4:30 PM - 7:00 PM
[R5-P-6] (entry) Intrusion of serpentinite along the Cretaceous and the unconformity of serpentinite in the Chichibu belt, Yusuhara, Kochi Prefecture
★(9/4)優秀ポスター賞受賞 ★
Keywords:serpentinite, Chichibu Belt, Intrusion, unconformity, Yusuhara
【はじめに】高知県北西部に位置する梼原町では西南日本外帯において最大級の蛇紋岩層が分布する.その中でも,本調査地域の田野々-横貝地域ではペルム紀からジュラ紀の付加体および白亜紀堆積岩類(香西ほか,1991)の幅広い年代の地層が複雑な構造運動を経て存在している.そのため,同地域に分布する蛇紋岩層の定置時期を制約するうえで適している.本調査地域はIshizaki(1962), 村田・前川(2013), 辻??(2014)などにより地質調査が行われている.これらの論文より,構造的な解釈はされているものの,蛇紋岩に注目した研究はされていない. また,秩父帯内および黒瀬川帯に属する地域での蛇紋岩は,九州ではペルム紀堆積岩類(有田ほか,2001),四国,関東では物部川層相当層の白亜紀堆積岩類中に蛇紋岩礫(土谷, 1982;久田・荒井, 1986;石田ほか, 1996)および不整合露頭が複数発見されている(平内ほか, 2006).これらの研究では蛇紋岩の定置時期は物部川相当層の堆積時期である前期白亜紀以前としてる.一方,同白亜紀堆積岩類を蛇紋岩が構造的に切っているという報告もある(甲藤ほか,1960;Hirauchi,2006).その中でも,(土谷 1982,平内ほか 2006)は複数回の蛇紋岩の定置イベントがあったとしている.
【研究目的】本研究では蛇紋岩層と周辺地層の構造的関係を紐解くことより,調査地域での蛇紋岩の定置年代を制約することを目的とする.
【研究手法】白亜紀堆積岩類を含む田野々層および太田戸層の分布域を含む東西5km×南北4km程度の範囲で地表踏査を実施した.具体的には,岩相,分布の把握,構造データの取得を行い,ルートマップ,地質図,地質断面図を作成した.また,試料採取,薄片観察により岩石鑑定,構成鉱物の同定を行った.特に,蛇紋岩の変形構造や断層が見られた場合には,剪断センスの決定を試みた.
【地質概要】本調査地域を,北から南にかけて,混在岩主体であるUnitA,準片岩類主体のUnitB,白亜紀堆積岩類,混在岩主体であるUnitC, 鳥巣石灰岩が分布するUnitD,その南側のUnitEに区分した.また,白亜紀堆積岩類とUnitCとの境界に推定断層を設けた.
【結果】地質調査の結果,東西方向に連続して続き,白亜紀堆積岩類を構造的に切るように分布する蛇紋岩と,蛇紋岩と礫岩の不整合露頭を発見した.不整合露頭は境界上部が礫岩,下部が蛇紋岩である.この境界では,礫岩が下位的構造である蛇紋岩を削剥するチャネル構造が見られた.礫種としては,砂岩,泥岩,チャート,蛇紋岩を含むマトリックスサポートであり,淘汰は悪い.角礫~亜円礫,1-3cmの礫,および,大礫も存在する.基質は細粒で暗灰色から明灰色を呈すものである.対して,蛇紋岩は複数のブロックを含む構造である.
蛇紋岩の剪断センスとして,UnitAとの接合面では一概にTop to Southのスラストセンスを示し,不整合付近では,剪断センスは不揃いであるが,高角な南傾斜を示した.
【考察】白亜紀堆積岩類を切るように蛇紋岩が分布していることから,蛇紋岩の定置時代は前期白亜紀以降と考えられる.一方,蛇紋岩と礫岩の不整合露頭からは,礫岩の形成年代を詳細に決定することにより,蛇紋岩の定置時代の特定が検討できる可能性がある.他地域同様,不整合露頭の分布としては,白亜紀堆積岩類の基底部付近であるため,蛇紋岩の定置時代は前期白亜紀以前と予察できるが,露頭観察の結果としては,別環境下で形成された可能性がある礫岩という結果を得たため,蛇紋岩の定置時代は現段階では不詳であるとしている.この礫岩の年代次第では,複数回の蛇紋岩の定置を考察している土谷(1982)と平内ほか(2006)の見解と類似した検討が可能である.さらに,その詳細な定置時代は本研究でより詳細に明らかになると思われる.
引用文献
有田ほか (2001) 地質学雑誌,107,749-754. 石田ほか (1996) 徳島大総合科学自然科学研究, 9, 23-47. Ishizaki (1962) Science reports of the Tohoku University, Second series. 134-136. 甲藤ほか (1960) 20万分の1高知県地質鉱産図及び同説明書. 香西ほか(1991) 高知大学学術研究報告, 40. 辻?? (2014) 愛媛大学大学院理工学研究科数理物質科, 博士論文. 土谷 (1982) 地質調査所月報, 33, 381-387.久田・荒井 (1986) 地質学雑誌.92, 391-394. 平内ほか (2006) 地質学雑誌, 112, 452-45.Hirauchi (2006) Island Arc, 15, 156–164.村田・前川 (2013) 徳島大学ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部,27 ,89-98 .
【研究目的】本研究では蛇紋岩層と周辺地層の構造的関係を紐解くことより,調査地域での蛇紋岩の定置年代を制約することを目的とする.
【研究手法】白亜紀堆積岩類を含む田野々層および太田戸層の分布域を含む東西5km×南北4km程度の範囲で地表踏査を実施した.具体的には,岩相,分布の把握,構造データの取得を行い,ルートマップ,地質図,地質断面図を作成した.また,試料採取,薄片観察により岩石鑑定,構成鉱物の同定を行った.特に,蛇紋岩の変形構造や断層が見られた場合には,剪断センスの決定を試みた.
【地質概要】本調査地域を,北から南にかけて,混在岩主体であるUnitA,準片岩類主体のUnitB,白亜紀堆積岩類,混在岩主体であるUnitC, 鳥巣石灰岩が分布するUnitD,その南側のUnitEに区分した.また,白亜紀堆積岩類とUnitCとの境界に推定断層を設けた.
【結果】地質調査の結果,東西方向に連続して続き,白亜紀堆積岩類を構造的に切るように分布する蛇紋岩と,蛇紋岩と礫岩の不整合露頭を発見した.不整合露頭は境界上部が礫岩,下部が蛇紋岩である.この境界では,礫岩が下位的構造である蛇紋岩を削剥するチャネル構造が見られた.礫種としては,砂岩,泥岩,チャート,蛇紋岩を含むマトリックスサポートであり,淘汰は悪い.角礫~亜円礫,1-3cmの礫,および,大礫も存在する.基質は細粒で暗灰色から明灰色を呈すものである.対して,蛇紋岩は複数のブロックを含む構造である.
蛇紋岩の剪断センスとして,UnitAとの接合面では一概にTop to Southのスラストセンスを示し,不整合付近では,剪断センスは不揃いであるが,高角な南傾斜を示した.
【考察】白亜紀堆積岩類を切るように蛇紋岩が分布していることから,蛇紋岩の定置時代は前期白亜紀以降と考えられる.一方,蛇紋岩と礫岩の不整合露頭からは,礫岩の形成年代を詳細に決定することにより,蛇紋岩の定置時代の特定が検討できる可能性がある.他地域同様,不整合露頭の分布としては,白亜紀堆積岩類の基底部付近であるため,蛇紋岩の定置時代は前期白亜紀以前と予察できるが,露頭観察の結果としては,別環境下で形成された可能性がある礫岩という結果を得たため,蛇紋岩の定置時代は現段階では不詳であるとしている.この礫岩の年代次第では,複数回の蛇紋岩の定置を考察している土谷(1982)と平内ほか(2006)の見解と類似した検討が可能である.さらに,その詳細な定置時代は本研究でより詳細に明らかになると思われる.
引用文献
有田ほか (2001) 地質学雑誌,107,749-754. 石田ほか (1996) 徳島大総合科学自然科学研究, 9, 23-47. Ishizaki (1962) Science reports of the Tohoku University, Second series. 134-136. 甲藤ほか (1960) 20万分の1高知県地質鉱産図及び同説明書. 香西ほか(1991) 高知大学学術研究報告, 40. 辻?? (2014) 愛媛大学大学院理工学研究科数理物質科, 博士論文. 土谷 (1982) 地質調査所月報, 33, 381-387.久田・荒井 (1986) 地質学雑誌.92, 391-394. 平内ほか (2006) 地質学雑誌, 112, 452-45.Hirauchi (2006) Island Arc, 15, 156–164.村田・前川 (2013) 徳島大学ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部,27 ,89-98 .