日本教育心理学会第62回総会

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ポスター発表(臨床)

[P] ポスター発表(臨床): P234-P248

2020年9月19日~21日

[P243] 育児に悩む母親の公的機関への援助要請に影響を及ぼす諸要因

援助要請態度を媒介としたプロセスの検討

野崎 秀正1, 川瀬 隆千1, 立元 真2 (1.宮崎公立大学, 2.宮崎大学)

Keywords:援助要請、子育て、公的機関

子育て支援サービスを提供する公的機関に育児相談としての援助を求める親は,それを必要としている親に比してはるかに少ない。本研究では,援助要請に伴う利益とコストの予期を援助要請態度と位置づけ,その対象を親と子で区別し,親の育児に関わる感情と信念(育児感情,母性愛信奉)がこれらの態度を媒介して,援助要請意図に影響を及ぼすプロセスを検討した。調査対象者は0~6歳の未就学児を育児中の母親430名であった。構築した仮説モデルに対して共分散構造分析を行った結果,子どもの利益及びコストと自力解決への固執の態度を媒介としたいくつかの影響プロセスが明らかになった。特に,育児不安や母性愛信奉から正の影響を受けた子どものコストの援助要請態度が,これまでの研究結果に反し,援助要請意図に正の影響を与えるという結果については,要請の主体(母親)とコストの主体(子)が異なる場合の援助要請に特徴的な結果であると解釈された。