[PF16] 教員養成大学の学生におけるSDGsに対する認識
Keywords:持続可能な開発目標(SDGs)、教員養成
国連が2030年までの国際目標として掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」は,日本においても社会的な関心事項であり,様々な場面で啓蒙や取組みが進められている。学校現場においても同様に将来持続可能な社会の担い手となる子どもたちにSDGsに関する適切な意識や知識を育てる教育が求められており,教員養成大学においてはそのような力を持った教師を養成する必要性が高いと考えられる。本研究では,教員養成大学の大学生におけるSDGsに対する認識やイメージの様相について検討することを目的とする。
方 法
調査対象 4年制の教員養成大学の学生135名(男性43名,女性87名,不明5名)。
質問項目 質問紙において,SDGsの17の目標について説明した。その上で各目標について(1)どの程度興味があるか(関心度),(2)どの程度知っているか(認知度),(3) 日本ではどの程度取組みがなされていると思うか(取組みのイメージ)について,それぞれ5件法で質問し,得点化した。
結果と考察
因子分析 各目標がどのようなまとまりをもって認識されているのかについて検討するため,設問ごとに因子分析(主因子法,プロマックス回転解法,因子負荷量.04以上を因子項目)を行った。その結果,(1)関心度については3因子に収束し,それぞれ「社会福祉分野」「産業経済分野」「自然環境分野」と命名した(Table 1)。(2)認知度については2因子に収束し,それぞれ「環境分野」「生活分野」と命名した。(3) 取組みのイメージについては,関心度に類似した3因子に収束した。質問項目間の比較を行うため,各設問について(1)関心度の因子構造にあわせて尺度得点を算出した。
設問間の相関 各因子の尺度得点について,設問間の相関係数を算出したところ,いずれの因子についても(1)関心度と(2)認知度との間の相関が比較的高かった(社会福祉分野:r=.403,産業経済分野:r=.349,自然環境分野:r=.328)。
項目間の比較 尺度得点を従属変数として,設問(3:関心度,認知度,取組みのイメージ)×因子(3:社会福祉分野,産業経済分野,自然環境分野)の因子分析を行った結果,両要因の主効果および交互作用が有意であった。
交互作用についての多重比較の結果,いずれの因子においても,(2)認知度の得点は(1)関心度および(3)取組みのイメージのそれよりも低かった。また,(1)関心度と(2)認知度においては,社会福祉分野,自然環境分野,産業経済分野の順で得点が高かったが,(3)取組みのイメージについては,因子間の差異はみられなかった(Figure 1)。
まとめ 因子のまとまりの傾向から,大学生のSDGsに対するイメージは,開発目標の分野と同時に,自分自身の生活との関連性の深さによっても区分されていることが窺われる。また,関心度に比べて認知度は低いものの,特に社会福祉分野についての関心は高かった。このことについて,社会福祉分野に含まれる項目は他の因子のそれに比べて自信の生活に身近な者が多く含まれているため,SDGsにおける目標をより自身の関心事として捉えやすかったのではないかと考えられる。但し,興味や関心および認識の詳細な内容については今後検討する必要がある。
方 法
調査対象 4年制の教員養成大学の学生135名(男性43名,女性87名,不明5名)。
質問項目 質問紙において,SDGsの17の目標について説明した。その上で各目標について(1)どの程度興味があるか(関心度),(2)どの程度知っているか(認知度),(3) 日本ではどの程度取組みがなされていると思うか(取組みのイメージ)について,それぞれ5件法で質問し,得点化した。
結果と考察
因子分析 各目標がどのようなまとまりをもって認識されているのかについて検討するため,設問ごとに因子分析(主因子法,プロマックス回転解法,因子負荷量.04以上を因子項目)を行った。その結果,(1)関心度については3因子に収束し,それぞれ「社会福祉分野」「産業経済分野」「自然環境分野」と命名した(Table 1)。(2)認知度については2因子に収束し,それぞれ「環境分野」「生活分野」と命名した。(3) 取組みのイメージについては,関心度に類似した3因子に収束した。質問項目間の比較を行うため,各設問について(1)関心度の因子構造にあわせて尺度得点を算出した。
設問間の相関 各因子の尺度得点について,設問間の相関係数を算出したところ,いずれの因子についても(1)関心度と(2)認知度との間の相関が比較的高かった(社会福祉分野:r=.403,産業経済分野:r=.349,自然環境分野:r=.328)。
項目間の比較 尺度得点を従属変数として,設問(3:関心度,認知度,取組みのイメージ)×因子(3:社会福祉分野,産業経済分野,自然環境分野)の因子分析を行った結果,両要因の主効果および交互作用が有意であった。
交互作用についての多重比較の結果,いずれの因子においても,(2)認知度の得点は(1)関心度および(3)取組みのイメージのそれよりも低かった。また,(1)関心度と(2)認知度においては,社会福祉分野,自然環境分野,産業経済分野の順で得点が高かったが,(3)取組みのイメージについては,因子間の差異はみられなかった(Figure 1)。
まとめ 因子のまとまりの傾向から,大学生のSDGsに対するイメージは,開発目標の分野と同時に,自分自身の生活との関連性の深さによっても区分されていることが窺われる。また,関心度に比べて認知度は低いものの,特に社会福祉分野についての関心は高かった。このことについて,社会福祉分野に含まれる項目は他の因子のそれに比べて自信の生活に身近な者が多く含まれているため,SDGsにおける目標をより自身の関心事として捉えやすかったのではないかと考えられる。但し,興味や関心および認識の詳細な内容については今後検討する必要がある。