129th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

Presentation information

Session Oral

G1-3. sub-Session 03

[2oral511-19] G1-3. sub-Session 03

Mon. Sep 5, 2022 1:30 PM - 3:45 PM oral room 5 (Build. 14, 402)

Chiar:Takeshi Yoshida, Hidekazu Yoshida, Shinji Takeuchi

2:00 PM - 2:15 PM

[G3-O-7] The Dammed-up topography formation processes and sedimentation mechanisms

*Hiroshi TAKASHIMA1 (1. Daiichi Insutitute of Technology)

Keywords:Human-made strata, Dammed-up topography, Dumped Association, Urban aera, water cycle

「人工地層」は人為の働きによって形成される地層と定義される(Nirei,et,al, 2012).人の地質体への働きかけは拡大の一途をたどり,都市地質の主体は人工地層である.さらに,人為による土地改変は都市の地形や水循環を大きく変容させている.
髙嶋・吉富(2021)は,陸域において形成される盛土アソシエーション(楡井,1995)の発達状況と都市地形の解析を行い,土地改変箇所の地形的上流側や周辺の開発箇所との間において,未開発地などが残され,プール状に地形的凹地が形成される現象を確認した.開発行為では,流水調整はなされるものの,地形的連続性や整合性までは問われない.開発地とそれ以外の土地において,人為的かつ非意図的に不連続な地形的凹地が形成されることから,これを堰き止め地形と定義している(髙嶋・吉富, 2021).
盛土アソシエーションは,それぞれ盛土の目的に合致した盛土材で形成されるが,形成された人工地層の層序及び層相の観察から,人の意図を判別するのは,極めて難しい.しかし,航空写真や現場報告書などの記録に残る特性を有しており,「人が作成した情報」を活用することにより,解析が可能である(髙嶋・楡井, 2019).一方,直径数mの地下浸透池と30haを超える堰き止め地形の形成では,施工方法や期間も大きく異なり,開発の規模や目的によって,地層の形状や層相に違いが発生することが想定される.そこで,堰き止め地形の航空写真判読を実施し,地層の形成過程の検証を行った.解析時間スケールは,航空写真が撮影された数年~10年オーダーの変化である.
千葉県野田市では,下総層群の洪積台地に発達した谷津低地の河川接続部において,高規格堤防が建設され,堰き止め地形が形成されている(髙嶋・吉富, 2021).高規格堤防は北側の座生地区が1995年に,また南側の堤台地区が2002年に開発が開始され,それぞれ1998年,2004年に完了している.堤台地区では,1995年に水路沿いの道路部分に盛土され,2002年に全面で盛土が開始されている.また,この間,地下化される堤台幹線が掘削され,構築された.盛土の際は,転圧をかけるため,施工区ごとに何層もの転圧層が形成されたと推定される.なお,隣接する座生地区の盛土アソシエーションの一部は,2002年の盛土で覆われている.開発区域外との関係は,敷地境界で仕切る場合と旧地形面にかぶせる形態が存在するものと考えられた.
一方,鹿児島県霧島市の国分平野の調査地では,1946年以前に天降川の旧河道低地を東西に横断する形で,調査地北側に日豊本線の線路が,また,西側には農業用水路が,南北に続く盛土アソシエーション上に構築された.南側の県道は1970年から1975年までの間に3期にわたり盛土して直線化された.農業用水路の西側の天降川との間では,1970年代から造成が開始され,水路の付け替え工事ののち,北側隣接地では圃場整備が行われた.1975年より盛土と共に大規模工場が建設され,1978年には工場の東側隣接地でも盛土が実施された.これにより,工場敷地から農業用水路まで一体化されている.1989年には,工場北側の圃場整備地も含めすべて工場敷地として造成されている.一方,1970年以降,県道両脇では,沿道サービスの開発が行われた.このため,盛土アソシエーションは細かなパッチワーク状に広がっている(吉富他, 2021). いずれの開発においても,開発の対象となる土地の区割りに基づき,盛土が実施されるため,パッチワーク状に人工地層が形成されることが判明した.

楡井 久, 鈴木喜計, 佐藤賢司, 古野邦雄, 1995, 地質環境における新しい単元の形成, URBAN KUBOTA 34, 2-9.
Nirei, H., Furuno, K., Osamu, K., Marker, B. & Satkunas, J. 2012. Classification of man made strata for assessment of geopollution. Episodes, 35, 333-336.
高嶋 洋・楡井 久,2019,人工地層の観察と人為堆積物との比較による層序特性, 第29回社会地質学シンポジウム論文集, 149-152.
高嶋 洋・吉冨 邑弥, 2021, 人工地層による堰き止め地形, 第31回社会地質学シンポジウム論文集,59-62.
吉冨 邑弥・田中 龍児・高嶋 洋, 2021, 霧島市国分野口地区における人工地層の発達過程と堰き止め地形, 第31回社会地質学シンポジウム論文集,63-66.