p<.001),向社会的行動と有意な負の相関を示した(r=-.42, p<.001)。介入思考は自己志向的反応と有意な負の相関(r=-.39, p<.001),向社会的行動と有意な正の相関を示した(r=.51, p<.001)。以上の結果から,本研究で作成した小学生における介入行動尺度は,一定の妥当性を有するものと考えられる。
対立する人と人の仲を取り持つことは,人として大切な行動である。しかし,誰もが他者の対立に介入し,問題を解決できるわけではない。最近,対立問題における第三者の介入行動を,ピア・メディエーション(Johnson & Johnson, 1996)や修復的アプローチ(Morrison, 2002)などの教育的支援によってよりよい解決手続きを実現するアプローチやプログラムが検討されつつある。
しかし,教育的支援の実践が広がる中で,実際の対立場面における介入行動や解決手続きについては,解明されていない。そこで本研究では小学生を対象とした友人同士の対立場面における介入行動を測定する心理尺度を作成する。なお,尺度の併存的妥当性を検討するために,向社会的目標(中谷, 1996),被影響性・自己志向的反応(鈴木・木野, 2008),向社会的行動(横塚, 1989)との関連を検討する。
方 法
項目の作成 小学生6年生60名(男子児童31名,女子児童29名)を対象として予備調査を実施した。クラスメイトが対立しているという設定の3つの場面をイラストで提示し,「あなたはこのような場面を見たらどうしますか」について尋ねた。得られた結果を第1筆者と心理学を専攻する大学院生1名がそれぞれKJ法によって分類した。その結果,計27項目を予備的な尺度とした。
調査対象と調査時期 大阪府下の公立小学校の小学生202名の5,6年生の児童(男子児童93名,女子児童109名)を対象に2018年5月から6月に実施した。
調査内容 友人同士の対立場面における介入行動尺度と妥当性を検討するための4つの尺度をすべて4件法で実施した。
結果と考察
因子分析 複数の因子に高い付加を示す項目や,因子負荷量が.35以下の項目を削除し,探索的因子分析(最尤法・プロマックス回転)を実施した。その結果,最終的に4因子22項目が抽出された。第1因子を「援助思考」,第2因子を「傍観思考」,第3因子を「非介入思考」,第4因子を「介入思考」と命名した(Table1)。
信頼性の検討 Cronbachのα係数を算出した。その結果,援助思考が.86,傍観思考が.61,非介入思考が.70,介入思考が.63であった。傍観思考と介入思考のα係数がわずかに低いものの,使用に耐えられる範囲内の信頼性に収まっていた。
併存的妥当性の検討 援助思考は向社会的目標と有意な正の相関(r=.26, p<.001),自己志向的反応と有意な負の相関(r=-.42, p<.001),向社会的行動と有意な正の相関を示した(r=.28, p<.001)。傍観思考は被影響性と有意な正の相関(r=.35, p<.001),自己志向的反応と正の相関(r=.23, p<.01)を示した。非介入思考は向社会的目標と有意な負の相関(r=-.39, p<.001),被影響性と弱い正の相関(r=.06, p<.05),自己志向的反応と有意な正の相関(r=.58, p<.001),向社会的行動と有意な負の相関を示した(r=-.42, p<.001)。介入思考は自己志向的反応と有意な負の相関(r=-.39, p<.001),向社会的行動と有意な正の相関を示した(r=.51, p<.001)。以上の結果から,本研究で作成した小学生における介入行動尺度は,一定の妥当性を有するものと考えられる。