[PC37] 学校教員にとって部活動はどれくらい負担なのか?(2)
理想とする部活動とストレスとの関連
Keywords:学校教員、部活動、ストレス
問題と目的
部活動の顧問をする教員は,多くのストレスを抱えており,心身ともに疲弊している(小柳・石井・竹安・竹安, 2015)。高田・高田(2019)では,中学校教員では部活動に関わる時間が長くなるほど,仕事の適合性を低く認知し,ストレスを感じることが明らかにされた。しかし,高校教員では,部活動に関わる時間の長さとストレスとの関連が見られず,中学校と高校で部活動の在り方が異なる可能性が示唆された。
また,先行研究において,部活動に関する負担に関しては研究が見られる(小柳・石井・竹安・竹安, 2015)が,どのような部活動が理想的であるかに関しては検討されていない。そのため,本研究では,中学校と高校の教員が抱く理想の部活動はどのようなものかを探索的に検討し,理想とする部活動の在り方とストレスとの関連を検討することを目的とした。
方 法
調査手続き・調査対象者:本研究の調査対象者は,(株)マクロミルによるWeb調査の標本であり,高田・高田(2019)と同様であった。調査対象者は中学校教員258名と高校教員258名であった。調査に関する倫理的説明を調査の冒頭で実施し,調査に同意した場合のみ調査が実施された。
調査項目:(1)理想とする部活動を探索的に抽出するために,「あなたにとって理想とする部活動はどのようなものですか」と教示し,自由記述により回答を求めた。次いで,回答を中学・高校での部活動経験がある第一著者ならびに心理学の専門家により23個のカテゴリに分類した。(2)教員のストレスを測定するために,職業性ストレス簡易調査票(下光, 2001)のうち,心理的ストレスに関する項目を抽出し,単純加算した得点をストレス得点として分析に用いた。
結果と考察
理想とする部活動で最も多かった記述は,「生徒が自主的・自発的に運営」であり,次いで「複数顧問などで,負担が少ない」,「外部委託・外部コーチを雇う」,「勤務時間内で行う短時間の活動」であった。次に,中学・高校教員における理想とする部活動の相違を検討するために,23のカテゴリのうち,選択率が低かった2つのカテゴリを除外した21のカテゴリについて,比率の差を検討した(Table 1)。その結果,高校教員では「生徒が自主的・自発的に運営」の選択率が高く,中学教員では,「やりたくない,なくてよい」という選択率が高かった。
最後に,理想とする部活動と学校の種類(中学・高校)が心理的ストレスに及ぼす影響を検討した結果,学校の種類が中学校教員(B= -.232, p=.025)であるほど,「教員の責任がない」(B= 12.37, p=.011)ことが理想と回答しているほどストレスが高く,「生徒が自主的・自発的に運営」(B=-.602, p=.033)と「成果の達成・技術向上」(B=-4.46, p=.026)が理想であると回答しているほどストレスが低かった。
以上の結果から,高校教員と中学教員で部活動に対する意識が異なる可能性が示唆された。また,自身の負担よりも,生徒に対する自主性や部活動の成果を求める意識があることで,ストレスが低まると推察された。
部活動の顧問をする教員は,多くのストレスを抱えており,心身ともに疲弊している(小柳・石井・竹安・竹安, 2015)。高田・高田(2019)では,中学校教員では部活動に関わる時間が長くなるほど,仕事の適合性を低く認知し,ストレスを感じることが明らかにされた。しかし,高校教員では,部活動に関わる時間の長さとストレスとの関連が見られず,中学校と高校で部活動の在り方が異なる可能性が示唆された。
また,先行研究において,部活動に関する負担に関しては研究が見られる(小柳・石井・竹安・竹安, 2015)が,どのような部活動が理想的であるかに関しては検討されていない。そのため,本研究では,中学校と高校の教員が抱く理想の部活動はどのようなものかを探索的に検討し,理想とする部活動の在り方とストレスとの関連を検討することを目的とした。
方 法
調査手続き・調査対象者:本研究の調査対象者は,(株)マクロミルによるWeb調査の標本であり,高田・高田(2019)と同様であった。調査対象者は中学校教員258名と高校教員258名であった。調査に関する倫理的説明を調査の冒頭で実施し,調査に同意した場合のみ調査が実施された。
調査項目:(1)理想とする部活動を探索的に抽出するために,「あなたにとって理想とする部活動はどのようなものですか」と教示し,自由記述により回答を求めた。次いで,回答を中学・高校での部活動経験がある第一著者ならびに心理学の専門家により23個のカテゴリに分類した。(2)教員のストレスを測定するために,職業性ストレス簡易調査票(下光, 2001)のうち,心理的ストレスに関する項目を抽出し,単純加算した得点をストレス得点として分析に用いた。
結果と考察
理想とする部活動で最も多かった記述は,「生徒が自主的・自発的に運営」であり,次いで「複数顧問などで,負担が少ない」,「外部委託・外部コーチを雇う」,「勤務時間内で行う短時間の活動」であった。次に,中学・高校教員における理想とする部活動の相違を検討するために,23のカテゴリのうち,選択率が低かった2つのカテゴリを除外した21のカテゴリについて,比率の差を検討した(Table 1)。その結果,高校教員では「生徒が自主的・自発的に運営」の選択率が高く,中学教員では,「やりたくない,なくてよい」という選択率が高かった。
最後に,理想とする部活動と学校の種類(中学・高校)が心理的ストレスに及ぼす影響を検討した結果,学校の種類が中学校教員(B= -.232, p=.025)であるほど,「教員の責任がない」(B= 12.37, p=.011)ことが理想と回答しているほどストレスが高く,「生徒が自主的・自発的に運営」(B=-.602, p=.033)と「成果の達成・技術向上」(B=-4.46, p=.026)が理想であると回答しているほどストレスが低かった。
以上の結果から,高校教員と中学教員で部活動に対する意識が異なる可能性が示唆された。また,自身の負担よりも,生徒に対する自主性や部活動の成果を求める意識があることで,ストレスが低まると推察された。