[P071] 表情の解釈に影響を与える自尊感情の効果
キーワード:特性自尊感情、状態自尊感情
ソシオメータ理論(Keary &Downs,1995)では,(1)特性自尊感情と(2)状態自尊感情を区別するが,(1)特性自尊感情の適応的な機能が解明されていない。遠藤・板東(2006)は,(1)特性自尊感情が他者情報の認知に影響を与えていると指摘している。そこで本研究では,他者情報として表情を表す図(以下,表情図と記す)を使用して,特性自尊感情の違いに応じて表情図の認知に違いが現れるかを検討した。その結果,(1)特性自尊感情が低い人のほうが,高い人よりも,同じ表情図を「拒絶的」と解釈した。さらに,授業のノートをコピーさせてもらう場面で,依頼した相手の表情が表情図のようだったと想像してもらった。その場面での(2)状態自尊感情尺度を測定すると,(1)特性自尊感情の低い人ほど,(2)状態自尊感情も低くなることがわかった。