[PE59] 認知行動療法に基づくYou Can Do It ! 予防教育プログラム,レジリエンス(日本語版)の実践
小学校5年生への実践
キーワード:認知行動療法、レジリエンス、対象児童普通学級
目 的
You Can Do It! 教育プログラムレジリエンス(Bernard, 2007)の日本語版(山本利枝・松本有貴)マニュアルを使っての学校実践を発表する。
背 景
近年の小中学校における,いじめ,不登校,精神疾患の増加から,本邦の児童生徒のメンタルヘルス問題に支援が必要である。いじめを引き起こす原因としては,自身の感情コントロールが安定しない(Farrow et al.,2011)ことが考えられるが,いじめられた子どもは情緒的混乱や無気力などを引き起こし,不登校やうつ病などの精神疾患の発症を促すことが考えられる。このような状況下で,近年,いじめ,不登校などの予防教育を施し,また子どものメンタルヘルスの向上を図るため,レジリエンスを育成する授業が小学校の授業で行われるようになってきている(Yamamoto et al.,2017)。You can do it教育プログラムは生徒の気持ちの回復(レジリエンス)力では心配なことや怒りや落ち込みからの回復で,明らかにその力がついてきていることが立証されている(Bernard, 2007)。そのため,授業実践する教員対象に研修会が実施され始めている。
方 法
観察研究デザインは二群比較試験(Quasi experiment design )を行う。尺度:1.小学生のレジリエンス評価尺度(田中,2011)2.Social Support Scale for Children (SSSC; Matsumoto, 2012).3.Strengths and Difficulties Questionnaire (SDQ)(Goodman,1997)
平野小におけるプログラム(日本語版 山本・松本2015)指導者研修会の実施した。
時期:2018年1月~2月回数:毎週1時間×6回(約2か月間)参加者:9名(担任6名・算数少人数担当1人・特別支援教室担当1名)時間:17:00~PM18:00
2018年度レジリエンス実施学年
3年生2クラス71名:受講修了担任1名
4年生2クラス65名:受講修了担任1名
5年生2クラス63名:受講修了担任2名
実施例(5年生):担任が授業を全8回行う。時期:7月~11月
レッスン1:レジリエンスとの出会い
登場人物の行動・出来事には様々な気持ちや思いがあることに改めて気付く。
レッスン2:気もちの種類について学ぶ。気持ちは表情で表現するので,表情を大切にすることに気付く。
レッスン3:気持ちに温度をつけてみよう。同じ気持ちであっても,感じ方の強さは、人それぞれであることに気付く。
レッスン4:かしこいレジリエンス
レッスン5:レジリエンスをパワーアップする力
レッスン6:あなたの頭を使う
レッスン7:忘れないように使いましょう
レッスン8:修了式
結果と考察
結果:児童の行動に変容が見られた。学級の4月の当初の様子としては、「どうせできない気がする…」といった自尊心の低さや自信のなさを見せる児童が比較的多かった。自分を取りまく環境に対して前向きに感じられなく、感じても素直に表現しない印象が見られた。この授業後、レジリエンスの学習で学んだ体験を自分の生活に取り入れていこうという前向きな態度が見られた。
成果:①前向きな姿勢になる意識の改善がみられた。
低い自尊心,自信のなさを見せる児童にも意識の改善がみられた。
②児童同士のトラブル回避・解消に役立つ。児童同士や対教師におけるトラブル時に,スムーズに解消や改善,事前回避させやすくなった。これはコミュニケーションに課題がある児童にも有効である。
③児童理解・生活指導の向上
レジリエンスの授業者である教員もレジリエンスの力を身に付けることができた。その結果、落ち着いて児童に対応し,児童理解を深められた。
④授業準備の協力体制・授業実践の共有化
どの教員も同じように授業展開ができるように,授業で使用する掲示物等資料を授業ごとに整理し板書計画等も共有化した。そのことにより、授業準備が軽減され,授業実践を話し合う機会が増えた。
課題:①翻訳を通して生じている違和感や理解しづらい表現は,日本の児童に合った言葉やイラストに直していく必要がある。
②予防教育としてのカリキュラムがないため、授業時間の確保と振替が必要である。どの教科・領域での振替が可能かを検討する必要があり,時数確保が難しい。今後教育課程の編成等の見直しが必要である。
You Can Do It! 教育プログラムレジリエンス(Bernard, 2007)の日本語版(山本利枝・松本有貴)マニュアルを使っての学校実践を発表する。
背 景
近年の小中学校における,いじめ,不登校,精神疾患の増加から,本邦の児童生徒のメンタルヘルス問題に支援が必要である。いじめを引き起こす原因としては,自身の感情コントロールが安定しない(Farrow et al.,2011)ことが考えられるが,いじめられた子どもは情緒的混乱や無気力などを引き起こし,不登校やうつ病などの精神疾患の発症を促すことが考えられる。このような状況下で,近年,いじめ,不登校などの予防教育を施し,また子どものメンタルヘルスの向上を図るため,レジリエンスを育成する授業が小学校の授業で行われるようになってきている(Yamamoto et al.,2017)。You can do it教育プログラムは生徒の気持ちの回復(レジリエンス)力では心配なことや怒りや落ち込みからの回復で,明らかにその力がついてきていることが立証されている(Bernard, 2007)。そのため,授業実践する教員対象に研修会が実施され始めている。
方 法
観察研究デザインは二群比較試験(Quasi experiment design )を行う。尺度:1.小学生のレジリエンス評価尺度(田中,2011)2.Social Support Scale for Children (SSSC; Matsumoto, 2012).3.Strengths and Difficulties Questionnaire (SDQ)(Goodman,1997)
平野小におけるプログラム(日本語版 山本・松本2015)指導者研修会の実施した。
時期:2018年1月~2月回数:毎週1時間×6回(約2か月間)参加者:9名(担任6名・算数少人数担当1人・特別支援教室担当1名)時間:17:00~PM18:00
2018年度レジリエンス実施学年
3年生2クラス71名:受講修了担任1名
4年生2クラス65名:受講修了担任1名
5年生2クラス63名:受講修了担任2名
実施例(5年生):担任が授業を全8回行う。時期:7月~11月
レッスン1:レジリエンスとの出会い
登場人物の行動・出来事には様々な気持ちや思いがあることに改めて気付く。
レッスン2:気もちの種類について学ぶ。気持ちは表情で表現するので,表情を大切にすることに気付く。
レッスン3:気持ちに温度をつけてみよう。同じ気持ちであっても,感じ方の強さは、人それぞれであることに気付く。
レッスン4:かしこいレジリエンス
レッスン5:レジリエンスをパワーアップする力
レッスン6:あなたの頭を使う
レッスン7:忘れないように使いましょう
レッスン8:修了式
結果と考察
結果:児童の行動に変容が見られた。学級の4月の当初の様子としては、「どうせできない気がする…」といった自尊心の低さや自信のなさを見せる児童が比較的多かった。自分を取りまく環境に対して前向きに感じられなく、感じても素直に表現しない印象が見られた。この授業後、レジリエンスの学習で学んだ体験を自分の生活に取り入れていこうという前向きな態度が見られた。
成果:①前向きな姿勢になる意識の改善がみられた。
低い自尊心,自信のなさを見せる児童にも意識の改善がみられた。
②児童同士のトラブル回避・解消に役立つ。児童同士や対教師におけるトラブル時に,スムーズに解消や改善,事前回避させやすくなった。これはコミュニケーションに課題がある児童にも有効である。
③児童理解・生活指導の向上
レジリエンスの授業者である教員もレジリエンスの力を身に付けることができた。その結果、落ち着いて児童に対応し,児童理解を深められた。
④授業準備の協力体制・授業実践の共有化
どの教員も同じように授業展開ができるように,授業で使用する掲示物等資料を授業ごとに整理し板書計画等も共有化した。そのことにより、授業準備が軽減され,授業実践を話し合う機会が増えた。
課題:①翻訳を通して生じている違和感や理解しづらい表現は,日本の児童に合った言葉やイラストに直していく必要がある。
②予防教育としてのカリキュラムがないため、授業時間の確保と振替が必要である。どの教科・領域での振替が可能かを検討する必要があり,時数確保が難しい。今後教育課程の編成等の見直しが必要である。