128th JGS: 2021

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R23 [Regular Session]Nuclear energy and geological sciences

[1poster71-73] R23 [Regular Session]Nuclear energy and geological sciences

Sat. Sep 4, 2021 4:30 PM - 7:00 PM poster (poster)

4:30 PM - 7:00 PM

[R23-P-1] Data Collection and Predictive Analysis of Volcanic Dykes Distribution

*Makoto KAWAMURA1, Hua JIA2, Yukiko KOIZUMI2, Masakazu NIWA1, Koji UMEDA3 (1. Japan Atomic Energy Agency, 2. Mitsubishi Materials Techno Corp., 3. Hirosaki Univ.)

Keywords:Quaternary Volcanos, Dike Distribution, Geological Map, Geographic Information System (GIS), Daisen Volcano

【背景・目的】高レベル放射性廃棄物の地層処分事業や安全規制において、火山・火成活動、深部流体、地震・断層活動、隆起・侵食といった自然現象の影響を把握するための調査・評価技術の整備は非常に重要である。火山・火成活動に関する調査・評価技術における課題の一つとして、マグマの影響範囲を把握するための技術の高度化が挙げられる。この課題に対しては、特に岩脈の発達が第四紀火山の中心から半径15 km(科学的特性マップにおける好ましくない範囲の基準)以上に及ぶ場合のデータの蓄積が求められるが、現存の火山体下に伏在している火道やそこから派生している岩脈の分布を把握することは現実的に困難である。そのため日浦ほか(2021)では、火山体が中心火道とそこから放射状に伸びる岩脈の分布を反映しているといった仮定のもと、地理情報システム(GIS)を用いた数値標高データの解析に火山体の三次元的な形状を定量的に把握するとともに、岩種、噴火タイプ、基盤標高などとの関連性について検討を行ってきた。しかしながら、本検討では解析の範囲を火山体に限定しているため、火山体を超えた岩脈についてはモデル化や評価ができないという問題がある。
 野外で地質踏査をすると、第四紀火山から離れた場所でも小規模ながら岩脈が貫入している露頭が見つかることがある。このような岩脈が近傍の第四紀火山に関連するかどうかは、岩脈の広がりを評価するうえで重要となる。そこで、我々は丹念な地表踏査の結果が記載したものとして、国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センター発行の地質図幅から「岩脈」を抽出し、周辺の第四紀火山との関連性について評価を試みた。
【実施内容】予察的な検討として大山を事例対象とし、20万分の1の「松江及び大社」、「高梁」、「浜田」及び「岡山及丸亀(中国地方の海岸線以北を対象)」の地質図幅を使用した。抽出対象とした「岩脈」は図幅の凡例にある「寄生火山」、「貫入岩」、「岩頸」、「岩脈」及び「岩床」を対象とした。また、データ抽出作業としては、岩脈の分布についてはデジタルでトレースを行い、GISデータを作成して白地図上に整理したうえで、「位置(緯度・経度)」、「サイズ(長径・短径など)」、「時代」、「岩型」、「岩脈が貫入している地層名、時代」及び「最寄り火山の火山名、火口からの距離」のデータを抽出した。
【結果】抽出された火山岩岩脈等の数は、「松江及び大社」が67、「高梁」が53、「浜田」が22、そして「岡山及丸亀」が9の合計151であった(添付図参照)。第四紀火山に関連する岩脈類は新期大山火山噴出物(寄生火山)に限られ、それらの分布も大山の火山体内に限られる。また、岩脈の分布はNakamura(1977)が指摘したように水平最大主応力軸(σH-max)に伸びる放射状火山岩脈を示すことや、日浦ほか(2021)で検討した地形解析結果とも整合的である。なお、添付図では大根島の近くにドレライト岩脈が抽出されているが、それらは新第三紀中新世とされており、大根島との関連性は低いと考えられる。一方、火山より離れた地点に位置する岩脈類は全て新第三紀もしくは先新第三紀に形成されたものと判定されており、溶岩もあるがドレライトや閃緑岩など深部で形成されたことが示唆される岩石の岩脈もある。また、先新第三紀の岩脈類は、「浜田」と「岡山及丸亀」図幅の一部に認められ、レンズ状の分布形態を示すものが比較的多く認められる。産状は酸性岩の岩脈を主体としている。このことは第四紀よりも以前に深部で形成された岩脈が削剥により地表に見られるようになったことを示唆していると考えられる。今後は、さらに検討範囲を広げて例外的な事例がないか確認していく。
【参考文献】日浦祐樹ほか:第四紀火山を対象としたGISを用いた地形解析による放射状岩脈のモデル化の検討,日本地球惑星科学連合2021年大会H-CG23,2021.
Nakamura, K.: Volcanoes as Possible Indicators of Stress Orientation – Principle and Proposal, Journal of Volcanology and Geothermal Research, vol.2, pp.1-16, 1977.
地質調査総合センター:20万分の1地質図幅「松江及び大社」,1982.
地質調査総合センター:20万分の1地質図幅「高梁」,1996.
地質調査総合センター:20万分の1地質図幅「浜田」,1988.
地質調査総合センター:20万分の1地質図幅「岡山及丸亀」,2002.
謝辞:本報告は経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和2年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(地質環境長期安定性評価技術高度化開発)」の成果の一部である。