[PE52] 質の高い活動により基本的自己肯定感を高める取組
遊びの指導での一考察
キーワード:基本的自己肯定感、有効な動機づけ、主体的な活動
児童一人一人が主体的に取り組み,やり終えた喜びを友達や授業者と共感,共有し,基本的自己肯定感を高めることが活動の質が高いということだと考えている。そして,質の高い活動を積み上げることで,児童がより主体的に活動に取り組むようになり,生活の他の場面でも広がっていくと考えている。今回は,特別支援学校小学部第5学年,5人の学級で取り組んだ遊びの指導での1単元の実践を基に,どのような要素が質の高い活動のために必要であるか,探っていく。
児童の実態と単元設定
C児,E児は慣れない活動には特に気持ちが向きにくい。5人それぞれに見られる傾向として,友達の活動に意識が向きにくいということがある。これらの要因として,成功体験の乏しさから基本的自己肯定感が低いためだと考えた。
本実践は,全6時間で構成した。本学級の5人の児童に,「宝探し」という単元を貫く1つのテーマを設定し,ストーリー性をもたせた活動の展開とした。毎時間,1話完結形式で金庫を開け,宝を見つけ,成功体験を積み重ねていく活動である。 宝を見つけるまでの課題を個々に応じてスモールステップで設定すると,一人一人に有効な動機づけになると考えた。更に,一人ずつ順番にチャレンジ課題に取り組むとき,はしご上りとケンケンという粗大運動を取り入れることで,それぞれの動きに興味をもつと考えた。毎時間,導入は教室で,宝探しの活動とまとめは機能訓練室で行うこととし,教室移動も含めて次の活動に対して期待がもてたり,高まったりする時間になればと考えた。
指導にあたっては,児童同士のかかわりを作っていくよう心掛けた。児童が活動の過程や結果に対して自信を深め,次の活動への意欲をもつことができるよう,必要に応じて即時評価を行った。一人の児童の活動を評価することで,他の児童の活動も変化していくような,集団作りの視点も大切にして指導を心掛けた。
主体的な活動を引き出すための手立て
活動の流れを①説明を見聞きする②数字カードをゲットする(チャレンジ課題)③宝をゲットする(金庫を開ける)という一連の活動の流れを毎時間,繰り返す。これによって,1授業時間の活動の流れ全体に対して5人の児童それぞれが自分なりの見通しをもち,数字カードや宝をゲットしたいという動機づけとなり,主体的な活動につながると考えた。
結果と考察
本実践では,児童がチャレンジ課題として取り組んだのはケンケンか,はしご上りであった。活動量としては多くはない。しかし,1授業時間において,児童一人一人が有効な動機づけにより,1回のケンケンやはしご上りに対して主体的に取り組むことができる質の高い活動になることを目指した。その実現のために構想時から授業者が意識しておくべき必要な手立てや配慮点を考察として以下に示す。
活動内容に合わせて教室移動することは,児童の活動に対する気持ちが途切れるリスクもある。その反面,活動の変化(展開)がより意識しやすくなるというメリットも考えられる。本実践では,児童同士で手をつないでの移動,前時にも同様の活動を行っていたこと,導入時に写真で前時の活動を提示したことなどにより,児童は場所を移動することの意味や必然性を意識したり,理解したりすることができていたと考える。
E児は,はしご上りの途中ではしごから床に一旦下りた。これは前時よりも1段階,はしごの傾斜がきつくなっていることにE児が上りながら気づき,不安になったためであると考えた。そこで授業者は言葉掛けをしつつ,再びE児がはしご上りを行うことができるように促した。その後,E児は再びはしごを登り,数字カードをゲットすることができた。E児がはしご上りのゴール地点に置かれた数字カードに手を伸ばす前に,どのような姿勢になれば安定するかを考え,慎重にはしご上で姿勢を整えようとしていた。この時間こそ,E児が「なんとかして数字カードをゲットしたい」という,活動に対して主体的に取り組もうとする気持ちが現れた姿であったと考える。ここで授業者が児童を信じて見守ることで,E児が主体的に考えたり,活動したりすることができたと考える。
D児は,ケンケンをする予定であったが,本時では,はしご上りに取り組んだ。本時の中でD児が「やってみたい」と思い,取り組んだものである。前時にC児,E児がはしご上りに取り組む様子を見て,本時ではさらに1段ずつ高くなり,課題が高くなったはしご上りを見て,「やってみたい」と思ったと考え,D児の思いを優先することにした。その結果,D児は自分の思いが受け入れられたという安心感や満足感をもって,はしご上りに取り組むことができたと考える。
C児は,高這い姿勢ではしご上りをする予定だったが,突然,途中で立ち上がった。そのまま,はしごの両端を歩くという方法で上りきることができた。安全の確保のため,授業者はC児と片手をつなぎ,はしごに沿って歩くという支援を行った。この場面から,安全を確保しつつ,児童の主体的な活動を保障していくスタンスが授業者に求められると考える。
A児,B児は友達の様子に常に注目し,チャレンジ活動時に応援したり,金庫開けの場面で助けたりという姿が見られた。
以上のことから,本実践では,上述の要素に配慮することで,5人の児童それぞれに質の高い活動が保障できたと考える。
今後の課題としては,質の高い活動によって高まりつつある基本的自己肯定感を支えとし,活動の準備や片付けなども児童で行うなど,活動量も増やしていくことが挙げられる。
児童の実態と単元設定
C児,E児は慣れない活動には特に気持ちが向きにくい。5人それぞれに見られる傾向として,友達の活動に意識が向きにくいということがある。これらの要因として,成功体験の乏しさから基本的自己肯定感が低いためだと考えた。
本実践は,全6時間で構成した。本学級の5人の児童に,「宝探し」という単元を貫く1つのテーマを設定し,ストーリー性をもたせた活動の展開とした。毎時間,1話完結形式で金庫を開け,宝を見つけ,成功体験を積み重ねていく活動である。 宝を見つけるまでの課題を個々に応じてスモールステップで設定すると,一人一人に有効な動機づけになると考えた。更に,一人ずつ順番にチャレンジ課題に取り組むとき,はしご上りとケンケンという粗大運動を取り入れることで,それぞれの動きに興味をもつと考えた。毎時間,導入は教室で,宝探しの活動とまとめは機能訓練室で行うこととし,教室移動も含めて次の活動に対して期待がもてたり,高まったりする時間になればと考えた。
指導にあたっては,児童同士のかかわりを作っていくよう心掛けた。児童が活動の過程や結果に対して自信を深め,次の活動への意欲をもつことができるよう,必要に応じて即時評価を行った。一人の児童の活動を評価することで,他の児童の活動も変化していくような,集団作りの視点も大切にして指導を心掛けた。
主体的な活動を引き出すための手立て
活動の流れを①説明を見聞きする②数字カードをゲットする(チャレンジ課題)③宝をゲットする(金庫を開ける)という一連の活動の流れを毎時間,繰り返す。これによって,1授業時間の活動の流れ全体に対して5人の児童それぞれが自分なりの見通しをもち,数字カードや宝をゲットしたいという動機づけとなり,主体的な活動につながると考えた。
結果と考察
本実践では,児童がチャレンジ課題として取り組んだのはケンケンか,はしご上りであった。活動量としては多くはない。しかし,1授業時間において,児童一人一人が有効な動機づけにより,1回のケンケンやはしご上りに対して主体的に取り組むことができる質の高い活動になることを目指した。その実現のために構想時から授業者が意識しておくべき必要な手立てや配慮点を考察として以下に示す。
活動内容に合わせて教室移動することは,児童の活動に対する気持ちが途切れるリスクもある。その反面,活動の変化(展開)がより意識しやすくなるというメリットも考えられる。本実践では,児童同士で手をつないでの移動,前時にも同様の活動を行っていたこと,導入時に写真で前時の活動を提示したことなどにより,児童は場所を移動することの意味や必然性を意識したり,理解したりすることができていたと考える。
E児は,はしご上りの途中ではしごから床に一旦下りた。これは前時よりも1段階,はしごの傾斜がきつくなっていることにE児が上りながら気づき,不安になったためであると考えた。そこで授業者は言葉掛けをしつつ,再びE児がはしご上りを行うことができるように促した。その後,E児は再びはしごを登り,数字カードをゲットすることができた。E児がはしご上りのゴール地点に置かれた数字カードに手を伸ばす前に,どのような姿勢になれば安定するかを考え,慎重にはしご上で姿勢を整えようとしていた。この時間こそ,E児が「なんとかして数字カードをゲットしたい」という,活動に対して主体的に取り組もうとする気持ちが現れた姿であったと考える。ここで授業者が児童を信じて見守ることで,E児が主体的に考えたり,活動したりすることができたと考える。
D児は,ケンケンをする予定であったが,本時では,はしご上りに取り組んだ。本時の中でD児が「やってみたい」と思い,取り組んだものである。前時にC児,E児がはしご上りに取り組む様子を見て,本時ではさらに1段ずつ高くなり,課題が高くなったはしご上りを見て,「やってみたい」と思ったと考え,D児の思いを優先することにした。その結果,D児は自分の思いが受け入れられたという安心感や満足感をもって,はしご上りに取り組むことができたと考える。
C児は,高這い姿勢ではしご上りをする予定だったが,突然,途中で立ち上がった。そのまま,はしごの両端を歩くという方法で上りきることができた。安全の確保のため,授業者はC児と片手をつなぎ,はしごに沿って歩くという支援を行った。この場面から,安全を確保しつつ,児童の主体的な活動を保障していくスタンスが授業者に求められると考える。
A児,B児は友達の様子に常に注目し,チャレンジ活動時に応援したり,金庫開けの場面で助けたりという姿が見られた。
以上のことから,本実践では,上述の要素に配慮することで,5人の児童それぞれに質の高い活動が保障できたと考える。
今後の課題としては,質の高い活動によって高まりつつある基本的自己肯定感を支えとし,活動の準備や片付けなども児童で行うなど,活動量も増やしていくことが挙げられる。