[PF06] 高校生の自尊感情に仲間集団の特徴が与える影響について
キーワード:高校生、自尊感情、仲間集団
問題と目的
自尊感情は社会的適応や精神的健康の支えであるとされている。しかし,多くの研究で生徒の自尊感情が低いことが指摘されている。そのため,自尊感情に影響を及ぼす要因について検討することは重要な課題であると言える。自尊感情は他者との関わりの中で形成されていくとされており,特に青年期は仲間や仲間集団から大きな影響を受けると考えられる。
そこで本研究では,「自尊感情」に,個人が所属している仲間集団の特徴(人数や性別)が及ぼす影響について検討を行った。
方 法
1.対象:高校2年生160名。その内欠損値を含む生徒を除いた133名(男子50名,女子83名)を分析対象とした。
2.実施時期:2018年12月に実施。
3.質問紙:①仲間集団の有無について,②仲間集団の人数について,③仲間集団の性別特性について,④仲間集団の閉鎖性について。④については5件法で回答を求めた。②~④については①で所属している仲間集団が有ると答えた生徒にのみ回答を求めた。
結果と考察
1.自尊感情について
性別や仲間集団の有無が生徒の自尊感情に与える影響について検討するために,性別(男子・女子)×仲間集団の有無(有り・無し)の2要因分散分析を行った。結果,性別と仲間集団の有無の主効果,交互作用の全てが有意であった。単純主効果検定を行ったところ,仲間集団有群においても(F(1,129)=4.90, P<.01)無群においても(F(1,129)=12.99, P<.01)男子の方が女子より有意に自尊感情が高かった。また女子において,仲間集団有群の方が仲間集団無群よりも有意に自尊感情が高かった(Figure 1)。
2.自尊感情と仲間集団の特性の関連について
133名中,特定の仲間集団が有ると回答した生徒は111名であった。所属している集団の特性によって自尊感情に変化が見られるかを検討するために,自尊感情を従属変数とする仲間集団の性別特性(同性のみ・混合)×仲間集団の人数(低群,中群,高群)の2要因分散分析を行った(Table 2)。仲間集団の人数の群分けは,2人を低群,3~5人を中群,6人以上を高群とした。結果,仲間集団の人数の主効果が有意であった(F(1,106)=5.32, p<.01)。多重比較の結果,仲間集団の人数低群の方が中群より有意に自尊感情が高かった。
以上の結果から,仲間集団の有無が女子高校生の自尊感情の高さに影響を及ぼしていることが示された。仲間集団に所属したいのに所属できていない女子生徒は孤独や不安を感じやすく,それが生徒の自尊感情の低下につながることが考えられた。また,所属している仲間集団の人数が自尊感情に影響を及ぼしていることも明らかになった。特にメンバーが2人のみの仲間集団に所属している生徒の自尊感情が高かったことから,メンバーとの親密性の高さが生徒の自尊感情に影響を及ぼしている可能性が考えられた。
自尊感情は社会的適応や精神的健康の支えであるとされている。しかし,多くの研究で生徒の自尊感情が低いことが指摘されている。そのため,自尊感情に影響を及ぼす要因について検討することは重要な課題であると言える。自尊感情は他者との関わりの中で形成されていくとされており,特に青年期は仲間や仲間集団から大きな影響を受けると考えられる。
そこで本研究では,「自尊感情」に,個人が所属している仲間集団の特徴(人数や性別)が及ぼす影響について検討を行った。
方 法
1.対象:高校2年生160名。その内欠損値を含む生徒を除いた133名(男子50名,女子83名)を分析対象とした。
2.実施時期:2018年12月に実施。
3.質問紙:①仲間集団の有無について,②仲間集団の人数について,③仲間集団の性別特性について,④仲間集団の閉鎖性について。④については5件法で回答を求めた。②~④については①で所属している仲間集団が有ると答えた生徒にのみ回答を求めた。
結果と考察
1.自尊感情について
性別や仲間集団の有無が生徒の自尊感情に与える影響について検討するために,性別(男子・女子)×仲間集団の有無(有り・無し)の2要因分散分析を行った。結果,性別と仲間集団の有無の主効果,交互作用の全てが有意であった。単純主効果検定を行ったところ,仲間集団有群においても(F(1,129)=4.90, P<.01)無群においても(F(1,129)=12.99, P<.01)男子の方が女子より有意に自尊感情が高かった。また女子において,仲間集団有群の方が仲間集団無群よりも有意に自尊感情が高かった(Figure 1)。
2.自尊感情と仲間集団の特性の関連について
133名中,特定の仲間集団が有ると回答した生徒は111名であった。所属している集団の特性によって自尊感情に変化が見られるかを検討するために,自尊感情を従属変数とする仲間集団の性別特性(同性のみ・混合)×仲間集団の人数(低群,中群,高群)の2要因分散分析を行った(Table 2)。仲間集団の人数の群分けは,2人を低群,3~5人を中群,6人以上を高群とした。結果,仲間集団の人数の主効果が有意であった(F(1,106)=5.32, p<.01)。多重比較の結果,仲間集団の人数低群の方が中群より有意に自尊感情が高かった。
以上の結果から,仲間集団の有無が女子高校生の自尊感情の高さに影響を及ぼしていることが示された。仲間集団に所属したいのに所属できていない女子生徒は孤独や不安を感じやすく,それが生徒の自尊感情の低下につながることが考えられた。また,所属している仲間集団の人数が自尊感情に影響を及ぼしていることも明らかになった。特にメンバーが2人のみの仲間集団に所属している生徒の自尊感情が高かったことから,メンバーとの親密性の高さが生徒の自尊感情に影響を及ぼしている可能性が考えられた。