日本教育心理学会第62回総会

講演情報

ポスター発表(教授・学習・認知)

[P] ポスター発表(教授・学習・認知): P055-P188

2020年9月19日~21日

[P129] 児童用達成関連感情尺度日本語版の作成

鈴木 雅之1, 利根川 明子2 (1.横浜国立大学, 2.東京大学大学院)

キーワード:達成関連感情、統制-価値理論、学習動機づけ

本研究では,児童用達成関連感情尺度(AEQ-ES)の日本語版を作成することを目的とした。AEQ-ESは28項目からなる尺度であり,授業と宿題,テスト場面における楽しさと不安,授業と宿題場面における退屈について測定するものである。小学4―6年生863名を対象に質問紙調査を行い,確認的因子分析を行った結果,先行研究と同一の因子構造が当てはまることが示された。また,学業場面ごとに3つの感情間の相関係数を求めた結果,想定される相関関係がみられた。さらに,楽しさは自己効力感と課題価値の認知,内発的動機づけ,学業成績と正の相関を示したのに対し,不安と退屈はこれらの変数と負の相関を示した。また,楽しさは外発的動機づけと負の相関を示した一方で,不安と退屈は正の相関を示した。これらの結果は統制-価値理論と整合的なものであり,作成した尺度の妥当性の外的な側面の証拠が示されたといえる。