129th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

Presentation information

Session Oral

G1-3. sub-Session 03

[2oral511-19] G1-3. sub-Session 03

Mon. Sep 5, 2022 1:30 PM - 3:45 PM oral room 5 (Build. 14, 402)

Chiar:Takeshi Yoshida, Hidekazu Yoshida, Shinji Takeuchi

2:15 PM - 2:30 PM

[G3-O-8] Geological conditions in land subsidence part during 10 years on the Liquefaction-Fluidization area: from a geological survey for land damage by the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake on northern part of Tokyo bay reclaimed land

*Osamu Kazaoka1, Takahiro Kojima1, Itaru Ogitsu2, Atsushi Kagawa1, Hisashi Yabusaki1, Naoto Ito1, Takeshi Yoshida1 (1. Research Institute of Environmental Geology, Chiba, 2. Water Quality Division of Environmental and Community Affairs Department)

Keywords:human made strata, liquefaction-fluidization, the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake, Tokyo bay reclaimed land, Anthropocene sediments, land subsidence

はじめに:
 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の際,東京湾岸埋立地北部では斑状の液状化-流動化に伴う地盤の沈下が多数発生した.この中には,被害から10年経た現在でも地盤の沈下が継続し,地表の変形が進んでいる部分が存在する.その中の浦安市高洲9丁目にて地質調査を行った結果を述べる.
 調査地付近では,東日本大震災直後2011年3月~4月の地表調査により,液状化-流動化に伴い45~80cmの建築物の抜け上がりがみられていた(千葉県環境研究センター,2011).その後,グーグルアースの時系列航空写真によれば,2012年4月にはそれらの敷地全体は平らに補修されたが,2016年12月には再び抜け上がりがみられるようになった.2022年3月の実測では,17~18cmにも及んでいる.
 オールコアボーリングは抜け上がりがみられた施設から約6m離れた場所(北緯35度37分46秒,東経139度55分3秒,標高3.0m)で深度22.45mまで行った.また,この周囲で4mから8m間隔に動的コーン貫入試験(斜面調査用簡易貫入試験)を深度約9~10mまで行った.
地層構成:
 深度9.58mに人自不整合があり,これより上位は人工地層,下位は沖積層である.
沖積層は,層相上,下部(深度17.93m以深)・中部(深度17.93~11.24m)・上部(11.24~9.58m)に細分され,下部は厚さ0.5~7cmの極細粒砂~細粒砂層をまれに挟む黒褐~灰オリーブ色のシルト層,中部は厚さ0.2~1.4mの灰オリーブ色の極細粒砂~細粒砂層と厚さ0.1~0.8mの黒褐~暗灰黄色の泥勝ち砂泥互層との交互層,上部は生痕が多くみられる灰オリーブ~オリーブ黒色の極細粒砂~中粒砂層から構成される.
 中部の厚さ0.2m以上の砂層の一部では斜交葉理が不明瞭ないし変形がみられ,これ以外の砂層の多くは斜交葉理が明瞭にみられる.
人工地層は,深度0.69mを境にこの上位が盛土アソシエーション,下位が埋立アソシエーションである.
埋立アソシエーションは,砂層からなる最下部バンドル(深度9.58~8.50m),泥層からなる下部バンドル(深度8.50~7.67m),細粒砂層主体の中部バンドル(深度7.67~4.58m),泥層主体で砂層を挟む上部バンドル(深度4.58~2.00m),貝殻質砂層主体の最上部バンドル(深度2.00~0.69m)から構成される.
 最下部バンドルは,オリーブ黒色の塊状の中粒砂層から構成され,硬さはNc=15~30(簡易貫入試験値を以後「Nc=」と略す)とゆるい~中位である.下部バンドルは,灰オリーブ色の泥層から構成され,硬さはNc=6~10と軟らかい~中位である.中部バンドルは,厚さ約0.1mのシルト層をしばしば挟む灰色の極細粒砂~細粒砂層を主体とする.砂層は泥質で,塊状ないし葉理が不明瞭であり変形を伴う.下半部は塊状な砂層が優勢でNc=6~10と非常にゆるい.上半部は葉理が不明瞭な砂層が多くNc=6~15とゆるい場合が多い.上部バンドルは,灰黄褐~暗灰黄色の泥層を主とし,厚さ0.3~1mの灰色の細粒~中粒砂層を挟む.砂層中の葉理は不明瞭ないしほぼ消失している.泥層はNc=3~6と非常にやわらかい~やわらかい.砂層はNc=6~20と非常にゆるい~ゆるい.最上部バンドルは,シルト礫や貝殻片を含む黄褐~オリーブ褐色ないし灰色の葉理がみられる細粒砂~中粒砂層から構成される.硬さはNc=5~15と非常にゆるい~ゆるいが,側方で貝殻片を多く含みNc=25~40となる.地下水面は本層中の深度約1.5mである.
盛土アソシエーションは,灰色の砕石層と黄褐~にぶい黄色の細粒砂層ないし極粗粒砂層との互層である.硬さはNc=10~25とゆるい~中位である.
液状化-流動化に関して:
 液状化-流動化の判定は,風岡ほか(1994)・風岡(2003)に基づき,地層断面における初生的な堆積構造の状態により判断した.埋立アソシエーションの最下部・中部・上部バンドルの砂層の大部分では,葉理が不明瞭ないし消失していることから,この部分が液状化-流動化したものと考えられる.特に,中部バンドルの下半部の砂層は現在でも非常にゆるく,この上位の厚い泥層である難透水層により,地震時に上昇した間隙水圧の減衰速度が規制され,沈下が継続している可能性が考えられる.
引用文献:
千葉県環境研究センター,2011,千葉県環境研究センター報告,G-8, 3-1~3-25.
風岡 修・楠田 隆・香村一夫・楡井 久・佐藤賢司・原 雄・古野邦雄・香川 淳・森崎正昭,1994,日本地質学会第101年総会・討論会 講演要旨,125-126. 
風岡 修,2003,液状化・流動化の地層断面.アーバンクボタ40号,5-13.