[PH28] 内容の深まりを目指した作文指導法の開発
キーワード:作文教育、学習環境、小学校教育
問題と目的
現在の学校で行われている作文指導では,教科書に例示された作文を模倣する形で書き方を練習するという展開が多く見られる。これは,目的意識や相手意識を子どもたちに十分与えず,とりあえず作文を書くという状況を作り出してしまう危険性が高い。また,個々の児童に対する細かい指導は不十分であり,作文の内容に着目した丁寧な指導はなされていないと考えられる。以上のことから,本研究では作文における内容の深まりに着目し,児童への個別指導のあり方を検討した。
研究Ⅰ
目的 支援学生と児童の対話活動、児童同士の関わりを通して内容の深まりを目指した作文指導法を開発することを目的とした。
手続き
参加者 松山市の公立小学校に在籍する小学校4年生の児童9名(男子3名,女子6名)
実施期間 2018年4月23日〜7月9日(週に1度月曜日16時30分〜18時の90分間)
支援内容 紹介文を扱い,1つのテーマにつき2回の支援を用いた。1回目の支援では補助教材の使用と支援学生との対話活動で作文記述の準備を行い,2回目の支援では実際に記述,児童同士での読み合い活動,その後振り返り活動を行った。
評価方法 原稿用紙1枚を1単位として数値化。また,独自のチェックリストを作成し,達成項目数の変化を調査した。
結果と考察 文章量からは,平均値におよそ2倍の増加が見られ,児童の作文学習に対する意欲の向上が示唆された。Figure 1,2ではチェックリスト達成率の変化を示している。形式面では,児童全員が7割以上の達成率を示したのに対し,内容面では4割未満の達成率にとどまった。さらに内容面達成率に増加傾向が見られた児童は1名のみだったことから,対話活動を内容面に特化すること,補助教材を再検討することが必要だと考えられた。尚,1001等の数字は,児童を特定する番号である。
研究Ⅱ
目的 研究Ⅰの結果から内容面に特化した対話活動を実施し,内容面を深めるために付箋を使用した取り組みを導入し,内容の深まりを目指した作文指導法を開発することを目的とした。付箋には情報を要約したものを書き,必要があればいつでも追加,取り外しが可能である。
手続き
参加者 松山市の公立小学校に在籍する小学校4年生の児童9名(男子2名,女子7名)
実施期間 2018年10月18日〜12月10日(週に1度木曜日16時30分〜17時30分の60分間)
支援内容 説明文を扱った。支援内容は研究Ⅰとおおよそ同様であるが,2回目の支援において児童同士の読み合い活動を廃止している。
評価方法 研究1と同様であるが,文種の変更に伴いチェックリストは新しいものを作成した。
結果と考察 文章量はさほど変化は見られなかったが,Figure 3,4から形式面,内容面双方で児童全員が6割以上の項目を達成したことが明らかになった。内容面では児童全員が増加傾向を示している。
総合考察
研究Ⅰでは,内容面に関する対話が形式面に関する対話になってしまったが,研究Ⅱでは付箋を用いたり,支援学生が内容面を意識した対話を心がけたりしたことで,内容面に関する対話を行うことができ,参加者全員の内容面の向上が見られた。研究Ⅱで取り入れた付箋活動では,情報を追加したり,精選したりしやすく,研究Ⅰで用いていた補助教材に比べ,児童らがより簡単に内容を深めることができていた。今後の課題としては,より学校教育に生かしやすい,一斉指導での作文指導のあり方を研究するとともに,「作文教育は作文の書き方を教えること」という概念から抜け出し,引き続き内容の深まりを目指した作文指導の確立を目指すことだと考えている.
現在の学校で行われている作文指導では,教科書に例示された作文を模倣する形で書き方を練習するという展開が多く見られる。これは,目的意識や相手意識を子どもたちに十分与えず,とりあえず作文を書くという状況を作り出してしまう危険性が高い。また,個々の児童に対する細かい指導は不十分であり,作文の内容に着目した丁寧な指導はなされていないと考えられる。以上のことから,本研究では作文における内容の深まりに着目し,児童への個別指導のあり方を検討した。
研究Ⅰ
目的 支援学生と児童の対話活動、児童同士の関わりを通して内容の深まりを目指した作文指導法を開発することを目的とした。
手続き
参加者 松山市の公立小学校に在籍する小学校4年生の児童9名(男子3名,女子6名)
実施期間 2018年4月23日〜7月9日(週に1度月曜日16時30分〜18時の90分間)
支援内容 紹介文を扱い,1つのテーマにつき2回の支援を用いた。1回目の支援では補助教材の使用と支援学生との対話活動で作文記述の準備を行い,2回目の支援では実際に記述,児童同士での読み合い活動,その後振り返り活動を行った。
評価方法 原稿用紙1枚を1単位として数値化。また,独自のチェックリストを作成し,達成項目数の変化を調査した。
結果と考察 文章量からは,平均値におよそ2倍の増加が見られ,児童の作文学習に対する意欲の向上が示唆された。Figure 1,2ではチェックリスト達成率の変化を示している。形式面では,児童全員が7割以上の達成率を示したのに対し,内容面では4割未満の達成率にとどまった。さらに内容面達成率に増加傾向が見られた児童は1名のみだったことから,対話活動を内容面に特化すること,補助教材を再検討することが必要だと考えられた。尚,1001等の数字は,児童を特定する番号である。
研究Ⅱ
目的 研究Ⅰの結果から内容面に特化した対話活動を実施し,内容面を深めるために付箋を使用した取り組みを導入し,内容の深まりを目指した作文指導法を開発することを目的とした。付箋には情報を要約したものを書き,必要があればいつでも追加,取り外しが可能である。
手続き
参加者 松山市の公立小学校に在籍する小学校4年生の児童9名(男子2名,女子7名)
実施期間 2018年10月18日〜12月10日(週に1度木曜日16時30分〜17時30分の60分間)
支援内容 説明文を扱った。支援内容は研究Ⅰとおおよそ同様であるが,2回目の支援において児童同士の読み合い活動を廃止している。
評価方法 研究1と同様であるが,文種の変更に伴いチェックリストは新しいものを作成した。
結果と考察 文章量はさほど変化は見られなかったが,Figure 3,4から形式面,内容面双方で児童全員が6割以上の項目を達成したことが明らかになった。内容面では児童全員が増加傾向を示している。
総合考察
研究Ⅰでは,内容面に関する対話が形式面に関する対話になってしまったが,研究Ⅱでは付箋を用いたり,支援学生が内容面を意識した対話を心がけたりしたことで,内容面に関する対話を行うことができ,参加者全員の内容面の向上が見られた。研究Ⅱで取り入れた付箋活動では,情報を追加したり,精選したりしやすく,研究Ⅰで用いていた補助教材に比べ,児童らがより簡単に内容を深めることができていた。今後の課題としては,より学校教育に生かしやすい,一斉指導での作文指導のあり方を研究するとともに,「作文教育は作文の書き方を教えること」という概念から抜け出し,引き続き内容の深まりを目指した作文指導の確立を目指すことだと考えている.