日本教育心理学会第62回総会

Presentation information

ポスター発表(臨床)

[P] ポスター発表(臨床): P234-P248

2020年9月19日~21日

[P247] 東日本大震災後の児童生徒の震災トラウマの収束

要支援者率の推移による推計

山本 奬1, 大谷 哲弘2 (1.岩手大学, 2.立命館大学)

Keywords:東日本大震災、トラウマ

東日本大震災後にトラウマ反応を呈した児童生徒の在籍比の推移に関し,非線形回帰式を作成することにより,震災トラウマの社会的な収束について検討した。トラウマ反応は震災に由来するとは限らないため,要支援者率yは0にはならず,100≧y>0の範囲で漸減するものと想定した。条件に沿う式をシグモイド曲線であるロジスティック曲線とゴンペルツ曲線を基に作成し,ここでは前者を用いた。非線形回帰分析により検討したところ,小学生は12.1%で5年目に,中学生は10.6%で11年目に,高校生は9.5%で13年目に概ね収束することが示された。その在籍比は震災由来でない平時の要支援者率と考えられた。地域別の分析では,当初はいずれの校種でも内陸部より沿岸部の方が高かったが,高校生では12年目から僅かに逆転し収束することが予測された。また回帰式から,発災後1か月時点の要支援者率は,小学生は18.6%,中学生は16.8%,高校生は13.5%に上っていたことが推察された。