[PD08] 両親の養育態度の不一致が子どもの自尊心に与える影響
Keywords:養育態度、自尊心、発達
目 的
ひとの発達に対し,養育者という要因が大きな影響を与えていることはよく知られている (e.g., Bornstein, 1995)。養育者は,おおくの場合,養育行動を通して,子どもの人格発達に大きな影響を与える。親の養育行動に関する研究では,親が子どもをコントロールしようという側面 (parental control) と,親が子どもを支えようという側面 (parental support) のふたつがしばしばとりあげられる (Maccoby and Martin , 1983)。高校生を対象とした調査では,両親の子どもを支えようという行動が,子どもの学校適応感によい影響を与えることがわかっている(谷井・上地, 1994)。
尾形 (1995) は,夫婦の養育方針が子どもの発達に影響を及ぼすことを報告している。尾形 (1995) は幼児期の子どもをもつ両親に対して調査を行い,育児方針について夫婦で話し合っていることが,子どもの発達によい影響を及ぼすとしている。このような夫婦間の調和の影響は,青年期にも見られるであろうか。本研究では,母親と父親との養育態度の不一致の程度が,青年期の自尊心にどのような影響を与えるのかを検討することを目的とする。
方 法
調査対象 大学生 110 名。
測定尺度
(1)Rosenberg (1968) の自尊心尺度の日本語版(山本他, 1982)を用いた。
(2)Parental Bonding Instrument の日本語版 Parental Bonding Instrument (Parker, Tupling, and Brown, 1979) の日本語版PBI(小川, 1991)を用いた。
倫理的配慮,説明と同意 書類を用い研究の目的,協力の自由,個人情報の保護などを伝えた。
結果と考察
PBI尺度の養護得点と過保護得点について,母親と父親との間の相関係数を求めたところ,すべて正の相関関係が得られた (Table 1)。しかし,最も高い相関係数の値で.50と,それほど母親と父親間の養護態度の一致度は高いとは言えない。
次に,母親と父親との養育態度の不一致の程度が青年の自尊心にどう影響しているか調べるために,母親と父親の養護得点の差を「養護の不一致度」,母親と父親の過干渉の得点の差を「過干渉の不一致度」とし,両者が自尊心にどう影響しているか,パス解析を行った。結果,養護の不一致の程度が高いほど,子どもの自尊心が低くなることがわかった (p < .01)。一方,過干渉については,子どもの自尊心との関連は見られなかった(p = .38)。今回の結果からは,家庭における育児方針のうち,養護の側面については,母親,父親間で一致させておくことが,子どもの後の適応によい影響を与えるということが言えよう。
ひとの発達に対し,養育者という要因が大きな影響を与えていることはよく知られている (e.g., Bornstein, 1995)。養育者は,おおくの場合,養育行動を通して,子どもの人格発達に大きな影響を与える。親の養育行動に関する研究では,親が子どもをコントロールしようという側面 (parental control) と,親が子どもを支えようという側面 (parental support) のふたつがしばしばとりあげられる (Maccoby and Martin , 1983)。高校生を対象とした調査では,両親の子どもを支えようという行動が,子どもの学校適応感によい影響を与えることがわかっている(谷井・上地, 1994)。
尾形 (1995) は,夫婦の養育方針が子どもの発達に影響を及ぼすことを報告している。尾形 (1995) は幼児期の子どもをもつ両親に対して調査を行い,育児方針について夫婦で話し合っていることが,子どもの発達によい影響を及ぼすとしている。このような夫婦間の調和の影響は,青年期にも見られるであろうか。本研究では,母親と父親との養育態度の不一致の程度が,青年期の自尊心にどのような影響を与えるのかを検討することを目的とする。
方 法
調査対象 大学生 110 名。
測定尺度
(1)Rosenberg (1968) の自尊心尺度の日本語版(山本他, 1982)を用いた。
(2)Parental Bonding Instrument の日本語版 Parental Bonding Instrument (Parker, Tupling, and Brown, 1979) の日本語版PBI(小川, 1991)を用いた。
倫理的配慮,説明と同意 書類を用い研究の目的,協力の自由,個人情報の保護などを伝えた。
結果と考察
PBI尺度の養護得点と過保護得点について,母親と父親との間の相関係数を求めたところ,すべて正の相関関係が得られた (Table 1)。しかし,最も高い相関係数の値で.50と,それほど母親と父親間の養護態度の一致度は高いとは言えない。
次に,母親と父親との養育態度の不一致の程度が青年の自尊心にどう影響しているか調べるために,母親と父親の養護得点の差を「養護の不一致度」,母親と父親の過干渉の得点の差を「過干渉の不一致度」とし,両者が自尊心にどう影響しているか,パス解析を行った。結果,養護の不一致の程度が高いほど,子どもの自尊心が低くなることがわかった (p < .01)。一方,過干渉については,子どもの自尊心との関連は見られなかった(p = .38)。今回の結果からは,家庭における育児方針のうち,養護の側面については,母親,父親間で一致させておくことが,子どもの後の適応によい影響を与えるということが言えよう。