[PC08] 高校生におけるスクールカースト地位とグループ所属理由,学校生活適応感との関連
Keywords:高校生、スクールカースト、学校生活適応感
問題と目的
スクールカーストとはクラス内における非公式な階層的なグループ関係のことである(鈴木, 2012; 水野, 2018)。スクールカースト上位層は,学校適応が高いことが指摘されている(鈴木, 2012)。しかし,スクールカーストに関する心理学的な研究は小・中学生を対象としたものが多く(水野・太田, 2017; 作田, 2016など),また高校生を対象としている鈴木(2012)で用いられているスクールカースト地位を測定する項目は適切ではない可能性がある。
そこで,本研究では,高校生を対象にスクールカースト地位を測定する尺度を作成し,スクールカースト地位とグループ所属理由,学校生活適応感との関連を明らかにすることを目的とする。なお,本研究におけるグループとは「自分と同じクラスの中で,教室移動や昼食のような行動を一緒にする自分を含めた特定の2名以上のグループ」とした。
方 法
調査対象者 6つの高校に通う高校1~3年生1,894名(男子868名, 女子991名, 不明35名; 平均年齢16.6歳, SD0.9歳)を調査対象者とした。
調査内容 ①学校生活適応感尺度(新井・古川・浅川, 2009):「行事・HR活動」「学校規則」「進路目標」「学習意欲」「友人関係」の5下位尺度各4項目を使用した。 ②グループの所属の有無とグループの人数,③グループのスクールカースト地位項目:鈴木(2012)などを参考に5項目を独自に作成した。 ④グループに所属する理由項目:佐藤(1995)の項目について大学生を対象とした予備調査の因子分析結果をもとに30項目を選定または作成した。
調査時期・手続き・倫理的配慮 2013年9月から11月に学級担任などが学級単位で調査を実施した。その際,調査は無記名であること,任意であること,学校の成績などには影響しないこと,学校の教員は回答を見ないことなどを口頭で説明し,表紙にも記載した。
結果と考察
スクールカースト地位と学校生活適応感との関連 スクールカースト地位得点と学校生活適応感尺度5下位尺度得点の相関を男女別で算出した(Table 1)。男女ともにカースト地位が高いほど「友人関係」「学習意欲」「行事・HR活動」での適応も高くなっていた。また,男子ではカースト地位が高いほど「進路目標」での適応が高くなり,女子では「学校規則」での適応が低くなっていた。
スクールカースト地位とグループに所属する理由との関連 グループに所属する理由項目30項目について因子分析を行ったところ,「安全保障の獲得」「浮いた存在になることへの忌避」「楽しさ・盛り上がり」「情報的サポート」「自然発生」の5因子が抽出された。スクールカースト地位得点とグループに所属する理由5下位尺度得点との相関を算出した(Table 2)。その結果,男女ともに「安全保障の獲得」「楽しさ・盛り上がり」「自然発生」によってグループに所属しているほど,カースト地位が高いことが明らかになった。また,男子では「情報的サポート」によってグループに所属しているほどカースト地位が高く,女子では「浮いた存在になることへの忌避」によってグループに所属しているほどカースト地位が低いことが明らかになった。
これらの結果から,高校生においてもカースト地位が高いほど学校生活適応感が高いことが確認された。また,何となく一緒にいて楽しめ,相談ができるような関係であるほどカースト地位が高まることも示された。
スクールカーストとはクラス内における非公式な階層的なグループ関係のことである(鈴木, 2012; 水野, 2018)。スクールカースト上位層は,学校適応が高いことが指摘されている(鈴木, 2012)。しかし,スクールカーストに関する心理学的な研究は小・中学生を対象としたものが多く(水野・太田, 2017; 作田, 2016など),また高校生を対象としている鈴木(2012)で用いられているスクールカースト地位を測定する項目は適切ではない可能性がある。
そこで,本研究では,高校生を対象にスクールカースト地位を測定する尺度を作成し,スクールカースト地位とグループ所属理由,学校生活適応感との関連を明らかにすることを目的とする。なお,本研究におけるグループとは「自分と同じクラスの中で,教室移動や昼食のような行動を一緒にする自分を含めた特定の2名以上のグループ」とした。
方 法
調査対象者 6つの高校に通う高校1~3年生1,894名(男子868名, 女子991名, 不明35名; 平均年齢16.6歳, SD0.9歳)を調査対象者とした。
調査内容 ①学校生活適応感尺度(新井・古川・浅川, 2009):「行事・HR活動」「学校規則」「進路目標」「学習意欲」「友人関係」の5下位尺度各4項目を使用した。 ②グループの所属の有無とグループの人数,③グループのスクールカースト地位項目:鈴木(2012)などを参考に5項目を独自に作成した。 ④グループに所属する理由項目:佐藤(1995)の項目について大学生を対象とした予備調査の因子分析結果をもとに30項目を選定または作成した。
調査時期・手続き・倫理的配慮 2013年9月から11月に学級担任などが学級単位で調査を実施した。その際,調査は無記名であること,任意であること,学校の成績などには影響しないこと,学校の教員は回答を見ないことなどを口頭で説明し,表紙にも記載した。
結果と考察
スクールカースト地位と学校生活適応感との関連 スクールカースト地位得点と学校生活適応感尺度5下位尺度得点の相関を男女別で算出した(Table 1)。男女ともにカースト地位が高いほど「友人関係」「学習意欲」「行事・HR活動」での適応も高くなっていた。また,男子ではカースト地位が高いほど「進路目標」での適応が高くなり,女子では「学校規則」での適応が低くなっていた。
スクールカースト地位とグループに所属する理由との関連 グループに所属する理由項目30項目について因子分析を行ったところ,「安全保障の獲得」「浮いた存在になることへの忌避」「楽しさ・盛り上がり」「情報的サポート」「自然発生」の5因子が抽出された。スクールカースト地位得点とグループに所属する理由5下位尺度得点との相関を算出した(Table 2)。その結果,男女ともに「安全保障の獲得」「楽しさ・盛り上がり」「自然発生」によってグループに所属しているほど,カースト地位が高いことが明らかになった。また,男子では「情報的サポート」によってグループに所属しているほどカースト地位が高く,女子では「浮いた存在になることへの忌避」によってグループに所属しているほどカースト地位が低いことが明らかになった。
これらの結果から,高校生においてもカースト地位が高いほど学校生活適応感が高いことが確認された。また,何となく一緒にいて楽しめ,相談ができるような関係であるほどカースト地位が高まることも示された。