[G-P-23] Research Activities by High School Students Promoted through High School-University Collaboration
- Expansion from Local Mineralogical Research to International Research –
Keywords:High School-University Collaboration, International Research, Super Science Highschool, Magma Differentiation Process, Oscillatory Zoning
兵庫県立姫路東高等学校は、2020年に「世界を牽引する人材育成のための国際的な課題研究と科学倫理探究のロールモデル作成」を研究開発目標として、文部科学省からSSH指定を受けた。本年度はⅠ期4年目にあたる。具体的な研究開発テーマは、①地球科学を中心にした国際的な活動への挑戦、②科学倫理教育のロールモデルの作成と県内外への発信、③理系女子の育成と国際的な活動への挑戦、④科学部の国際的な活動への支援、である。
①の「地球科学を中心にした国際的な活動への挑戦」については、地球科学(地学)を基礎として理科4分野を統合し分野横断的に学ぶ「理数探究基礎Ⅰ」および「理数探究基礎Ⅱ」を学校設定科目として学んでいる。このため、課題研究においても地学分野のテーマが多くみられる。令和4年度には、兵庫県立大学と連携して国際学会「The 9th International Conference on Geoscience Education」に参加し、理数探究基礎教育の内容と、生徒の目線から考える理数探究基礎教育の評価について、学会発足以来高校生として初めて口頭発表を行い、世界に同時配信され高く評価された。さらにその内容を研究論文にまとめて、「Journal of Modern Education Review」誌に査読を通過して掲載が決定するなど、地学を基礎にした教育の成果を上げている。
④の「科学部の国際的な活動への支援」でも、生徒が主体的に設定するテーマの中に、地学系の研究テーマが毎年複数みられる。日本地球惑星科学連合や日本地質学会などの専門学会で発表したり、JSECや日本学生科学賞などの論文コンテスト等多くの論文コンテストに挑戦したりしており、その中でも2022年には、兵庫県高等学校総合文化祭や東京理科大学坊っちゃん科学賞をはじめとする様々なコンテストで上位入賞を果たした。科学部員は毎年増加し続けており、2023年は、生徒の希望する研究テーマによって38名の生徒が5つの研究班に分かれて活動している。その中には、深成岩の角閃石に見られる微細構造からマグマ分化過程を明らかにしようという研究(マグマ班)や、柱状節理の物理的成因を、泥や漆喰を用いた模擬実験によって明らかにしようとする研究(溶岩班)があり、毎日主体的に研究に取り組んでいる。
特にマグマ班は、マグマ分化過程の環境を推定する指標となる角閃石の微細構造(波状累帯構造)を、兵庫県南部チタン鉄鉱系列の深成岩類で初めて発見し、その微細構造を偏光顕微鏡で詳細に観察した結果から西南日本内帯の形成環境を推定する論文を複数発表してきた。2023年以降は、京都大学理学部と連携関係にあり、毎月2回のZOOMによる協議を繰り返し、また生徒が京都大学を訪問して、指導を受けながら鉱物のEPMA分析を行うなどしている。この活動は、学校の偏光顕微鏡のみに頼っていた研究活動から大きく踏み出す化学的成果をもたらした。山陰帯の角閃石の波状累帯構造と、生徒が発見した山陽帯角閃石の波状累帯構造ではそれぞれの成分に特徴があり、マグマ分化過程末期における熱水残液の成分や循環環境を強く反映していることが明らかになり、それらをモデル化している。
2023年12月には、発展的、応用的な活動として、科学部マグマ班と課題研究班合同で、「オーストラリア野外調査」を11日間にわたって実施する。この野外調査ではクイーンズランド大学と連携して事前、事後を含む指導・助言を得て、ニューサウスウエールズ州東海岸の火成岩について、現地調査と岩石試料の採取を行う。日本に持ち帰った岩石試料はEPMA分析にかけ、西南日本の火成岩と化学的特徴を比較することによって、モデルの検証を行う。ここで得られた成果は、本校主催で全国から高校生や中学生、教員を招いて800名規模で開催するGirl’s Expo with Science Ethicsや国内の専門学会、さらに2024年8月にワシントンで開催予定の国際学会American Geophysical Union(AGU)での発表を目指すほか、論文にまとめて発表する予定である。
①の「地球科学を中心にした国際的な活動への挑戦」については、地球科学(地学)を基礎として理科4分野を統合し分野横断的に学ぶ「理数探究基礎Ⅰ」および「理数探究基礎Ⅱ」を学校設定科目として学んでいる。このため、課題研究においても地学分野のテーマが多くみられる。令和4年度には、兵庫県立大学と連携して国際学会「The 9th International Conference on Geoscience Education」に参加し、理数探究基礎教育の内容と、生徒の目線から考える理数探究基礎教育の評価について、学会発足以来高校生として初めて口頭発表を行い、世界に同時配信され高く評価された。さらにその内容を研究論文にまとめて、「Journal of Modern Education Review」誌に査読を通過して掲載が決定するなど、地学を基礎にした教育の成果を上げている。
④の「科学部の国際的な活動への支援」でも、生徒が主体的に設定するテーマの中に、地学系の研究テーマが毎年複数みられる。日本地球惑星科学連合や日本地質学会などの専門学会で発表したり、JSECや日本学生科学賞などの論文コンテスト等多くの論文コンテストに挑戦したりしており、その中でも2022年には、兵庫県高等学校総合文化祭や東京理科大学坊っちゃん科学賞をはじめとする様々なコンテストで上位入賞を果たした。科学部員は毎年増加し続けており、2023年は、生徒の希望する研究テーマによって38名の生徒が5つの研究班に分かれて活動している。その中には、深成岩の角閃石に見られる微細構造からマグマ分化過程を明らかにしようという研究(マグマ班)や、柱状節理の物理的成因を、泥や漆喰を用いた模擬実験によって明らかにしようとする研究(溶岩班)があり、毎日主体的に研究に取り組んでいる。
特にマグマ班は、マグマ分化過程の環境を推定する指標となる角閃石の微細構造(波状累帯構造)を、兵庫県南部チタン鉄鉱系列の深成岩類で初めて発見し、その微細構造を偏光顕微鏡で詳細に観察した結果から西南日本内帯の形成環境を推定する論文を複数発表してきた。2023年以降は、京都大学理学部と連携関係にあり、毎月2回のZOOMによる協議を繰り返し、また生徒が京都大学を訪問して、指導を受けながら鉱物のEPMA分析を行うなどしている。この活動は、学校の偏光顕微鏡のみに頼っていた研究活動から大きく踏み出す化学的成果をもたらした。山陰帯の角閃石の波状累帯構造と、生徒が発見した山陽帯角閃石の波状累帯構造ではそれぞれの成分に特徴があり、マグマ分化過程末期における熱水残液の成分や循環環境を強く反映していることが明らかになり、それらをモデル化している。
2023年12月には、発展的、応用的な活動として、科学部マグマ班と課題研究班合同で、「オーストラリア野外調査」を11日間にわたって実施する。この野外調査ではクイーンズランド大学と連携して事前、事後を含む指導・助言を得て、ニューサウスウエールズ州東海岸の火成岩について、現地調査と岩石試料の採取を行う。日本に持ち帰った岩石試料はEPMA分析にかけ、西南日本の火成岩と化学的特徴を比較することによって、モデルの検証を行う。ここで得られた成果は、本校主催で全国から高校生や中学生、教員を招いて800名規模で開催するGirl’s Expo with Science Ethicsや国内の専門学会、さらに2024年8月にワシントンで開催予定の国際学会American Geophysical Union(AGU)での発表を目指すほか、論文にまとめて発表する予定である。