日本教育心理学会第61回総会

講演情報

ポスター発表

[PG] ポスター発表 PG(01-59)

2019年9月16日(月) 10:00 〜 12:00 3号館 1階 (カフェテリア)

在席責任時間
奇数番号10:00~11:00
偶数番号11:00~12:00

[PG03] 幼児期の情動発達と行動特徴との関連に関する研究(3)

情動発達とADHD傾向との関連

平川久美子1, 高橋千枝2, 本郷一夫3, 飯島典子4 (1.石巻専修大学, 2.東北学院大学, 3.東北大学, 4.宮城教育大学)

キーワード:情動発達、行動特徴、幼児

問題と目的
 本研究は,幼児期から児童期における情動発達のアセスメント・スケールを開発することを目的とした研究の一部である。研究3では,研究2で抽出された2つの行動特徴のうちADHD傾向に着目し,幼児期における情動発達とADHD傾向との関連を明らかにすることを目的とした。
方  法
1.調査対象:研究1に同じ。研究3において情動発達とADHD傾向との関連を明らかにするにあたり,研究2で抽出された「ADHD傾向」の11項目を用いて,それらの項目の平均得点が4未満をADHD傾向低群(n=969),4以上をADHD傾向高群(n=99)として群分けを行った。
2.調査時期:研究1に同じ。
3.調査内容:研究1に同じ。
結果と考察
1.情動の領域別得点とADHD傾向との関連
 7つの領域別得点について,ADHD傾向低群とADHD傾向高群との間の差を検討するためにt検定を行った。その結果,〈誇り・恥〉を除く6つの領域について有意差がみられた(Table 1)。〈表現(表情)〉〈表現(言葉)〉〈過敏さ〉の得点はADHD傾向高群のほうが有意に高く,〈抑制〉〈理解〉〈共感〉の得点はADHD傾向高群のほうが有意に低かった。
2.情動の項目別得点とADHD傾向との関連
 20の項目別得点について,ADHD傾向低群とADHD傾向高群との間の差を検討するためにt検定を行った。その結果,16項目について有意差がみられた。この中でも,ADHD傾向低群とADHD傾向高群の間で項目別得点の差が大きかった上位5項目をTable 2に示した。
 Table 1およびTable 2の結果より,①ADHD傾向の高い子どもは表情や言葉による表現,抑制,理解,共感,過敏さなど情動発達の様々な側面において遅れがみられること,②とりわけ否定的情動を抑制したり,表情や言葉で適切に表現したりすることが難しいことが示唆された。
付  記
 なお,本研究は科学研究費補助金基盤研究(B)「幼児期・児童期の情動発達アセスメント・スケールの開発と保育・教育への応用」(研究代表:本郷一夫)の助成を受けて行われた。