日本教育心理学会第61回総会

講演情報

ポスター発表

[PG] ポスター発表 PG(01-59)

2019年9月16日(月) 10:00 〜 12:00 3号館 1階 (カフェテリア)

在席責任時間
奇数番号10:00~11:00
偶数番号11:00~12:00

[PG57] 中学生のいじめ被害分類と対人関係の関連

舒悦1, 加藤弘通2, 太田正義3 (1.北海道大学, 2.北海道大学, 3.常葉大学)

キーワード:いじめ被害、対人関係、潜在クラス理論

問  題
 今までのいじめ被害についての研究は,それぞれの被害の様態別に検討してきた。しかし,Waasdorp(2015)が指摘しているように複数様態のいじめ被害は同時に発生することが多い。したがって,被害を個別に研究するのではなく,いじめ被害のあり方を分類し検討する必要がある。本研究では,中学生を対象に潜在クラス理論を用い,被害をいくつかのクラスを分類し,複数のタイプに被害を分類する。そして,そのクラスによって,対人関係にどのような違いがあるかを明らかにする。
方  法
調査協力者 中学生18877人(男子9707人,女子9075人,未記入95人),調査時期は2017年7月。
質問紙の内容
「いじめ被害経験」,「教師との接触」,「教師との関係」,「親との関係」を5件法で回答してもらった。
結  果
1. クラス数の選定と解釈
 週に1回以上被害したと回答した生徒いじめ被害者とし,ダミーコーディングを施して(0=非被害者,1=被害者),潜在クラス理論で分類した。BLRT法の結果により,6クラスを採択した。
 クラスに命名は各観測変数の該当ありの割合に着目して,以下のようにした。
2. クラスと対人関係の関連
 いじめ被害クラスごとに教師との関係,接触頻度,親との関係の特徴を把握するため,分散分析を行った。その結果,全てにおいてグループごとの主効果は有意だった(F教師頻度 (1,5) = 19, p < .001, η2=.005; F教師関係 (1,5) = 39, p < .001, η2 = .010; F親関係(1,5) = 45, p < .001, η2 = .012)。多重比較の結果,「いじめ無し」グループと他のグールプで有意差が見られた。特に,全体的にいじめ被害を受けた生徒と教師の接触頻度が有意に低かった。
考  察
 以上より,中学生のいじめ被害のあり方は,いくつかのタイプに分類可能であることが示唆された。また,もっとも深刻な被害のクラスであると思われる全体的な被害群は,他のクラスに比べ教師との接触頻度が低かった。したがって,深刻化を防ぐには,被害生徒と教師の接触頻度をより高めることが必要であると考えられる。