[PC51] 障害者用駐車スペースと特別ニーズ対応区画を市民はどのようにとらえているか
キーワード:障害者用駐車スペース、利用証制度、認識
はじめに
障害者用駐車スペースの適正利用を実現するために,自治体では利用証制度を導入する,広い区画幅を必要としない障害者等のための駐車スペース(以下,特別ニーズ対応区画)を新たに設置するといった対策をとっている。
こうした対策が効果を上げるために,市民の理解は欠かすことができない。そこで,利用証制度についての認知度や障害者用駐車スペース等に関する認識を調べ,今後の教育や啓発の内容や方法を検討することにした。
方 法
写真1の2種類の駐車スペースを利用証制度の適用区画と定めている地域に住む,自動車の運転歴がある20代から50代までの一般市民595名を対象とし,自記式・無記名式の質問紙調査を行った。回答済質問紙は239部を回収した(回収率40%)。回答者の年齢は20代83名,30代52名,40代83名,50代21名であった。調査の実施にあたり,2019年1月に富山大学の研究倫理審査委員会(人を対象とし医療を目的としない研究倫理審査委員会)の承認を得た(人30-18)。
結 果
居住地域に利用証制度があるかを3択で尋ねた(設問には制度の内容についての説明を付した)。回答項目は「ある」「ない」「わからない」の3択であった。制度があると答えたのは20代の14%,30代の29%,40代の35%,50代の38%であり,20代において有意に少なく,40代に有意に多かった(χ2(6)=13.51, p<0.05)。また,わからないと答えた者は20代(82%)において有意に多かった。年齢が上がるにつれて認知度は高まるものの,利用証制度の周知を図ることが,まずは課題であることがわかった。
障害者用駐車スペースを利用した経験の有無とその理由について尋ね,「他に空きがなかった」「少しの時間だった」「荷物が多かった」「建物近くに停めたかった」ことを理由に停めたケースを不正利用とし,その人数を計数した。不正利用経験のある者は20代1名,30代6名,40代8名,50代2名であり,全体(239名)の7%であった。
特別ニーズ対応区画は整備が始まったばかりであり,障害者用駐車スペースと比べてその数は少ない。この区画の複数の例を写真で示し,この区画を見たことがあるかを尋ねたところ,見たことのある者は20代の42%,30代の73%,40代の73%,50代の62%であり,20代において有意に少なかった(χ2(3)=21.04, p<0.01)。この区画を不正に利用した経験のある者は少数であった(全体で6名)。
障害者用駐車スペースをどのように利用すべきかを3択で尋ねたところ,年齢区分によって回答に有意差が認められた(χ2(6)=14.64, p<0.05)。「駐車場が混雑していても,空けておくべきである」と答えた者は,20代で87%,30代で94%,40代で99%,50代で90%であり,20代において有意に少なく,40代に有意に多かった。また,「駐車場が混雑している場合には,誰でも停めてよいことにすべきである」とした者は20代の12%,30代の4%,40代の1%,50代の5%であり,20代に有意に多く,40代で有意に少なかった。さらに,「駐車場の混雑具合に関係なく,誰でも停めてよいことにすべきである」(20代1%,30代0,40代0,50代5%)とした者は50代において有意に多かった。
特別ニーズ対応区画をどのように利用すべきだと思うかについては「駐車場が混雑していても,空けておくべきである」が20代の70%,30代の88%,40代の88%,50代の76%であった。一方で,「駐車場が混雑している場合は,誰でも停めてよいことにすべきである」が20代では約2割,それ以外の年代でも約1割いた。年齢区分による回答の差は認められなかった(χ2(6)=11.50, n.s.)。障害者用駐車スペースと比べると,混雑していれば停めてもよいと考える者が多い傾向にあった。
障害者用駐車スペースの適正利用を実現するために,自治体では利用証制度を導入する,広い区画幅を必要としない障害者等のための駐車スペース(以下,特別ニーズ対応区画)を新たに設置するといった対策をとっている。
こうした対策が効果を上げるために,市民の理解は欠かすことができない。そこで,利用証制度についての認知度や障害者用駐車スペース等に関する認識を調べ,今後の教育や啓発の内容や方法を検討することにした。
方 法
写真1の2種類の駐車スペースを利用証制度の適用区画と定めている地域に住む,自動車の運転歴がある20代から50代までの一般市民595名を対象とし,自記式・無記名式の質問紙調査を行った。回答済質問紙は239部を回収した(回収率40%)。回答者の年齢は20代83名,30代52名,40代83名,50代21名であった。調査の実施にあたり,2019年1月に富山大学の研究倫理審査委員会(人を対象とし医療を目的としない研究倫理審査委員会)の承認を得た(人30-18)。
結 果
居住地域に利用証制度があるかを3択で尋ねた(設問には制度の内容についての説明を付した)。回答項目は「ある」「ない」「わからない」の3択であった。制度があると答えたのは20代の14%,30代の29%,40代の35%,50代の38%であり,20代において有意に少なく,40代に有意に多かった(χ2(6)=13.51, p<0.05)。また,わからないと答えた者は20代(82%)において有意に多かった。年齢が上がるにつれて認知度は高まるものの,利用証制度の周知を図ることが,まずは課題であることがわかった。
障害者用駐車スペースを利用した経験の有無とその理由について尋ね,「他に空きがなかった」「少しの時間だった」「荷物が多かった」「建物近くに停めたかった」ことを理由に停めたケースを不正利用とし,その人数を計数した。不正利用経験のある者は20代1名,30代6名,40代8名,50代2名であり,全体(239名)の7%であった。
特別ニーズ対応区画は整備が始まったばかりであり,障害者用駐車スペースと比べてその数は少ない。この区画の複数の例を写真で示し,この区画を見たことがあるかを尋ねたところ,見たことのある者は20代の42%,30代の73%,40代の73%,50代の62%であり,20代において有意に少なかった(χ2(3)=21.04, p<0.01)。この区画を不正に利用した経験のある者は少数であった(全体で6名)。
障害者用駐車スペースをどのように利用すべきかを3択で尋ねたところ,年齢区分によって回答に有意差が認められた(χ2(6)=14.64, p<0.05)。「駐車場が混雑していても,空けておくべきである」と答えた者は,20代で87%,30代で94%,40代で99%,50代で90%であり,20代において有意に少なく,40代に有意に多かった。また,「駐車場が混雑している場合には,誰でも停めてよいことにすべきである」とした者は20代の12%,30代の4%,40代の1%,50代の5%であり,20代に有意に多く,40代で有意に少なかった。さらに,「駐車場の混雑具合に関係なく,誰でも停めてよいことにすべきである」(20代1%,30代0,40代0,50代5%)とした者は50代において有意に多かった。
特別ニーズ対応区画をどのように利用すべきだと思うかについては「駐車場が混雑していても,空けておくべきである」が20代の70%,30代の88%,40代の88%,50代の76%であった。一方で,「駐車場が混雑している場合は,誰でも停めてよいことにすべきである」が20代では約2割,それ以外の年代でも約1割いた。年齢区分による回答の差は認められなかった(χ2(6)=11.50, n.s.)。障害者用駐車スペースと比べると,混雑していれば停めてもよいと考える者が多い傾向にあった。