129th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

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Session Poster

T1.[Topic Session]Metamorphic rocks and tectonics

[8poster01-13] T1.[Topic Session]Metamorphic rocks and tectonics

Sun. Sep 11, 2022 11:00 AM - 1:00 PM poster (poster)

[T1-P-4] High-temperature metamorphic rocks from western regions of the Lützow-Holm Bay and eastern part of the Prince Olav Coast, East Antarctica

*Sotaro Baba1, Shin-ich Kagashima2, Nobuhiko Nakano3 (1. University of the Ryukyus, 2. Yamagata University, 3. Kyushu University)


Keywords:East Antarctica, Lützow-Holm Complex, High-temperature metamorphic rocks

東南極のドロンイングモードランド東部(35°E) からエンダビーランド西部(45°E)にかけての地域には,エディアカラ〜カンブリア紀の変動帯であるリュツォ・ホルム岩体が分布する(Hiroi et al.,1991; Shiraishi et al., 1994; 2003). この岩体については日本南極地域観測隊によって調査がすすめられ,27編の地質図がまとめられている. 2021年11月~2022年3月(第63次南極観測隊)にリュツォ・ホルム岩体の未踏査露岩,近年調査が実施されていない露岩を対象に広域的な地質調査が実施された.その概要を報告する.
 観測船「しらせ」が昭和基地付近に滞在する2021年12月下旬から2022年1月下旬までの間に,プリンスオラフ海岸,リュツォ・ホルム湾南沿岸,同湾西部地域に分布するリュツォ・ホルム岩体についてキャンプを伴う調査を6地点で行った.このうち,プリンスオラフ海岸東部のちぢれ岩,リュツォ・ホルム湾西部のベルナバネは,日本南極地域観測隊が未踏査の露岩である.加えて,これまで露岩の地質情報が無く,岩石試料の採取が行われていなかったヒスタ,インステクレパネ(北西露岩)においても短時間の調査を実施した.今回調査を実施した露岩は,リュツォ・ホルム岩体での下記の問題に対して貢献すると考えている.
 リュツォ・ホルム湾沿岸に分布するリュツォ・ホルム岩体については,U-Pbジルコン年代,岩相に基づきいくつかのユニット区分(Takahashi et al., 2018; Takamura et al., 2018; Shiraishi et al., 2019; Dunkley et al., 2014; 2020)が提案されているが,西部地域への延長については十分に理解されていない. 今回調査を実施したベルナバネ,ヒスタ,ベストホブデにおける岩相,変成作用,変成年代,原岩構成,原岩年代は現在提案されている区分図を検証する上で重要な位置にある.
 Baba et al.(2022)は,プリンスオラフ海岸のあけぼの岩の片麻岩について二次イオン質量分析計を用いて変成年代の解析を行い,ジルコンのTi含有量とその年代値に基づき,角閃岩相の変成作用は937 ± 6 Maのトニアンであることを明らかにした.このことはリュツォ・ホルム岩体の変成度がカンブリア紀の広域変成作用で,累進的に上昇したという従来の考えを否定する結果である.また,日の出岬を含むトニアンに活動した変成岩体がまとまって分布することを暗示している.あけぼの岩の東方に位置するちぢれ岩はこれまで未踏査であったが,その変成作用,変成年代,原岩の情報はトニアンの年代を示す変成岩体の延長とその範囲を明らかにするうえで重要である.
 以上の二点を踏まえ,今後研究を進めていくが,本講演ではちぢれ岩の地質概略および岩石試料について報告を行う.

引用文献
Baba et al. (2022) Gondwana Res. 105, 243–261. Dunkley et al. (2014) 7th International SHRIMP Workshop, Abstract. Dunkley et al. (2020) Polar Sci., 26, 100606. Hiroi et al. (1991) Geological Evolution of Antarctica, 83-87. Shiraishi et al. (1994) Journal of Geology, 102, 47–65. Shiraishi et al. (2003) Polar Geosci., 16, 76-99. Shiraishi et al. (2019) Int. Symp. Antarctica Earth Sci., Abstract. Takahashi et al. (2018) Journal of Asian Earth Sciences, 157, 245–265. Takamura et al. (2018) Geoscience Frontiers, 9, 355–375.