[P264] 多様性と困難への寛容度尺度の日本語版の作成と信頼性・妥当性の検討
キーワード:多様性、尺度作成、高等教育
社会が多様化していく中で,多様な文化や背景,価値観をもつ人々とどのように共生していくかが,1つの重要な課題となっている。本研究の目的は,Pascarella et al.(1996)が作成した“多様性と困難への寛容度”尺度の日本語版を作成し,信頼性・妥当性を検討することであった。2つの大学・大学院に所属する153名を対象に質問紙調査を実施した。得られたデータを基に主成分分析を実施した結果,第1主成分の負荷量はすべて.50以上となった。8項目の寄与率は42.77,α係数は.80であった。よって,8項目は原版と同様の一因子構造であることが確認された。次に,併存的妥当性を検討するために実施した既存のその他の尺度との関連では,自己効力感との相関r=.44, 自尊感情との相関r=.27,Big Fiveの外向性,開放性,調和性と有意な正の相関が示された(r=.26-.31, ps<.01)。以上のことから,多様性と困難への寛容度の日本語版が作成され,一定程度の信頼性・妥当性が確認された。