[PD64] 学校相談員の活動内容尺度の作成
不登校・相談室登校児童生徒と保護者に対する支援に注目して
キーワード:学校相談員、活動内容、尺度
問題と目的
公立学校で不登校児童生徒が増加するなか,通常学級に入れない生徒の受け入れ場所として学校内に相談室を設置し,非常勤などの相談員を配置する例がみられている。相談員には,不登校生徒や相談室登校生徒に対応するという,個別性が高く臨機応変な支援活動を求められる。しかし,学校での相談員の位置づけは明確でなく,相談員の資質や学校の教育相談体制により相談員の役割が決まることがある(川越,2011)。相談員の活動の具体的内容に関する文献,資料は少なく,相談員に関する研究はほとんど行なわれていないのが現状である。
そこで,公立学校を主なフィールドとして活動する相談員を学校相談員とし,学校相談員を対象とした面接調査を行った。つぎに面接調査で得られた相談員の語りから,学校相談員の活動内容尺度を作成した。本研究では,学校相談員の活動内容尺度の信頼性を検討することを目的とする。
方 法
調査対象者 3県の,学校相談員236名に質問紙を配布した結果138名から回答を得た。
質問紙 面接調査から得られた24項目について4件法で回答を求めた。
結 果
24項目に対して主因子法,プロマックス回転による因子分析を行った結果,10項目による2因子が抽出された(Table 1)。
第1因子は,保護者からの相談に応じる活動に関する内容を表す項目に高い負荷を示していたため「保護者からの相談」と命名した。第2因子は,子どもの学校適応を支援する働きかけに関する内容を表す項目に高い負荷を示していたため「子ども適応支援活動」と命名した。
AMOS24.0を用いて確認的因子分析を行ったところ,適合度はχ2=47.68,df=26,GFI=.924,AGF=.869,CFI=.968,RMSEA=.081であり,基準をみたしていると判断した。内的整合性を検討するために各下位尺度のα係数を算出したところ第1因子でα=.91,第2因子でα=.86,と十分な値が得られた。
考 察
学校相談員の活動は相談室で悩みを聴くだけでなく,校内連携を含めた働きかけ活動もみられた。学校相談員の活動内容は,保護者からの相談に応じる活動と,子どもに対する心理的支援や校内連携を含めた子ども適応支援活動に大別されることが明らかになった。
学校相談員に関する調査研究はほとんどなく,ブラックボックスとも言える相談員の支援活動の構造を,本研究では探索的に検討した。今後,相談員対象の研修などで,保護者相談と子ども適応支援それぞれの課題を検討する等の工夫が考えられるであろう。
公立学校で不登校児童生徒が増加するなか,通常学級に入れない生徒の受け入れ場所として学校内に相談室を設置し,非常勤などの相談員を配置する例がみられている。相談員には,不登校生徒や相談室登校生徒に対応するという,個別性が高く臨機応変な支援活動を求められる。しかし,学校での相談員の位置づけは明確でなく,相談員の資質や学校の教育相談体制により相談員の役割が決まることがある(川越,2011)。相談員の活動の具体的内容に関する文献,資料は少なく,相談員に関する研究はほとんど行なわれていないのが現状である。
そこで,公立学校を主なフィールドとして活動する相談員を学校相談員とし,学校相談員を対象とした面接調査を行った。つぎに面接調査で得られた相談員の語りから,学校相談員の活動内容尺度を作成した。本研究では,学校相談員の活動内容尺度の信頼性を検討することを目的とする。
方 法
調査対象者 3県の,学校相談員236名に質問紙を配布した結果138名から回答を得た。
質問紙 面接調査から得られた24項目について4件法で回答を求めた。
結 果
24項目に対して主因子法,プロマックス回転による因子分析を行った結果,10項目による2因子が抽出された(Table 1)。
第1因子は,保護者からの相談に応じる活動に関する内容を表す項目に高い負荷を示していたため「保護者からの相談」と命名した。第2因子は,子どもの学校適応を支援する働きかけに関する内容を表す項目に高い負荷を示していたため「子ども適応支援活動」と命名した。
AMOS24.0を用いて確認的因子分析を行ったところ,適合度はχ2=47.68,df=26,GFI=.924,AGF=.869,CFI=.968,RMSEA=.081であり,基準をみたしていると判断した。内的整合性を検討するために各下位尺度のα係数を算出したところ第1因子でα=.91,第2因子でα=.86,と十分な値が得られた。
考 察
学校相談員の活動は相談室で悩みを聴くだけでなく,校内連携を含めた働きかけ活動もみられた。学校相談員の活動内容は,保護者からの相談に応じる活動と,子どもに対する心理的支援や校内連携を含めた子ども適応支援活動に大別されることが明らかになった。
学校相談員に関する調査研究はほとんどなく,ブラックボックスとも言える相談員の支援活動の構造を,本研究では探索的に検討した。今後,相談員対象の研修などで,保護者相談と子ども適応支援それぞれの課題を検討する等の工夫が考えられるであろう。