[PG16] 視覚障害者の就労スキル獲得及び上司の支援プロセス
できること・できないことの認識ギャップ
キーワード:就労スキル、能力開発、障害者雇用
問題と目的
近年,障害者雇用中でも難度の高い(厚生労働省,2014)視覚障害者の既存職域(三療業等)における優位性が喪失しつつあり(高齢・障害・求職者雇用支援機構,2006)事務系職種での採用が期待されているが,企業側も「どのような職務を割り当てるか」判らず,進んでいない(吉田,1997)。
事務職では技術的スキル(例:オフィス系ソフトウェア)だけでなく,対人的スキルや概念的スキルも必要となる(Crudden, 2012; Cavenaugh & Giesen, 2012)。しかし,職場では実際にどのようなスキルが必要なのか,それらが周囲の支援によってどう発達するのかは未解明である。
先行研究は,事例分析(白井,2009)を除くと現状調査が殆どである。そこで本研究は,就労スキルの獲得と支援のプロセスを解明する。
方 法
調査協力者 2018年11-12月,勤務経験3年以上の当事者7名と上司10名(8社)からデータを収集した。
調査内容 「働くスキル形成と周囲の支援」について,本人向けと上司向けにガイドラインを準備し,個別に1時間程度の半構造化面接を実施した。
分析方法 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(木下,2003他)の分析ツールを用いてオープン・コーディングとカテゴリー化を行った。
結 果
分析の結果を,以下Figure 1,2に示す。
考 察
「苦手スキル」で認識ギャップが存在した。本人は要求される仕事の範囲を,上司は仕事時の認知的処理を知らないために,一方が「できない(やること)リスト」を作成しても十分でない。
理論的貢献 分析焦点者を相互作用の双方に設定することで,従来の分析では得られない認識ギャップの存在(改善の手がかり)を明らかにした。
実践的示唆 「相手はこう考えている」「ここで躓いている」「他者はこんな支援や工夫をしている」ことの理解で障害者の就労スキル開発ができる。
近年,障害者雇用中でも難度の高い(厚生労働省,2014)視覚障害者の既存職域(三療業等)における優位性が喪失しつつあり(高齢・障害・求職者雇用支援機構,2006)事務系職種での採用が期待されているが,企業側も「どのような職務を割り当てるか」判らず,進んでいない(吉田,1997)。
事務職では技術的スキル(例:オフィス系ソフトウェア)だけでなく,対人的スキルや概念的スキルも必要となる(Crudden, 2012; Cavenaugh & Giesen, 2012)。しかし,職場では実際にどのようなスキルが必要なのか,それらが周囲の支援によってどう発達するのかは未解明である。
先行研究は,事例分析(白井,2009)を除くと現状調査が殆どである。そこで本研究は,就労スキルの獲得と支援のプロセスを解明する。
方 法
調査協力者 2018年11-12月,勤務経験3年以上の当事者7名と上司10名(8社)からデータを収集した。
調査内容 「働くスキル形成と周囲の支援」について,本人向けと上司向けにガイドラインを準備し,個別に1時間程度の半構造化面接を実施した。
分析方法 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(木下,2003他)の分析ツールを用いてオープン・コーディングとカテゴリー化を行った。
結 果
分析の結果を,以下Figure 1,2に示す。
考 察
「苦手スキル」で認識ギャップが存在した。本人は要求される仕事の範囲を,上司は仕事時の認知的処理を知らないために,一方が「できない(やること)リスト」を作成しても十分でない。
理論的貢献 分析焦点者を相互作用の双方に設定することで,従来の分析では得られない認識ギャップの存在(改善の手がかり)を明らかにした。
実践的示唆 「相手はこう考えている」「ここで躓いている」「他者はこんな支援や工夫をしている」ことの理解で障害者の就労スキル開発ができる。