日本教育心理学会第61回総会

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ポスター発表

[PD] ポスター発表 PD(01-68)

2019年9月15日(日) 10:00 〜 12:00 3号館 1階 (カフェテリア)

在席責任時間
奇数番号10:00~11:00
偶数番号11:00~12:00

[PD52] 視覚障害児・者の学校卒業後の自主的・創造的な活動への参加を促す支援のために

視覚障害児童・生徒の余暇活動の支援の中で活動への参加の意欲を高める支援

刀禰豊 (岡山東支援学校)

キーワード:特別支援教育、余暇活動、自主的な活動への関与

はじめに
 視覚障害児・者の卒業後までを考えた主体的な活動への支援は多様な学習場面で実践されてきた。視覚の障害の観点からの配慮も含め,活動の多様性と機会の確保は充実してきていることには疑いのない状況がある。ただ,卒業後の個々の児童生徒が活動を自主的に進めているかという状況については,若干物足りないものを感じることがおおかった。ここでは,盲学校卒業後,自主団体「チーム響き」を作り,学習をともにした児童生徒たちが,在学中よりのさまざまの思いを生かすために卒業後どのよう活動を広げ,思いを実現していったかの過程の一端を探ることで,在学中,卒業後を含め効果的な支援はどんなものかについても明らかにしていきたい。
方  法
 現在,「チーム響き」に関わりのある5名の卒業生について,インタビュー等の調査を行うとともに,実査の活動の中で,どのような発言や行動があったかについても可能な限りまとめ分析した。
結  果
 聞き取り等から明らかになったのは,生徒個人個人では余暇の活動を含めた,多様な活動について,自分ですべて関わっていくことの困難さを指摘するものが多かった。ほとんどの生徒が市部への居住をしているが,一部社会的リソースのあまりない郡部への居住をしているものもあり,ガイドヘルパーを含めたサービスが思いのまま使えない実態をあげていた。この部分は「チーム響き」でボランティアの協力を得て,一緒に出掛ける機会を月一回程度は確保できるようにしているが,安定的な状況を維持することができにくい状況にある。ただ,活動の内容については少人数の参加の状況という利点を生かし,一人一つは希望を取り入れるようにしているので,学校ではできなかった活動(各種スポーツ)への参加や近郊の行ってみたかった場所に行けたことへの満足や「次の参加したい。今度は自分が好きなところの紹介をしたい。」など,より会に深く関わっていきたい」といった意見や意向を持つものも増えてきた。
結  論
 「チーム響き」卒業後の児童・生徒が「思い」を実現する場として,設立当初もまた今も多様な活動を盛り込みつつ進んでいる。活動の中で常に重要視してきた個々の思いを実現するために話し合い,思いを語るといった過程を多くが学校在学中にあまりなかったと感じているようだ。教育現場での自主的に思いを語る学習は,少なくとも支援する方向から言えば保証されてきている面もあるが,集団の場での形だけの話し合いでは,思いを出しにくいことも考えられる。
引用文献
刀禰 豊,日本教育心理学第56回総会 発表論文集「視覚障害等に関連する認知機能の障害に応じた行動支援の在り方」