日本地質学会第129年学術大会

講演情報

セッション口頭発表

T14.[トピック]大地と人間活動を楽しみながら学ぶジオパーク

[2oral101-10] T14.[トピック]大地と人間活動を楽しみながら学ぶジオパーク

2022年9月5日(月) 09:30 〜 12:00 口頭第1会場 (14号館501教室)

座長:天野 一男(東京大学空間情報科学研究センター)、松原 典孝(兵庫県立大学 大学院 地域資源マネジメント研究科)

11:15 〜 11:30

[T14-O-8] SDGsを活用した地学教育プログラム

*郡山 鈴夏1、茨木 洋介1、小河原 孝彦1、香取 拓馬1、小林 猛生2、竹之内 耕1 (1. フォッサマグナミュージアム、2. 糸魚川ジオパーク協議会)

キーワード:SDGs、地学教育、ジオパーク

近年SDGsに関する取り組みを耳にする機会が増えてきた.SDGsとは2015年9月の国連サミットで採択された,国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標である.17のゴールとそれらを達成するための169のターゲットで構成されており,国連加盟国が達成に向けて活動している.国内では2020年ごろから急速に普及し始め,現在の認知度は86%(2022年,電通による調査)に上り,前年度の同調査から30ポイント以上も上昇している.急速な認知度の向上は,企業の積極的なプロモーション活動およびゼロカーボン・レジ袋の有料化などの身近な政策により広く認知されるようになったものであると考えられる.
このSDGsゴールのなかでもとくに「11住み続けられるまちづくりを」,「13気候変動に具体的な対策を」,「14海の豊かさを守ろう」,「15陸の豊かさも守ろう」は地球科学分野にも関連が深い.自然災害に関する知識や,地球温暖化や海水準変動等の科学的根拠のある正確な情報を知ることが求められている.2030年までにSDGsのこれらのゴール達成に向けては,正しい知識を持ったうえで課題解決に向けて行動していくことが必要不可欠である.
本発表では,糸魚川ユネスコ世界ジオパークにおけるSDGs普及の実践事例を共有する.糸魚川ジオパークでは2020年にプロジェクトデザイン及びイマココラボが開発したゲーム『2030SDGs』ゲームを活用した講演会を開催し,市内外から約60名が参加した.現在も本カードゲームを活用して小学校に出前講座を行うことでSDGsの普及活動を実践している.
糸魚川ジオパークでは,SDGsの取り組みが始まる以前より,地域の地質学的遺産を保全しながら活用し,持続可能な地域づくりの取り組みを行ってきており,今後も積極的なSDGsの実践活動を行っていく.また,新潟県糸魚川市のフォッサマグナミュージアムは公益財団法人日本環境協会ESD(Education for Sustainable Development)活動支援センターが指定するESD拠点としても2020年に登録されており,今後さらなるSDGsに関連した教育普及活動が求められる.地球科学分野の博物館として,今後どのようなSDGsへの貢献が必要かを議論していく.