日本教育心理学会第62回総会

講演情報

ポスター発表(発達)

[P] ポスター発表(発達): P001-P054

2020年9月19日~21日

[P039] 小学校での動物飼育が子どもの社会心理の発達に与える影響(縦断調査)

中島 由佳 (大手前大学)

キーワード:学校での動物飼育、学年飼育、縦断調査

小学校での動物飼育は,他者への共感性や向社会性を始めとする社会心理に影響を持つことが報告されている。しかし,なぜ学校での動物飼育が心の発達に効果を持つのかについては,明らかにされていない。そこで本研究は,1学年の児童全てが約1年間の動物飼育を経験する「学年飼育」に焦点づけ,学校動物への愛着や飼育体験で感じた心理的要因と社会心理との関係を検討することを目的に,飼育開始前(T1),飼育終了時(T2),飼育終了約半年後(T3)に質問紙調査を行った。得られたデータ(T1: 1,025名,T2: 983名,T3: 955名)に対し,学校動物飼育に関する各変数を説明変数,他者への共感性及び向社会的行動を目的変数とした階層的重回帰分析を行った。その結果,飼育終了時 (T2),飼育終了から約半年経った時期 (T3)ともに,他者との関係性の育みへの効果が大きかったのは,飼育経験の中で体得した動物への理解,飼育の楽しさ,命への責任であることが明らかとなった。