[PH63] 中学生の学校ストレスが学校享受感,攻撃性ならびにストレスコーピングについての検討
キーワード:学校ストレス、学校享受感、ストレスコーピング
問 題
近年,教育現場において,いじめ,不登校など様々な問題が懸念されている。いじめの問題に関しては,学校ストレッサー,攻撃性などの面からこれまで数多く研究がされている。本研究では,学校ストレッサーが攻撃性と学校享受感に及ぼす影響を検討することに加えて,学校ストレッサーに対してのストレスコーピングについて検討を行った。
方 法
1. 調査対象者
公立中学校の生徒1年生97名,2年生122名,3年生124名,計477名を対象とした。
2. 調査実施時期
調査時期は2018年7月中旬から7月下旬に行った。
3. 調査用紙
(1) 学校享受感:学校享受感測定尺度 (古市・玉木, 1994) を用いた。(2) 学校ストレッサー:中学生用学校ストレッサー尺度 (岡安・嶋田・丹羽・森・矢富,1992) のうち,「友人関係ストレッサー」「学業ストレッサー」「部活動ストレッサー」「委員会活動ストレッサー」「規則ストレッサー」の5つの下位尺度を用いた。(3) 攻撃性:HAQS (中学生用攻撃性質問紙:大竹・島井・曽我・嶋田,1998) を用いた。(4) コーピング:中学生用ストレスコーピング尺度 (三浦・板野, 1996) を用いた。
結果および考察
本研究の仮説として,学校享受感に学校ストレッサーの「友人関係ストレッサー」,「学業ストレッサー」が強い影響を与える。また,攻撃性のうち「敵意」に学校ストレッサーの「友人関係ストレッサー」が強い影響を与えるとした。仮説に基づき,学校ストレッサーが学校享受感,攻撃性,ストレスコーピングそれぞれに与える影響を検討するため,パス解析を行った。
中学生全体において,モデルを検討し,有意なパスが見られたところのみをFigure 1に示す。分析の結果,「学業ストレッサー」が高いほど「あきらめ」のコーピングを行うことが明らかとなり,「部活動ストレッサー」が高いほど「思考の肯定的変換」のコーピングはあまり行わず,「敵意」は高くなる傾向が明らかとなった。
また,「前向きな思考」,「サポート希求」,「思考の肯定的変換」のコーピングを行うことで,学校享受感が高くなる傾向が示唆された。さらに,「言語的攻撃」が高いと学校享受感も高くなるという結果が得られた。
これらの結果から,学校享受感に,学校ストレッサーの「友人関係ストレッサー」,「学業ストレッサー」が強い影響を与えるという仮説について検討すると,学校ストレッサーから学校享受感に直接有意なパスは認められず,攻撃性やストレスコーピングを媒介してのみ有意なパスが見られた。ストレスコーピングの中では「思考の肯定的変換」が学校享受感に正の有意な影響を与えていることが認められた。このことから,ストレスコーピングの中でも,「思考の肯定的変換」を行うことが学校享受感を高めることに繋がることが明らかとなった。
次に,攻撃性のうち「敵意」に学校ストレッサーの「友人関係ストレッサー」が強い影響を与えるという仮説について検討した結果,「友人関係ストレッサー」から「敵意」へのパスで有意なものはみられなかった。しかし,「部活動ストレッサー」が「敵意」に影響を与えていることが示された。また,「友人関係ストレッサー」は攻撃性の中でも「身体的攻撃」に正の有意な影響を及ぼしていることが明らかとなった。
近年,教育現場において,いじめ,不登校など様々な問題が懸念されている。いじめの問題に関しては,学校ストレッサー,攻撃性などの面からこれまで数多く研究がされている。本研究では,学校ストレッサーが攻撃性と学校享受感に及ぼす影響を検討することに加えて,学校ストレッサーに対してのストレスコーピングについて検討を行った。
方 法
1. 調査対象者
公立中学校の生徒1年生97名,2年生122名,3年生124名,計477名を対象とした。
2. 調査実施時期
調査時期は2018年7月中旬から7月下旬に行った。
3. 調査用紙
(1) 学校享受感:学校享受感測定尺度 (古市・玉木, 1994) を用いた。(2) 学校ストレッサー:中学生用学校ストレッサー尺度 (岡安・嶋田・丹羽・森・矢富,1992) のうち,「友人関係ストレッサー」「学業ストレッサー」「部活動ストレッサー」「委員会活動ストレッサー」「規則ストレッサー」の5つの下位尺度を用いた。(3) 攻撃性:HAQS (中学生用攻撃性質問紙:大竹・島井・曽我・嶋田,1998) を用いた。(4) コーピング:中学生用ストレスコーピング尺度 (三浦・板野, 1996) を用いた。
結果および考察
本研究の仮説として,学校享受感に学校ストレッサーの「友人関係ストレッサー」,「学業ストレッサー」が強い影響を与える。また,攻撃性のうち「敵意」に学校ストレッサーの「友人関係ストレッサー」が強い影響を与えるとした。仮説に基づき,学校ストレッサーが学校享受感,攻撃性,ストレスコーピングそれぞれに与える影響を検討するため,パス解析を行った。
中学生全体において,モデルを検討し,有意なパスが見られたところのみをFigure 1に示す。分析の結果,「学業ストレッサー」が高いほど「あきらめ」のコーピングを行うことが明らかとなり,「部活動ストレッサー」が高いほど「思考の肯定的変換」のコーピングはあまり行わず,「敵意」は高くなる傾向が明らかとなった。
また,「前向きな思考」,「サポート希求」,「思考の肯定的変換」のコーピングを行うことで,学校享受感が高くなる傾向が示唆された。さらに,「言語的攻撃」が高いと学校享受感も高くなるという結果が得られた。
これらの結果から,学校享受感に,学校ストレッサーの「友人関係ストレッサー」,「学業ストレッサー」が強い影響を与えるという仮説について検討すると,学校ストレッサーから学校享受感に直接有意なパスは認められず,攻撃性やストレスコーピングを媒介してのみ有意なパスが見られた。ストレスコーピングの中では「思考の肯定的変換」が学校享受感に正の有意な影響を与えていることが認められた。このことから,ストレスコーピングの中でも,「思考の肯定的変換」を行うことが学校享受感を高めることに繋がることが明らかとなった。
次に,攻撃性のうち「敵意」に学校ストレッサーの「友人関係ストレッサー」が強い影響を与えるという仮説について検討した結果,「友人関係ストレッサー」から「敵意」へのパスで有意なものはみられなかった。しかし,「部活動ストレッサー」が「敵意」に影響を与えていることが示された。また,「友人関係ストレッサー」は攻撃性の中でも「身体的攻撃」に正の有意な影響を及ぼしていることが明らかとなった。