[T11-P-6] (entry) Mode of occurrence and microstructure of monazite in a sillimanite-biotite-garnet gneiss from Mefjell, Sør Rondane Mountains, East Antarctica
Keywords:Sør Rondane Mountains, monazite, garnet, chemical zoning, metamorphic rock
東南極セール・ロンダーネ山地は、6.5-5.2 億に起きた東西ゴンドワナの衝突境界に位置し、東アフリカ造山帯とクンガ造山帯が見かけ上交差する場所であるとされる[1-4]。よって、この地域の変成岩類の温度-圧力-時間-変形履歴を読み解くことは、ゴンドワナ超大陸の形成プロセスを理解する上で重要な意義がある。同山地は、主にグラニュライト相の変成岩からなり、時計回りの温度-圧力-時間(P-T-t)履歴を示す北東テレーンと、より低変成度の変成岩からなり、反時計回りのP-T-t履歴を示す南西テレーンに分けられる [1]。同山地中央部に位置するメーフィエルは南西テレーンに属するが、近年、時計回りのP-T-t履歴が報告された[5]。Nakano et al. [6]は、メーフィエルで採取された珪線石―黒雲母-ザクロ石片麻岩中のザクロ石斑状変晶に着目し、先行研究で用いられた地質温度計よりも、鉱物形成後の元素拡散や再平衡の影響を受けにくいZr-in-rutile地質温度計[7]を用いることで、時計回りのP-T履歴を裏付けた。また、先行研究では、マトリクスに産するモナズ石の電子線マイクロプローブU-Th-Pb 年代測定により、7.0-5.4億年前を変成ピークの年代を報告した [5]。Nakano et al. [6]の研究試料では、モナズ石がマトリクスに加えてザクロ石の包有物としても産し、その微細組織と産状に体系的な関係性が確認できたため報告する。
本研究試料のザクロ石は、ザクロ石中の拡散が遅いPで不連続な組成累帯構造が確認でき、内側から順に、P濃度が低いインナーコア、P濃度が高いアウターコア、P濃度が低いマントル、P濃度が高いリムに分けられる。アウターコアにはP濃度が不連続に低いパッチ状の部分が存在する。このパッチ状の組織は、アウターコア形成後にザクロ石の融食が起き、その後の再結晶でマントル部分が埋めることで形成されたと解釈できる [6]。モナズ石はザクロ石のインナーコア、アウターコア、マントル、リム全てに包有されるほか、ザクロ石とマトリクスにまたがるもの、マトリクスに産するものがある。
ザクロ石インナーコアに包有されるモナズ石は短径2-22 µm、長径3- 28 µmである。小さい粒子はBSE像でゾーニングが見られないが、比較的大きい粒子ではコアとリムの2段階の弱いゾーニングが認められる。
アウターコアに包有されるモナズ石は、短径3-20 µm、長径5-100 µmであり、BSE像でゾーニングを示さない。
マントルに包有されるモナズ石は1粒子しか見つかっていないが、短径10 µm、長径50 μmの柱状で、BSE像で暗いコアと明るいリムが見られる。
ザクロ石リムに包有されるモナズ石は、コア・マントルに包有されるものよりも有意に粗粒なものが増え、短径12-85 µm、長径20-140 µmであり、BSE像の輝度で2段階以上のゾーニングが見られる。一部の粒子は、BSE像で明るく丸いパッチを有し、包有物に富む暗いコアを持つ。このコアは不規則な外形を呈し、パッチと同輝度で包有物の少ないリムに囲まれる。
ザクロ石とマトリクスにまたがるモナズ石は、短径12-230 μm、長径20-280 μmであり、ザクロ石リムに包有されるモナズ石と類似した微細組織を有する。明るいパッチを有する粒子では、パッチ部分に珪線石が包有される。
また、ザクロ石のどの段階に包有されているか決定できていないモナズ石の中には、包有物に富む粒子があるが、その外側に包有物が少ないリムは見られない。
マトリクスに産するモナズ石は、短径3-180 µm、長径4-240 µmであり、BSE像で明るいコアと暗いリムの2段階のゾーニングが卓越する。この傾向はTsubokawa et al. [5]と類似する。包有物に乏しいが、存在する場合はコア・リム境界付近やリムに包有される傾向があり、珪線石、黒雲母、石英、硫化鉱物の包有物が確認された。マトリクスに産するモナズ石の一部は、ザクロ石リムに包有される粒子と似たBSE像で明るく丸いパッチを有する。
以上の観察から、多段階のモナズ石成長が示唆され、包有物と産状を総合的に考察することで変成履歴の構築に貢献できると考えられる。
引用文献
[1] Osanai et al. 2013 Precam. Res. [2] Jacobs et al. 2003 Precam. Res. [3] Meert 2003 Tectonophysics [4] Satish-Kumar et al. 2013 Precam. Res. [5] Tsubokawa et al. 2017 JMPS [6] Nakano et al. 2023 JpGU abst. [7] Tomkins et al. 2007 JMG
本研究試料のザクロ石は、ザクロ石中の拡散が遅いPで不連続な組成累帯構造が確認でき、内側から順に、P濃度が低いインナーコア、P濃度が高いアウターコア、P濃度が低いマントル、P濃度が高いリムに分けられる。アウターコアにはP濃度が不連続に低いパッチ状の部分が存在する。このパッチ状の組織は、アウターコア形成後にザクロ石の融食が起き、その後の再結晶でマントル部分が埋めることで形成されたと解釈できる [6]。モナズ石はザクロ石のインナーコア、アウターコア、マントル、リム全てに包有されるほか、ザクロ石とマトリクスにまたがるもの、マトリクスに産するものがある。
ザクロ石インナーコアに包有されるモナズ石は短径2-22 µm、長径3- 28 µmである。小さい粒子はBSE像でゾーニングが見られないが、比較的大きい粒子ではコアとリムの2段階の弱いゾーニングが認められる。
アウターコアに包有されるモナズ石は、短径3-20 µm、長径5-100 µmであり、BSE像でゾーニングを示さない。
マントルに包有されるモナズ石は1粒子しか見つかっていないが、短径10 µm、長径50 μmの柱状で、BSE像で暗いコアと明るいリムが見られる。
ザクロ石リムに包有されるモナズ石は、コア・マントルに包有されるものよりも有意に粗粒なものが増え、短径12-85 µm、長径20-140 µmであり、BSE像の輝度で2段階以上のゾーニングが見られる。一部の粒子は、BSE像で明るく丸いパッチを有し、包有物に富む暗いコアを持つ。このコアは不規則な外形を呈し、パッチと同輝度で包有物の少ないリムに囲まれる。
ザクロ石とマトリクスにまたがるモナズ石は、短径12-230 μm、長径20-280 μmであり、ザクロ石リムに包有されるモナズ石と類似した微細組織を有する。明るいパッチを有する粒子では、パッチ部分に珪線石が包有される。
また、ザクロ石のどの段階に包有されているか決定できていないモナズ石の中には、包有物に富む粒子があるが、その外側に包有物が少ないリムは見られない。
マトリクスに産するモナズ石は、短径3-180 µm、長径4-240 µmであり、BSE像で明るいコアと暗いリムの2段階のゾーニングが卓越する。この傾向はTsubokawa et al. [5]と類似する。包有物に乏しいが、存在する場合はコア・リム境界付近やリムに包有される傾向があり、珪線石、黒雲母、石英、硫化鉱物の包有物が確認された。マトリクスに産するモナズ石の一部は、ザクロ石リムに包有される粒子と似たBSE像で明るく丸いパッチを有する。
以上の観察から、多段階のモナズ石成長が示唆され、包有物と産状を総合的に考察することで変成履歴の構築に貢献できると考えられる。
引用文献
[1] Osanai et al. 2013 Precam. Res. [2] Jacobs et al. 2003 Precam. Res. [3] Meert 2003 Tectonophysics [4] Satish-Kumar et al. 2013 Precam. Res. [5] Tsubokawa et al. 2017 JMPS [6] Nakano et al. 2023 JpGU abst. [7] Tomkins et al. 2007 JMG