日本教育心理学会第61回総会

講演情報

ポスター発表

[PF] ポスター発表 PF(01-67)

2019年9月15日(日) 16:00 〜 18:00 3号館 1階 (カフェテリア)

在席責任時間
奇数番号16:00~17:00
偶数番号17:00~18:00

[PF29] インストラクショナルデザインに基づいた心肺蘇生法研修における医療学生の学習意欲の差 (2018年版)

青木太郎 (日本BLS協会)

キーワード:インストラクショナルデザイ、アクティブラーニング、評価

背  景
 文部科学省は「心肺蘇生法実技講習会の実施について」(1)などにおいて,各都道府県教育委員会教育長あてに教員などに対して心肺蘇生法(人工呼吸及び胸骨圧迫)の技能の習得をするように実施をしてきている。一方,参加者である児童・生徒・学生がその講習会前後で反応,自信,モチベーションに変化が現れたかどうかという研究は少ない。参加者の属性により変化が現れるのなら,それにあわせた学習方略が必要である可能性がある。
方  法
日時:2018年4月6日
場所:栃木県日光市
実験参加者:A大学1年生 看護学科,理学療法学科,作業療法学科,言語聴覚学科,合計288名であった。
実験内容:心肺蘇生法の国際基準の策定の中心的存在であるアメリカ心臓協会が制作した,非医療現場向け心肺蘇生法プログラム「ファミリーアンドフレンズCPR」映像教材を利用し,心肺蘇生法を学生たちに指導した。学生たちの反応・学習意欲の変化を見るために,質問を設定し,受講の前後で内容に変化があるかを測った。デモグラフィック項目として,性別,学科別で変化があるかに注目し,統計処理を施した。質問項目は右のようにした。
結  論
 性別により,点数が異なるという帰無仮説は棄却された。学科別により,点数が異なるという帰無仮説は,看護学科,理学療法学科,言語聴覚学科の学生においては6問全て棄却された。作業療法学科の学生においては,質問6「有料(または医療職向け)の講習会を受けてみたい」のみ棄却されなかった(p<.05)。
考  察
 実験参加者は大学1年生であり,実験日は4月初旬であり大学の授業はまだ始まっていないことから,この実験は当該学科の学習内容というよりは,当該学科を目指した学生たちが高校卒業時までにどのようなメンタリティを身に着けてきたかを測定したことになると考えられる。性別による差は認められなかったため,特に性別による学習内容に変更は必要ない可能性がある。また,学科による差は無かった。以上の点から,今回の実験デザインにおいては,性別や学科別による反応,自信,モチベーションに変化は,概ね現れなかったと考えられる。
これらの実験は2017年度に実施した同趣旨の実験とほぼ同じ結果となった。
参考文献
心肺蘇生法実技講習会の実施について,1992,文部科学省, 文体学第九三号